【yoi2周年スペシャルインタビュー第1弾・後編】健やかな美しさや飾らない言葉、唯一無二のセンスで人々を魅了してやまない水原希子さん。スペシャルインタビュー後編では、仕事への思いやSNSとのつき合い方、自分らしく生きることについて、今のまっすぐな気持ちを語ってくれました。

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仕事のオファーが見れるようになったことで、自分で自分の“価値”を知れた

――記事前編では、幼少期から、映画『ノルウェイの森』で初の俳優業に挑戦された頃までのお話を伺いました。その後、2017年にはハリウッドへ向かわれたんですよね。

もともとはハリウッドというよりも、アジアに興味があったんです。2014年くらいかな、韓国や中国、台湾の映画にハマったことを機に、韓国や中国で仕事をするようになりました。なかなか映像作品に出る機会は得られず苦戦していたら、アジアに展開しているアメリカの大手事務所が私に興味を持ってくれて。ハリウッドに数カ月間滞在してみないかと誘われ、とりあえず行ってみたという感じですね。

――実際に訪れてみて、驚いたことや発見はありましたか?

行って初めて知ったのですが、アメリカのエージェントって仕事のチャンスを取って来てくれるだけで、マネジメントはしてくれないんですよ。わかりやすく言うと、オーディションのチャンスはくれるけど、それ以降は自分でご自由に!という感じ。しかも連絡が急で、「明日行ける?」なんて日常茶飯事。いつチャンスが舞い込んでくるかわからないし、それを掴み取れるかどうかは自分次第。まさに実力主義ですよね。

“頑張らないと勝てない”という清々しい環境には感動したけれど、正直かなり過酷でした。オーディションにも挑戦しましたが、なかなか決まらないし、「ハリウッドでどうしても勝ちたい!」という気持にもならなかった、と言うのが正直な結果です。

ただ、今の私につながる大きな収穫もありました。ファッションの祭典、『メットガラ』にも呼んでいただいたりして人脈も広がった。海外の仕事はInstagramのDMを通じて直接オファーがあるので、自分の可能性を知ることができたことは大きかったです。

――その経験が、帰国後に個人事務所を立ち上げるきっかけとなったのでしょうか?

そうですね。SNSを通じて色んな仕事のオファーをいただき、“私ってそういう需要もあるんだ”、“こんなふうに見られているんだ”、ということが見えてきて。“事務所に連絡が行っていたら、断られていたかもしれない仕事”をすべて知ることで、自分の価値を再認識することができた。自分で自分をコントロールできることが、私にとってはとても大きな意味を持ち始めたんです。

本当に伝えたいことを信じてもらうためにも、SNSでは絶対に嘘をつきたくない

水原希子 Mizuhara Kiko インタビュー 個人事務所 2

――水原さんの発信や発言が、さらに大きな影響力を集め始めたのは、独立された頃と重なる気がしましす。

そうかもしれません。個人事務所を立ち上げて受ける仕事の幅が広がったことも、その大きな要因だと思います。自分で仕事を管理するようになったら、どの依頼もありがたくて、この時期は片っ端からオファーを受けていたから。

でも実は、「自分の考えをメディアで発信していきたい」という気持ちは、もともとそこまで強くなかったんですよね。意見を求められる機会が増えたのも、たまたまSNSでの投稿が話題になったことがきっかけで。それに興味を持ってくれた媒体からインタビューを受けていたという感じです。

今も気軽に気持ちを綴りたい気持ちはあるけれど、安易にはできないです。意見すれば必ず賛否両論が巻き起こり、反対の意見を持つ人からネガティブなコメントが来たり、ネットメディアによって面白おかしく切り取られることもある。そういうことを繰り返していると、どんどん自分の発言力が薄くなるというか、信憑性がなくなってしまう気がして。よほどのことがない限り、発信しなくなりました。

――賛否両論が巻き起こるのは、水原さんの影響力があってこそだと思います。

そういう意味では、ありがたいですよね。以前、現場でのセクハラに対する告発を自分の言葉で広められたのも、Instagramというプラットフォームがあったおかげだから。そのときに改めて気づかされたのは、本当に伝えたいことを信じてもらうためにも、信憑性を維持することは大事だし、自分の影響力を軽くとらえちゃいけない、ということ。

だから最近は、SNSでのPRのお仕事はほとんどお断りしています。自分が本当に好きではないものを載せていることに、苦しさを感じるようになってしまって。ファンの方に「希子ちゃんがいいと言っているから、きっといいものなんだ」と思ってほしいし、私もそういうものを伝えていきたい。ファンの方を騙したくないんです。SNSでの影響力を使ってお金を稼ぐ行為は個人的には避けたいな、というのが正直な気持ちですね。

“気持ちのいい環境に身を置くこと”の大切さ

水原希子 Mizuhara Kiko  ViVi Netflix 彼女 

――最近の希子さんの投稿は、以前にも増してポジティブなエネルギーに満ちていると感じます。とくに旅のお写真が増えた印象がありますが、お仕事とプライベートのバランスにも、変化はありましたか?













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ありましたね。きっかけは先ほども触れた、映画撮影でのハラスメントです。現場ではストレスが多くて思うようにお芝居ができず、“気持ちのいい環境に身を置くこと”の大切さを改めて痛感しました。『ViVi』モデルとして得た学びにも通じますが、好きなことをするとパフォーマンスは上がって、好きではないことをするとおのずとパフォーマンスも下がる。無理して頑張ってもいい結果につながらないならば、やる意味はないし、そういう仕事はもうやめよう。そう決めたんです。

そこからは、規模や金額の大小関係なく、「本当に自分がときめくか」を基準に、じっくり考えて選ぶようになり、余った時間を旅にあてるようになりました。

最初は「休むこと」が目的だったけれど、旅先で得たインスピレーションを自分のブランドやお芝居に生かせたり、出会った人と仕事をすることになったり…いい影響がたくさんあった。そんな今の生き方がすごく好きだし、これからも、自分がときめく環境にいたいと思っています。

水原希子 Mizuhara Kiko 個人事務所 海外 旅行 SNS

――最後に、「自分らしくありたい」と思うyoi読者に、水原さんはどんな言葉をかけますか?

実は私も、“自分らしさ”がわかるようで、まだわからないんですよね。「自分らしさとは?」と聞かれるたびに、すごく悩みます。1週間前の自分と今の自分は違うし、明日いきなり変わることもありうるし。

でもひとつだけ自信を持って言えるのは、「自分のことを信じてあげよう」ということかな。私は“自分の直感や好きなものを受け入れて、自分を否定しなくなったこと”が、大きな変化につながったから。「まわりに何を言われてもいい!」と決めてやり通したら、その先に必ずいい結果がある。そうやって少しづつ成功例を作っていくことが、自分らしい生き方につながっていくはずです。

水原希子 Mizuhara Kiko 海外 活動 これから

水原希子

女優、モデル、デザイナー

水原希子

女優、モデル、デザイナーとしてマルチに活躍し、国内外のさまざまな作品や雑誌の表紙で存在感を放つ。日本語、英語、韓国語を話すトライリンガルで、ソーシャルメディアでも圧倒的な人気を集める。

取材・文/中西彩乃 撮影/松岡一哲 スタイリスト/小蔵昌子 ヘア&メイク/Sakie 企画・編集/種谷美波(yoi)

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