自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q47.30代後半から尿もれするように…。原因と対策を知りたい!
47個目のギモンは、【30代後半から尿もれするように…。原因と対策を知りたい!】。トイレで用を足したばかりなのに、下着の中で尿がチョロリ。30代半ばを過ぎたあたりから無意識に尿がもれてしまい、1日のうちに何度も繰り返すとズボンに尿シミがついて困った経験を持つ人も。男女問わず誰もに起きる可能性のある尿もれ、男性ならではの原因とは一体? 日常的にできる対策もあわせて知っておきたい!
A47.男性は尿道が長いため「排尿後尿滴下」が起こりやすい
男性の尿もれは、ホースに残った水滴があとから出てくるイメージ
小堀先生:加齢にともなう尿もれは男女ともに起こりますが、身体構造の違いから尿もれの仕組みが少し異なります。女性は尿道が3cm程度と男性に比べてかなり短く、最も多いのはくしゃみや咳など腹圧がかかった拍子に尿もれする「腹圧性尿失禁」。これは加齢や骨盤底筋のゆるみが主な原因で起こり、妊娠・出産を経験した女性の多くが抱えるお悩みのひとつ。
一方、30〜40代の男性によく起こる尿もれは「追っかけもれ」とたびたび表現され、医学用語では「排尿後尿滴下」と呼びます。男性の尿道はおよそ20cmの長さがあり、膀胱から外尿道口にかけてS字カーブを描いています。長い尿道であるがためにどうしても尿道のカーブ部分におしっこが残ってしまい、あとから数滴もれ出てしまうのです。例えるなら、水道の蛇口につないだホースから残った水が出てくるのと同じ現象ですね。
ペニスを振って、しっかり尿を出し切る習慣づけを!
「排尿後尿滴下」が一番起こりやすいのは尿道の形が変わるとき、つまりおしっこを出してペニスを下着にしまうタイミング! 対策としてすぐに実践できるのは、排尿後にしっかりペニスを振って尿を出し切る習慣をつけること。
また男性は30代後半から高齢になるほど、尿の勢いも弱くなって排尿困難の症状が出やすくなります。加齢による排尿筋の衰え、前立腺が肥大して尿管や尿道を圧迫するなど、さまざまな要因が絡んで尿もれを起こしているケースがあるのです。ほとんどの場合は根本的に治す方法がないため、年々尿もれの量と頻度が多くなっていくようならば尿もれパッドのような専門アイテムを取り入れるのもいいでしょう。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)