自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン10 陰嚢が大きい人ほど精子が多く性欲が強いって本当ですか?

Q10.陰嚢が大きい人ほど精子が多く性欲が強いって本当ですか?

10個目のギモンは、【陰嚢が大きい人ほど精子が多く性欲も強い?】。友人同士でサウナや銭湯へ行くと、ふいに話題に上がることがあるという陰嚢の大きさ。父親からの遺伝で生まれつき個人差がある、陰嚢が大きい人ほど性欲が強い…といった印象があるそうですが、実際はどうなのでしょうか?

A10.陰嚢内の精巣(=睾丸)が大きい人はテストステロンや精子の量が多いです!

陰嚢よりも、陰嚢内部にある精巣(=睾丸)の大きさが関係

小堀先生陰嚢そのものというより、陰嚢内部にある精巣(=睾丸)の大きさが関係しています。精巣はテストステロンなどの男性ホルモンと精子を作る役割があり、例外はありますが、精巣(=睾丸)の大きさは精子の生成量や濃度とも相関があります。

また、精巣(=睾丸)が大きい=性欲が強いとされる理由はテストステロンにあります。テストステロンは性欲や勃起のために重要な男性ホルモンですが、二次性徴時に筋肉や骨格の成長を促す役割があります。これも例外はありますが、精巣容積の大きい方がテストステロン分泌が多いと考えられます。その分泌量と生成量は気力や行動力などの精神面にも影響してくるため、日常を活発に過ごせるメリットも大きいと思いますよ。ただし、性欲というものはホルモンだけでは説明できない場合もありますので、注意が必要です。

精巣の大きさは不妊治療にも関わってくる

小堀先生:精巣(=睾丸)の大きさに伴って陰嚢のサイズが大きく見えるのはもちろんありますが、陰嚢が大きくてもその内部の精巣(=睾丸)は小さい人もいます。例えば、陰嚢水腫や精巣がんという病気では、陰嚢の大きさが大きくなってしまいます。

精巣(=睾丸)のサイズは通常は直径が約4~7cmで、妊娠を望んでいる成人の場合、直径3cm以上は必要とされています。そのため精巣(=睾丸)が片方につき直径1cm程度の人は「性腺機能低下症(せいせんきのうていかしょう)」といって、性腺=精巣の機能が低い状態のため、不妊やED(勃起不全)の原因となり得ます。精巣の大きさによる不妊が気になる人は、不妊外来で検査してもらうといいかもしれませんね。

陰嚢 精巣 睾丸

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)