自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
![男性器のギモン11](https://img-yoi.hpplus.jp/common/large/image/fa/fa4d3bdb-5533-44f6-afd9-49b7dbaa3f6c.jpeg)
Q11.陰嚢のサイズに左右差があるのは問題ないですか?
11個目のギモンは、【陰嚢のサイズに左右差があるのは問題ないですか?】。陰嚢の大きさが左右で異なり、もしかして何かの病気かも…と心配になった人も多いのではないでしょうか。左右差が出始めた時期によっては病気の可能性があるため、今まで意識したことがない人も知っておくと良さそう!
A11.片方だけ徐々に大きくなってきたならば病気の可能性あり
小堀先生:精巣の高さは左右差があり、気温などによって移動します。また、陰嚢の大きさにも、もともと多少の左右差はあります。大きさ…というより片方の位置が反対側に比べて垂れ下がっていることに悩む人もいますが、これはお腹から精巣につながる精巣拳筋が原因かもしれません。精巣拳筋は精巣が精子にとって快適な温度を保つために、睾丸が伸び縮みする際に使われるインナーマッスルのこと。運動や性的興奮などの外的要因でも位置が上下するので、そこまで気にする必要はないでしょう。
しかし、今までよりもどちらかの陰嚢が明らかに大きくなっている場合、何らかの病気が潜んでいる可能性が。痛みの症状がない疾患もありますので、左右差が出て心配になってきたら泌尿器科を受診しましょう。成人男性において、可能性として考えられる病気をいくつかご紹介します。
【陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)】
睾丸内にリンパ液が溜まる病気。痛みが出ることはほとんどなく、体への悪影響はない。小児に起こりやすいが、成人男性にも起こり得る。
![陰嚢水腫 男性器](https://img-yoi.hpplus.jp/common/large/image/6f/6f17fc0c-a9c5-41d4-8cb7-e855906f043e.jpeg)
【精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)】
精巣上体が細菌感染などで炎症が起きる病気。睾丸全体が大きく腫れ、痛みや38℃以上の発熱を伴うことがある。
![精巣上体炎 男性器](https://img-yoi.hpplus.jp/common/large/image/4e/4e94fcf0-62df-4a5b-a494-36f8cc4c9295.jpeg)
【精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)】
精巣から心臓へ血液を戻す血管(精索静脈)の弁が何らかのきっかけで機能せず、鬱血してコブができる病気。精子を作る造精機能が低下し、濃度・運動量の低下やDNA断片化など精子の質の悪化につながり、男性不妊症の原因のうち約30%はこの病気が占めると言われている。ほとんどの場合は無症状だが、稀に痛みの症状が出る人もいる。
![精索静脈瘤 男性器](https://img-yoi.hpplus.jp/common/large/image/3e/3e6a47d8-4ad7-4902-8e52-01ac22c3be6f.jpeg)
【精巣がん】
精巣にできる悪性腫瘍で、睾丸に腫れやしこりが生じる病気。痛みが出ることはほとんどないが、腫瘍内部に出血や感染症が起こると強い痛みを感じることが。発症頻度はおよそ10万人に1人と極めて稀で、20〜40代の比較的若い男性に多いのが特徴。発症時期が若いと進行も早いため、早期発見と治療が望まれる。
![精巣がん 男性器](https://img-yoi.hpplus.jp/common/large/image/25/25bd5225-5227-44d0-8439-4a4206437157.jpeg)
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)