バッグの中にお気に入りのケアアイテムがあるだけで、なんだか安心できるという人は多いはず。ほっと一息つきたいとき、リフレッシュしたいとき、さっと取り出して、自分のためのケアをする。そんな時間は心を優しく癒してくれます。
連載「SELF-CARE RELAY」では、今気になるあの人に、そんなセルフケアの愛用品をご紹介いただきます。第2回目の中島沙希さんからバトンを受け取ったのは、モデル・執筆家の小谷実由さん。セルフケアのマイルールやおすすめのブランド、普段から持ち歩くアイテムは? 小谷さんならではのこだわりや魅力が詰まったバッグの中身を見せていただきました!
Vol.3 モデル・執筆家 小谷実由
小谷実由/MIYU OTANI●1991年東京生まれ。愛称はおみゆ。14歳からモデルとして活動を開始し、ファッション誌やカタログ・広告を中心に活躍。無類の本好きで、エッセイや連載なども多数執筆。日常の気づきや好きなものを多くの人に伝えたい、誰かの日々の小さなきっかけになってほしい、とさまざまな作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。2022年7月、初のエッセイ集「隙間時間」(ループ舎)を刊行予定。
30代になり、自分の体や心との向き合い方も変わってきたという小谷さん。モデルに執筆業、コラボ商品の企画やデザインなど、日々幅広い仕事をしていくうえで、つねに“脳味噌を使い分ける”必要があるといいます。そんななかで大切にするようになったのは、自分と対話する時間。外側からのケアだけでなく、書いたり、読んだり、考えたり…。小谷さんらしい方法で「いい気持ち」でいることを心がけているようです。
"Miyu's Self-Care Rules"
1. 休むことを怖がらない
2. 本やノートを持ち歩く
3. つねに今の自分と対話する
バッグの中身はこんな感じ
「バッグは小さめが好きで、この『agnes b.(アニエスベー)』のバッグは持っている中でも大きい方なんです。見た目よりたくさん入るし、使いやすくてお気に入り。大好きな猫モチーフのポーチは、かさばらないサイズ感で、リップや香水など細かいものを入れるのにちょうどいい。あと、必ず持ち歩いているのは本。近くにないと落ち着かない! 外出先で気分が変わっても大丈夫なように、いつも2、3冊は入れておきます」
「休む=次の自分のための準備」ととらえる。いい気持ちでいることの大切さを覚えた30代
「20代に比べて変わったなと思うのは、上手に休めるようになったこと。今までは、わーっと詰め込んで働いて、終わったらばたんと休む! という感じで、全部終わらせてからでないと落ち着かなかったんです。どこか"休む=怠けている"という罪悪感があったかもしれない。自分が仕事をしていない間に、誰かは頑張っているんだという焦りとか不安ですよね。でも、ヘロヘロの状態で頑張りつづけていてもいいパフォーマンスができなくて。
去年の夏かな。本の出版が決まって、モデルの仕事をやりつつ原稿チェックして、新しい原稿も書いて…という時期が続いて、さすがに集中力が続かなくなってしまったんです。半ばあきらめるような状態で1回しっかりと休んでみたところ、すごくすっきりして、仕事の効率もグンと上がる、ということがありました。
なので、それからは、休むと決めたら自分をめちゃくちゃ甘やかします! お風呂にゆっくり入ったり、おいしいものを食べたり。いい気持ちになれることがいちばん大切です。いっぱいいっぱいの状態だと冷静でいられないし、人とかかわる仕事をするうえで、相手にも失礼だと思うから。
"休む=次の自分のための準備"と思えるようになった今、余裕を持っていろんな方向から物事を考えられるようになった気がします」
つねに目に入る手もとには、お守りみたいなアクセサリーを
「"好きなものを身につける" ということも、いい気持ちをキープするためには効果絶大。特に手もとはつねに視界に入るところなので、ネイルやアクセサリーはマスト。何か持ったときに、爪との色合わせが可愛いだけで、気分が上がって一人で楽しくなったり(笑)」
石の付いたブレスレットは骨董市で出合ったお気に入り
「リングやブレスレットはだいたいいつも決まったものをつけています。基本はゴールドが多めですが、最近はシルバーもミックスでつけるようになりました。中でも気に入っている右手人差し指のリングは、知人が始めた『Mi Double(ミ ダブル)』というブランド。イヤカフにもなるんですよ。右手小指のリングは『Paso(パソ)』のもので、太いところや細いところがある不規則なラインがシンプルすぎなくて可愛い。アクセサリーは気持ちを上げてくれるお守りみたいな存在ですね」
コスメは、大好きなアイテムを最低限
(左上)ノーセバム ミネラルパウダー N/innisfree(右上)リッププライマー/Celvoke(下)櫛/OFFICINE UNIVERSELLE BULY
「『Celvoke(セルヴォーク)』の「リッププライマー」は、透明のケースが可愛いなと思って購入。お直しに便利な『innisfree(イニスフリー)』のノーセバム ミネラルパウダー Nは、コンパクトさが◎。マットな肌が好きだから、おでこの髪の生え際やこめかみ部分に付けて、テカリを抑えています。メイクさんに教えてもらってから愛用していますが、本当にサラサラになりますよ!」
