Stories of A to Z のタイトルカリグラフィー

私たちが人生でそれぞれに向き合う「妊娠・出産」、「家族」や「パートナーシップ」にまつわる選択に、たしかな答えはありません。抱える迷いや不安、そして幸せのかたちも一人一人違うからこそ、必要なのは、その選択を応援してくれる専門家の的確なアドバイス。ここに登場するのは、あなたや私、あるいは大切なあの人の物語かもしれません。今回は、パートナーとの結婚を意識し始めたAさんのストーリー。

Story1 パートナーとの結婚を意識し始めたAさん

妊娠、出産、家族、パートナーシップにまつわる私の、あの人の、私たちの選択。「Stories of A to Z」Story1【前編】_2

将来を意識したタイミングで、パートナーが突然の転職&転勤!

幼稚園教諭として働く28歳のAさん。2年半ほど交際しているパートナーとの将来を意識し始めたタイミングで、相手が転勤の多い職種に転職。半年ほど前から遠距離恋愛中です。でも、彼の転職は事後報告で知り、そもそも転勤も本人の希望だったことが後日明らかに。

「『いろいろな土地で働いてみたいし、新しい仕事は転勤手当てがついて給料も上がるから、二人の将来を見据えて転職した』っていうのが彼の主張でした。彼の父親が転勤が多く母親が専業主婦だったせいか、家族(妻)が転勤についてくるのは当たり前だと思っていたみたいなんです。私は結婚しても仕事を続けるつもりでいたから、価値観の違いにびっくり。出産するまでは今の職場を離れたくないと伝えました」

結婚後の暮らし方、働き方、子育て──転勤をきっかけに、初めて将来について具体的な話ができたという二人。

「話をするうちに彼も考えが変わってきたみたいで、今は勝手に転勤を決めたことを反省しているし、『結婚のタイミングでAが住むエリアに転勤願いを出す』と言っています。でも、私の仕事については『できれば出産後も今の職場に戻りたい』という話をしても、何ともいえない顔をするばかりで……。最近は私自身、子育てが落ち着いてから別の職場で復帰するのもありかな、なんて思うことも。でも、実家が遠いと子育て中に頼れないし大変そうなので、迷っているところです」

不妊経験を耳にしたり、パートナーに転勤の報告をされたりしてもやもやしているAさんのイラスト

もしかして「不妊」って他人事じゃないかも?

そんなAさんは職業柄、同世代や少し年上の保護者と話す機会も多く、「妊活しても、なかなか授からなかった」「40歳から不妊治療を始めた」など、出産や育児にまつわるリアルな声をよく耳にするのだそう。

「特に『出産は年齢を重ねるほど大変』と聞くので、私も30歳までには結婚してお金を貯めて、35歳ぐらいまでに出産できたらいいなと思うようになりました。ただ、持病があるのと、最近はまわりでも「不妊」の話を多く聞くので、ひょっとして他人事じゃないかも? と思うと不安です」

生理不順や生理痛もほとんどなかったAさんにとって、婦人科はまったく未知の世界。友人に相談したり、妊娠や出産を考えたりする機会もなく、婦人科検診も未経験です。

「だから自分の体がどういう状況なのか、まったくわからないんです。でも、将来のことを考えると、そろそろ婦人科に相談に行ったほうがいいのかな……」

そこで、婦人科検診も行う女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」の高尾美穂先生に相談してみることに。



Aさんが気になっていること


1. 婦人科検診って何をするのかわからない


2. 35歳までに出産したいけど、本当に妊娠できる?


3. 妊活するうえでどんなことに気をつけたらいいの?




今月の相談相手は……
高尾美穂先生

産婦人科医

高尾美穂先生

医学博士・スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。長年ヨガを愛好し、多くのヨガインストラクターを指導。YouTubeチャンネル「高尾美穂からのリアルボイス」では毎日、女性のお悩みに答えながら、心を楽にして生きられる考え方のヒントを配信中。

身近にある検査のチャンスはぜひ活用を!

Aさん 彼との結婚を意識するようになって初めて、自分の体のことが気になりはじめました。でも、一体何から始めたらいいのかわからなくて。婦人科検診も、いったいどんなことをするんだろうって想像すると不安になって、申し込む勇気が出ませんでした。

高尾先生 そうだったんですね。20代後半のAさん場合、本当はもう少し自分の体のことを気にしてほしいし、自分の健康を守るために婦人科検診も受けてほしい年齢です。もし会社の健康診断に婦人科検診の項目がなければ自費で受けることになりますが、女性は20歳になると自治体から5年ごとに子宮頸がん検診の無料クーポンが40歳まで届くので、ぜひ活用してください。

Aさん 無料クーポンなんてあるんですね。自治体からのお知らせは気にしたことがありませんでした……。そもそも婦人科検診って、どんなことをするんですか?

高尾先生 「検診」というのは、特定の病気を見つけるための検査です。婦人科検診は、基本的に「子宮頸がんではないか」を確認する検査だと考えてください。それ以外に、子宮や卵巣とその周辺に腫瘍や腫れている部分がないかをチェックするためには超音波(エコー)検査が必要です。Aさんのように妊娠・出産を考えている人は、最低でも頸がん検診と内診、そして超音波検査を受けておくのをおすすめします。検診に超音波検査が含まれていない場合は、オプションでも自費受診より安く追加できることも多いので、申し込みの際に確認してみてください。

Aさん 30歳までに結婚して、できれば35歳までに出産したいんですが、結婚前に妊娠できるかどうかも検査したほうがいいんでしょうか……。

高尾先生 じつは、必ず妊娠できるかどうかを調べる検査はないんです。

Aさん えっ? じゃあ自分が妊娠できるかどうかはわからないってことですか?

▶︎高尾先生の思いがけない言葉に驚くAさん。次回、後編では「妊娠」への考え方や妊活のポイントなどについてじっくり伺います。

イラスト/naohiga  取材・文/国分美由紀 企画・編集/高戸映里奈(yoi)

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