pecoさんのポジティブマインドのルーツを聞いたインタビュー前編に続いて、後編では、つらいこと、しんどいこととの向き合い方にフォーカス。意外にも、何かに取り組む際にはマイナスなことばかりを想定するというpecoさん。つらいことがあったとき、人からネガティブな悩みを相談されたときの向き合い方から、日々をハッピーに生きるために意識していることまでを、じっくり語ってくれました。
マイナスを想像しておいて、しんどくなるのを回避

——子どもの頃から、その時々の自分に満足しているというpecoさん。日常でイライラしたり、落ち込んだりすることはありますか?
peco:めちゃめちゃ短気なので、すぐにイライラします(笑)。だからこそ、最初からマイナスなことをたくさん想像するようにしていますね。何かがうまくいかずに、しんどくならないため。しんどくなってる自分が、すごくめんどくさいので、そうならないために気持ちの準備をするんです。
例えば、私が就職するとしたら、「きっと楽しいんだろうな!」じゃなくて、「一人や二人、めっちゃウザいヤツおるやろうな」って考えておく。そうすると、実際にウザい人がいても「やっぱおるな!」って思うだけだし、いなかったら「思ってたより全然いいやん!」って思えますよね。すべてのハードルをめちゃめちゃ低く設定することで、ハッピーな状態の自分を維持しています。
——自分に自信を持ってきたpecoさんだからこそ、とても意外です。
peco:自分を伸び伸びさせてあげたいから、絶対にプレッシャーを与えたくないんですよ。だから私は、自分に期待しません。「私には絶対できない!」とは思わないけれど、「私なら絶対できる!」とも思わない。「できなくても、どうにもならへんわ」とか「多分できひんけど、やってみるか」くらいに思っておけば、できなくても「そんなもんや」と受け入れられますから。
同じように、つらいことがあったときも、「今よりも大変なことが、この先もきっとある」って思います。私の考え方の根底には、自分を守ることが共通しているんです。
自分がハッピーになれるかどうかは自分次第!

——つらい感情を防いだり、やわらげたりするために、そう考えるようになったんですね。
peco:そうです。すごく軽い言葉になってしまいますが、何事も、気の持ちようだと思うんですよ。体調が悪くても、「いや、いけるいける!」って思ってたら治る、みたいな(笑)。大変なことが起きたとき、つらいつらいって言っていると、どんどん気が滅入ってしまいますよね。逆に、「今よりもっと大変なことが今後、起きるで」って思っていると、気づいたら乗り越えられている。心の底からそう思えないこともあるけれど、上辺だけでも信じるようにしています。
息子にもそういう意識は持っていてほしいな、と思うので、ちょこちょこ伝えています。ケガして痛い痛いって泣いていても、「痛いって言ってたら治るもんも治らへんから、痛くない!って言いや」って。まだ7歳なので、完璧に理解するのは難しいと思うんですけど。自分をハッピーにしてあげられるのは自分だし、自分次第で物事はすべて変えられるんだよ、とこれからも伝え続けていくつもりです。
——いつもよりも考えすぎちゃっているな、思うように自分の気持ちをコントロールできないな、というときは、どうしていますか?
peco:一番の友達に話を聞いてもらい、その時のネガティブな感情をすべて吐き出します。モヤモヤを体内に留めておくと、どんどん膨れ上がってしまい、すごく体に悪いことをしている気がして。口から出すだけで、だいぶスッキリする感覚があります。それから、家事は全部ほったらかしにして、自分が無になれる時間を作るとか。
滅多にしないけれど、今の自分がどれだけ幸せか、思い出すこともありますね。「幸せって思わなきゃダメじゃん!」と無理に気持ちをコントロールするのではなくて、「ちょっと待てよ。全然いいやん、これで」っていう感じに、いい意味での“期待しない精神”を取り戻すようにしています。
他人は他人、自分は自分。だからネガティブに引っ張られることもない

