自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiに寄せられた女性の体についての素朴な疑問や不安に、吉本レディースクリニック院長・吉本裕子先生にお答えいただきました。

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

吉本レディースクリニック院長

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

産婦人科医。日本専門医機構認定専門医。高知医大(現・高知大学医学部)卒業。金沢大学付属病院、富山市民病院を経て現職。NPO法人女性医療ネットワーク理事、富山市医師会理事、性暴力被害ワンストップ支援センター富山協力医師、女性被害者支援ネットワーク医師、富山大学人間発達科学部附属中学校評議員。吉本レディースクリニックは、病気治療だけでなく、女性の人生に寄り添い、心身の拠り所となるクリニックとして定評がある。『Rp.+(レシピプラス)VOL.21 NO.1 2022冬「ホルモンとくすり」』(南山堂)共同執筆。

女性器のギモン44 生理痛 病気

Q44:病気を疑うべき生理痛はどんな状態ですか?

A44:女性ホルモンと年齢の変化でかかりやすい病気のリスクも変わります

吉本先生:10〜20代前半は「機能性月経困難症」と呼ばれる痛みで、月経の初日および 2 日目頃の出血が多いときに強く、おなかがギューッと周期的に締め付けられるような痛みです。原因は出産前は子宮の口が狭いのにもかかわらず、月経血に混ざって子宮を収縮させるプロスタグランジン(PG)という物質が出るために子宮が過剰に収縮するのが原因といわれています。「機能性月経困難症」は出産後には軽快する場合が多いです。過度な生理痛は「器質性月経困難症」といって病気が隠れている可能性があり、子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞などは20〜30代の若い世代に増えています。簡単なセルフチェックは以下のとおりです。

・うずくまるほど痛みが強い
・鎮痛剤が効かない
・排便時に肛門の奥が激しく痛む、性交時に腟の奥が痛む
・経血の量が多くナプキンを短時間で取り替えている
・赤黒いレバーのような大きな血のかたまりが出る
・生理が10日以上ダラダラ続く
・以前に比べて明らかに痛みが悪化している


30代後半〜更年期に差し掛かると加齢により女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下し、生理痛が軽くなる傾向に。しかし、人によっては更年期のような不調が起こり、卵巣の老化が少しずつ進んで卵巣の病気が増え始める時期でもあります。年齢とホルモンバランスの変化で疑うべき病気も変わってくるので、婦人科への定期検診はとても大切なのです。

取材・文/井上ハナエ 構成/木村美紀