「そして、絶対に持ち歩くのは櫛! 実は私、櫛コレクターなんです。海外で出合った1本がきっかけで集めはじめ、もうすぐ100本に到達します…! 今日持ち歩いているのは友人からプレゼントされた、『OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)』の名前入り。ケース付きだから携帯にも便利です」
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「どん底」は誰にでもある。お守り的存在を味方に
「おもに生理前に、"どん底" の気分になることがあるんです(笑)。バスを1本逃しただけで家に帰りたくなったり、理由もなくイライラしたり。ときには、お風呂の中で、ツーって涙が出てきてしまうことも。そういう気持ちはなるべくひきずりたくないから、自分なりに回避策をいくつか持つようにしています。
『HARBORS』の「CBDグミ」は、そんなときでも仕事行かなきゃとか、原稿を書かなきゃとか、今すぐなんとかしたいタイミングに投入。仕事が長丁場になりそうなときも、持っていると心強いです。マンゴー味とヨーグルト味、どちらもおいしいですよ」
(右)CBD GUMMIES/HARBORS
「20代のときは、こんな風にマイナスな気分になってしまうことを、絶対人に言いたくなかったんです。弱い自分を見せたくなかった。でも、最近はそういうところを出してもいいのかな、と思えるようになりました。それは、私自身がいろんな人と話をしたりSNSを見たりするなかで、『あの人でもそんな気持ちになるんだ』って救われたことがあるから。今は、『みんなで助け合いたい!』という気持ちですね」
憧れの人があの日つけていた香りは、今の自分に似合ってる
(左)マラケッシュ インテンス パルファム/Aesop(右)ハーブオイル33+7 ロールオン/nahrin
「少し気分を変えたいときは、香りアイテムもよく使います。『Aesop』の「マラケッシュ インテンス パルファム」は、憧れの人がつけていた香水。その方は『DEPT』のeriさんなんですが、この香りを嗅ぐと、ずっと夢だった雑誌『装苑』の撮影で、初めてお会いした日のことを思い出します。
持ってはいたけれど、これまでなぜかしっくりこず、出番がなかったんです。最近つけるようになったのは、やっと自分に似合うようになってきたからかな。私にとって特別な香りです。
すーすーするすっきり系のアロマも好き。『nahrin』の「ハーブオイル33+7 ロールオン」は、偏頭痛のひどい日や眠いときに大助かりで、執筆するときにも気分転換に使います。こめかみに付ける以外に、胸元に付けると爽快な香りがふわーっと上がってきてすっきりしますよ」
書いて、読んで、今の自分と対話する時間
「いつも自分と対話することを大切にしているから、自分が今何を考え、感じているのかを把握しておきたい。書くことで頭の中が整理されるし、直感も研ぎ澄まされていくような気がするんです。この『HININE NOTE(ハイナインノート)』でカスタムオーダーしたノートは、仕事用に使っています。表紙がレザーで、だんだん味が出てきました。家では日記もマイペースにつけています」
「本を読む時間も、私にとっては欠かせないケアタイム。読書は勉強でもあり、自分だけのリラックスタイムでもあります。書く仕事をするようになってからは、今まで以上に読むようになりましたね」
(左)もしもし、運命の人ですか/穂村弘(角川文庫)(右)植物たち/朝倉かすみ(徳間文庫)
(左・カバー)Aquvii x ⼩⾕実由 ブックカバー&ポーチ/Aquvii
「今日バッグに入れて来たのは3冊。私は人の頭の中を覗きたい願望が強いので、エッセイが好きでよく読みます。穂村弘さんの『もしもし、運命の人ですか』も、日常をこんな風に見てるんだという視点が、本当に面白い。朝倉かすみさんの『植物たち』は、いろんな植物の解説と、その生態を人間に置き換えた物語が載っていて、どちらもおすすめです。
ちなみに、このブックカバーは『Aquvii』とコラボして作ったもの。ショルダー紐付きで、いつでもどこへでも本を持ち歩けます。私は装丁も含めて本という存在が好きなので、表紙が透けて見えるようにしたのもポイント。新たな本の魅力を見つけてもらえるきっかけになればいいなと思っています」
「歳を重ねるって、楽しいよ」って言いたいから。まずは自分がご機嫌でいること
「これまでは、『憧れの女性たちに追いつきたい!』と頑張ってきたけれど、気がつけばSNSでコメントをくれる方たちも、自分より下の世代が増えてきていて。私自身、上の世代に面白いものをたくさん教わってきたので、今度は私がそれを伝えられる存在になりたいんです。
先のことって、不安じゃないですか。その不安をちょっとでもなくせるように、『歳を重ねるって、楽しそう』と思ってもらえるように、まずは私自身が楽しくご機嫌でいられたらいいな」
取材・文/秦レンナ 撮影/長田果純 企画・編集/種谷美波(yoi)