自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q29.精子の活動寿命はどれくらいですか?
29個目のギモンは、【精子の活動寿命はどれくらいですか?】。主に妊活に励む男女から多く寄せられたこちらの質問。射精後の精液中に含まれる精子はどれくらいの間生きているのか、何歳くらいまで生殖可能なのか…。精子の活動寿命について詳しくお答えいただきます。
A29.腟の中で約2〜10日間。生殖は精子が出る限りは可能です
射精後の精子の寿命は?
小堀先生:腟の中に射精した後、受精に適した健康な精子の寿命はおよそ2日間です。健康状態に関係ないものだと3〜10日程度生きている精子もあるので、妊娠を望んでいない人はきちんと避妊を行いましょう!
自然妊娠を望む場合は健康な精子の寿命を踏まえ、毎日または2日に1回はセックスすべし…と海外では言われています。ところが日本ではセックスの回数自体が少なく、ライフスタイル的にも毎日の頻度は難しいとされるため、不妊外来では2日に1回のセックスを排卵日前後に設定するようにと提案することも。排卵して受精できるタイミングは半日程度で、その間に女性生殖器内に健康な精子が存在していれば受精しやすい状況になるのです。つまり、2日に1回の頻度でセックスしていれば、健康な精子がいつでもスタンバイ状態に。自然妊娠の可能性につながります。
年齢的には、精子が出る限りは生殖可能
小堀先生:自分の精子が年齢的にいつまで生殖できるかという点は、勃起や射精をして精子が出る限りは可能です。これまでも多くの著名人が60代以降に子どもが生まれたことを公表していますし、歴史上の人物である徳川家康は65歳を超えてからも子どもを授かったと言われていますよね。
私がこれまで不妊治療を担当した中での最高齢だと、75歳の方がいらっしゃいます。しかし高齢になるほど精子の量がかなり少なく、受精に適した健康な精子もごくわずかに。75歳で親になることは例外であるのですが、子供の福祉を考えても、適切な年齢で子どもを作ることを勧めています。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)