自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン12

Q12.ペニスや陰嚢が小さいと生殖機能に影響はありますか?

12個目のギモンは、【ペニスや陰嚢が小さいと生殖機能に影響はありますか?】。体や男性器は二次性徴を機に大きくなり、徐々に大人の体へ成長していきます。ところが、成人するまでに男性器がさほど発達せず、生殖機能に問題があるのではないかと不安になる人は多いのだそう。ペニスや陰嚢が小さいことによって、どんな影響があるのでしょうか?

A12.陰嚢内の精巣(=睾丸)が小さい人は生殖機能に影響があります

ペニスの大きさよりも、機能面を気にするべき

小堀先生:ペニスのサイズで悩んでいる人が多いのは理解していますが、大きさや見た目よりは機能面を意識してほしいなと思います。男性器の機能は排尿や包皮が剥けて勃起でき、セックスできるのであれば何も気にする必要はありません。しかし【Q10:陰嚢が大きい人ほど精子が多く性欲が強いって本当?】で述べたように、陰嚢内の精巣(=睾丸)の大きさが直径1cm程度の人は精巣の機能が低いため、生殖機能に影響があると言えるでしょう

生殖機能に関わるのは、ペニスの大きさではなく精巣(=睾丸)の大きさ

小堀先生:また、ペニスや精巣(=睾丸)が極端に小さい人の中には、ごく稀に染色体異常疾患の「クラインフェルター症候群」を抱えていることが。ほとんどの場合は健康上に問題がなく、遅れはあるものの二次性徴を迎えて勃起もするしセックスもできます。しかし、精巣萎縮や無精子症などが生じるため、妊活のときに検査をして初めて疾患に気づくケースが多いのです。

他にも先天的に男性ホルモンの分泌が不十分なことが原因で、勃起時のぺニスサイズが約7cm以下の「小陰茎症(しょういんけいしょう)」の人もいます。マイクロペニスや短小と呼ばれることもあり、機能自体には問題ないことが大半。とくに治療の必要はありません。生殖機能に関していえば医学的にはペニスよりも陰嚢内の精巣(=睾丸)の大きさが重要です

ペニスのサイズ

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)