連載【Stories of A to Z】Gさんのストーリー後編。10年以上もハードな仕事をこなしてきたGさん。転勤が多い仕事柄、かかりつけの婦人科がないことへの不安を話すと、大山先生からは意外な反応が。

Story8 30歳を過ぎて卵子の状態が気になるGさん

年に一度話せればOK! もっと気軽にかかりつけ医を見つけて

婦人科のかかりつけ医のつくり方は? 職場での理解を深めるにはどうしたら? Gさんのストーリー【後編】_1

今月の相談相手は……
大山 香先生先生

産婦人科医

大山 香先生先生

対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座にて産婦人科を担当。女性ヘルスケア専門医でもある。「婦人科は敷居が高いと思われることがあるかもしれませんが、まずはお話しだけでも構いません。気になる症状があれば、いつでもご相談くださいね」

大山先生 今後のライフプランを考えるなら、かかりつけの婦人科医にも相談してみるといいですよ。

Gさん 今のところ特に不調がないうえに転勤も多いので、かかりつけの婦人科がないんです。仕事柄、かかりつけ医を持つのはあきらめるしかないのかなと思っていて。

大山先生 かかりつけ医というと、こまめに通うイメージがあるかもしれませんが、特に症状がなければ年1回、婦人科検診に行くだけでも十分ですよ。

Gさん え? そうなんですか?

大山先生 薬の処方がある場合は定期的な通院が必要ですが、それ以外は年に1回の検診でいいと思います。だからこそ、信頼して相談できる先生のもとへ通ったほうが経過も共有できるので安心だと思いますよ。

Gさん 確かに年に1回なら、休日を使って受診できそうな気がします。

大山先 実際、当院にも転勤先や地方から検診に来られる方が少なくありません。銀座という場所柄、地方からお友達と一緒に来院して、検診後に買い物を楽しむことを恒例にしている方もいらっしゃいますね。

Gさん 友達と一緒に検診! そのアイデアはいいですね。

大山先生 HPVワクチンや月経困難症、妊娠・出産、更年期など、婦人科は女性の人生に長く寄り添っていく場所なので、人生を伴走するかかりつけ医の存在は心強いはず。私たち医師としても、長きにわたる相談相手になれたらうれしいです。

職場を変えるためには、まず自分のリテラシーを磨く

婦人科のかかりつけ医のつくり方は? 職場での理解を深めるにはどうしたら? Gさんのストーリー【後編】_2

Gさん 人生という意味では、今の職場は育休後の復帰も含めたロールモデルがほとんどいなくて…。妊活や不妊治療のために辞める先輩たちも見てきました。でも私は仕事を続けたいし、後輩たちに同じ苦労をさせたくないので、女性の身体的・心理的なつらさについて職場の理解を深めたいと思っているのですが、自分だけの思いではどうすればいいのかわからなくて。

大山先生 日本はまだ男性中心の社会構造が根強く、考え方も欧米に比べて20〜30年遅れているように感じます。医師である私自身でさえ、若い頃は男性が多い研修先で生理痛のことを言えずに我慢していたし、休みづらくて不妊治療に通えず悩んだこともあります。Gさんと同じように、ライフプランのために辞めていく人たちも見てきました。

Gさん 先生も同じような経験をされてきたんですね。

大山先生 そうなんです。だからこそGさんにお伝えしたいのは、あなたは決して一人じゃないということ。お仕事は少し特殊かもしれませんが、生理のことで悩んだり、忙しくて婦人科に通院できず悩んでいたり、男性社会の中で自分の体と向き合いながら悩んでいたり。Gさんと同じように悩んでいる人はたくさんいます。だから、我慢したりあきらめたりする必要はありません。

Gさん ありがとうございます。心のどこかで「ハードな仕事だし、共感を得られなくても仕方ないのかな」とネガティブに考えてしまうことも多くて。

大山先生 悶々としてしまうつらさを相談するだけでも気持ちが変わると思うので、できればすぐにかかりつけ医を見つけてほしいなと思います。もちろん当院でも構いません。そして、職場での理解を深めるには、上司や管理職の人たちに意識を変えてもらうのが一番だと思います。生理痛があることなど日常の業務に関わることを上司に伝えることも大事ですが、最近は法改正に基づく企業のハラスメント防止対策義務化に伴って、管理職向けにハラスメントにまつわる講習会が行われていますので、それとセットで女性の特性を理解する講習会を開催する企業も出てきてほしいなと思います。

Gさん なるほど…。

大山先生 体や心への配慮がないのは知識がないだけの可能性も高いので、まず組織全体でリテラシーを上げる必要があります。そのためには、生理痛やPMSで仕事のパフォーマンスが落ちることや妊活の現状など、具体的なデータを提示して理解してもらうのがよいのでは。そういった前例ができれば次につながっていくはずです。職場に働きかけるのはハードルが高いかもしれませんが、まずは身近な同僚や上司に提案できるようにするために、Gさん自身が知識を得ることからはじめるのがひとつの方法だと思います。

Gさん 私自身がリテラシーを磨いておくということですね。

大山先生 そのとおりです。当院でもさまざまなセミナーや講演を開催していますが、そういう場に参加したり、検診をきっかけに医師に相談して知識を増やしたりするのもいいですね。知識が増えると漠然とした不安が解消され、安心感や自信にもつながると思いますよ。

Gさん 友達や後輩と一緒にセミナーを受けるのもよさそうですね。

大山先生 それはぜひおすすめしたいですね。一人では不安もあるでしょうし、知識をシェアすることで職場のリテラシー向上や女性同士の連帯にもつながると思います。

Gさん それなら一歩踏み出せそうな気がします。まずはセミナーを調べてみます。

大山先生 ライフプランについて考える35歳前後は悩みが増える時期ですし、年齢とともに体にまつわる不安や悩みは変化していきます。相談できる相手がいるだけでも安心感につながるので、まずは検診をきっかけに婦人科へ来てくださいね。

イラスト/naohiga 取材・文/国分美由紀 企画・編集/高戸映里奈(yoi)

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