自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン44 性感染症 性行為 感染 セックス

Q44.性行為以外で性感染症に感染することはありますか?

44個目のギモンは、【性行為以外で性感染症に感染することはありますか?】。「性病」と呼ばれることもありますが、現在は法改正によって性感染症という呼び名が一般的に。病気の種類によって症状はさまざまで、症状がない場合も含めて「感染している状態」も対象となります。ニュースでもしばしば取り上げられるようになった性感染症、性行為のほかにも感染経路はあるのか気になる!

A44.基本的には、性行為以外では感染しません

性行為以外で感染する可能性は限りなく低い!

小堀先生:性感染症は粘膜と粘膜が接触することで感染します。インターネットでは「トイレの便座からヘルペス菌に感染した」「同じコップやタオルを使うのは危険」などの記事が散見されますが、基本的にオーラルセックスを含む性行為以外で性感染症にかかることはほぼあり得ません。


ただし何事にも例外はあり、サウナで淋菌に感染したという症例報告は存在します。これはおそらく免疫力が下がっているなど感染しやすい健康状態で、感染者が利用した風呂用イスやサウナに敷かれている共用のタオルが粘膜に接触して感染するという、ごく稀なケースだと思われます。なお銭湯や老人ホームのように大衆が利用する場で集団感染が起きた事例はないので、可能性は限りなく低いと思いますよ。

性感染症が急増中。感染リスクを避ける意識を持って!

近年は性感染症にかかる人口が急激に増えており、全国的に流行している梅毒は2013〜2023年の10年間でおよそ12倍にも! 梅毒は潜伏期間が長いうえに症状が現れたり消えたりを繰り返すため、感染していることに気づかないまま性行為を行って相手に感染させてしまうパターンが多いのです。さらに、インターネットサービスや性風俗店を介して不特定多数と性的関係を持つ人が急増していることも、梅毒の流行に関係しているといわれています。


性感染症のうち男性によく見られるのは、淋病、クラミジア、梅毒です。あとは尿道炎と咽頭炎も、性感染症が原因となっている場合があります。挿入の際にコンドームを着用していても、感染した人の性器からオーラルセックスによって喉へ感染するケースが多いのです。


日常的に感染リスクを避ける意識を持つのはもちろんのこと、少しでも心当たりがあればクリニックで性病検査を受けておくのも大切です。検査内容は尿道と喉の淋菌&クラミジアに加え、血液検査でHIVと梅毒をセットで調べてもらうと良いでしょう。それらすべてが陰性だったら性感染症には該当しません。

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小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)