自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q2.ペニスの形は人それぞれですが、形によって機能的な違いはありますか?
2つ目のギモンは、【ペニスの形は人それぞれですが、形によって機能的な違いはありますか?】。平常時はまだしも勃起したぺニスを他人と見比べる機会が少なく、多くの男性が思春期に「自分の形が変な気がする…」と心配になった経験があるというお悩み。機能面に影響があるぺニスの形はあるのでしょうか?
A2.機能的な違いはないので気にしなくてOK
ペニスの形に、人それぞれ違いがあるのは当たり前!
小堀先生:根元から亀頭にかけて徐々に細い、全体的に太くて短い、陰茎の中間だけ太い、陰茎に対して亀頭だけが大きい…など、これまで診察を通してさまざまなぺニスを見てきました。私が現在不妊治療を専門にしているからかもしれませんが、これまでペニスの形についての悩みや症状を相談されたことはありません。人それぞれの形があるのは当たり前のことですし、健康や機能面に悪影響はないので気にしすぎなくて大丈夫。
とはいえ、自分の心と体が成長していく過程で、他人との違いに敏感になってしまう時期は男女関係なく誰しもありますよね。私の印象だと、男性の若い頃に多い悩みの代表格は「仮性包茎(かせいほうけい)」です。平常時のペニス全体が包皮で覆われていても、勃起すれば亀頭を露出することができます。排尿もセックスも問題なく行えるため、健康的にも機能的にも問題ありません。
仮性包茎は手術する必要はありません
小堀先生:しかし「平常時に皮が剥けていなくて恥ずかしい」、「まわりは剥けているので馬鹿にされる」のような悩みの声を受けて手術した方がいい風潮がいつしか生まれ、仮性包茎手術を受けた人が後からトラブルに発展したケースがたくさん報告されているのです。例えば、2016年の国民生活センターに寄せられた美容医療系サービスの相談件数のうち、包茎手術のトラブルは6割以上も! 私自身も大学病院時代から包茎手術後の再形成手術に対応した経験がかなりあったことから、不要な手術は容易くすすめないで欲しいと強く感じるようになりました。
仮性包茎を気にしてクリニックを受診するのは世界中でも日本くらいです。私は自分の患者さんに対しては、仮性包茎は日常生活で生じる問題はなく、病気でもないので手術する必要はないと断言しています。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)