——逆に、友人やまわりの人が落ち込んでいるとき、話を聞いてネガティブモードになってしまうことはありますか?
peco:ないです! 引っ張られてしまう人って、すっごく優しいんだと思います。ちゃんと耳を傾けて、気持ちを理解してあげようとしているんだろうなーって。私はまったくないのですが(笑)、めっちゃ尊敬はします。
——それは、ご自身と相手を切り離して考えているからでしょうか。
peco:はい、めっちゃ切り離してますね。相手がどんなに身近な存在であっても、自分は自分、相手は相手。それこそ、ryuchellから「全然気持ちをわかってくれない!」と言われることもあったけれど、「そんなんわかるかいな!」と返していました(笑)。逆に燃えてくるんですよ、めっちゃネガティブなことを相談されると。こっちのポジティブに引っ張ってみせる!みたいな。
——「自分以外の誰かが羨ましい」「今の自分じゃ物足りない」といったpecoさんが抱いたことのないような悩みを相談されたとき、どのように感じますか?
peco:すごいな!って思います。それだけの感情や願望を抱いていたら、脳内が忙しくない?って。私、脳内が忙しいのが本当に苦手で、脳の半分ぐらいは何も考えていない状態で余白にしておきたいんですよ。その余白が余裕につながり、余裕があると、自分の幸せをちゃんと実感できるので。逆に、脳内も現実も忙しすぎると、幸せを感じる余裕がなくなっちゃう。そうはなりたくないので、無意識に、脳内に余白を作るようになったんだと思います。
だから、あれも欲しい、これも欲しい、ああなりたい、こうなりたい、って思っている人は、パワフルやなー!って。それが原動力になる人もいるだろうし、否定する気はまったくないですよ! のんびり生きたい私にとっては、忙しすぎて無理なだけ。それも、自分がすごく短気で、心が広い人間でもないから、キャパオーバーにならないようにコントロールしているのかもしれません。
6割のエネルギーで生きることを日々、意識

——誰かから相談されたときは、どのように向き合っていますか?
peco:相手によりますね。本当に仲がよくて、その人の幸せを心から願うような存在だったら、思ったことをそのまま言う。対して、そこまで親密な関係でない相手だったら、その子が求めているであろう答えを想像して伝えます。
親身になればなるほど自分もエネルギーを使うし、疲れるじゃないですか。私は、自分にとって本当に大切な自分と家族、友達にしかエネルギーを使いたくないんですよ。それは人を選んでいるわけじゃなくて、本当に大切な人と、全力で向き合うため。全員に対して平等にエネルギーを使うと、エネルギー不足になっちゃうので。
——すべてにおいて、省エネモードなんですね!
peco:はい、めちゃくちゃ省エネです! 普段の生活でも、1日のエネルギー量を100%としたら、60%ぐらいでこなすことを心がけています。だって毎日100%使い切ってたら、めっちゃしんどいじゃないですか!?(笑) 何の変哲もない毎日がずっと続くんだったら毎日80%使ってもいいけど、もし想定外のことが起きたらすぐ100%になっちゃうし。60%を目指していれば、ちょっと頑張りすぎても、80〜90%くらいに留まるんです。
自分を否定しないことが、自分を愛することにつながる
——つらい気持ちにならないための対策から、自分のキャパを知ってエネルギー消費量をコントロールすることまで、「自分を幸せにできるのは自分」という意識が一貫していますね。pecoさんのように、自分の幸せを叶えられる自分になりたい!と感じている人に向けて、メッセージをお願いいたします。
peco:「どうしたらpecoちゃんみたいにポジティブになれますか?」という質問をいただいてきて、昔は、「生まれてからずっとこれやもん、わからへん!」って思っていたんですね。でも改めて考えて、これが理由かも!と思ったのは、私って自分のどんな感情も絶対に否定しないんですよ。
例えば、嫌なことがあって泣いたときは「こんなことがあってんから、泣くに決まってる!」、腹立ってるときは「そりゃ腹立つよな、そんなことされたら!」と、必ず自分で自分に共感してあげる。決して、「こんなことで泣いてたらダメだ」、「自分はなんて心が狭い人間なんだ」などと否定はしません。
だから、もし人に嫉妬してしまうことが悩みだとしたら、「嫉妬なんてするべきじゃない」と自分を責めるのではなくて、「嫉妬ぐらいしてもいいじゃん!」って思ってあげるといいのかも。そして、自分をいっぱい褒めてハグしてあげることを、毎日忘れずにしてください。その積み重ねで自分を愛してあげられるようになれば、きっと自然と、自分のことを一番に考えて色んな選択ができるようになるんじゃないかな。
撮影/久野美怜 ヘア&メイク/megu 取材・文・構成/中西彩乃 企画/木村美紀(yoi)