【yoi2周年スペシャルインタビュー第2弾・後編】心理カウンセラーとして活躍する乃木坂46の元メンバー・中元日芽香さんへのインタビュー。前編では、心理カウンセラーというセカンドキャリアを選んだ理由や、カウンセラーのお仕事で大切にしていることを伺いました。後編では、yoiのお悩み企画にも多く寄せられる20代後半〜30代の私たちが抱えがちなお悩みについて、心理カウンセラーとして、そして同世代の一人としてどう考えているのか、ご自身のエピソードも交えつつ、お話ししていただきました。

中元日芽香 心理カウンセラー 元乃木坂46

中元日芽香

心理カウンセラー&メンタルトレーナー

中元日芽香

1996年4月13日生まれ、広島県出身。2011年からアイドルグループ・乃木坂46のメンバーとして活動し、2017年に卒業。認知行動療法やカウンセリング学などを学び、2018年にカウンセリングサロン「モニカと私」を開設。心理カウンセラーとして活動を始め、今に至る。2021年に著書『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』(文藝春秋)を出版。

パーソナルな悩みが増える20代後半以降。歳を重ねて変わったことは?

――相談に来られる方は、どのような方が多いですか?

私に相談してくださるのは中学生から50代までと、年代は幅広いです。とくに多いのは20代後半から40代のビジネスパーソンです。

働き始めてからの数年は、誰しもが現場に慣れることに精一杯で。同じような悩みを抱える人が多いため、共有しやすく日常的に発散できるんです。しかし20代後半を境に、転職を考えたり・結婚を意識したり・体調の変化が現れたり…とライフステージの変化で、悩みがパーソナルな内容にシフトします。すると、人と共有しずらくなり、一人で抱え込んでしまう、という傾向が高くなるように感じます

――yoiもその年代の読者の方が多く、まさにそういったパーソナルなことで悩んでいるという声を多く聞きます。中元さんご自身は、20代後半になってからの悩みの変化は感じますか?

個人的には、高校生から20代前半の頃のほうが悩んでいたし自信がなかったなと。大人になるにつれて「自分はこういうことをして生きていこう」とか、「自分はこういう人間で、これは得意だけどこれは苦手」ということがはっきりしてきました。苦手なことに関しては避けることができたり、誰かに助けてもらうようにしようと思えるようになったので、私はどちらかというと、歳を重ねたことで考えやすくなったし、いろんなことが処理しやすくなったなと感じています

――それは、カウンセリングの勉強をされたというのも影響しているのでしょうか?

それは大きいと思っています。もともとの性格上、ネガティブな考えに着地しやすかったり、極端なところがありました。ゼロか100か、みたいな。自分に厳しくて、力を抜くのが下手だったので、「なんか疲れるな」「なんか生きづらいな」と思って生きていたのですが、カウンセリングを勉強したことで「ほどほどにやっていけばいいか」と思えるようになりました

中元日芽香 心理カウンセラー 元乃木坂46 2

自信が持てないときは、ボジティブな言葉を意識的にキャッチして

――中元さんも10代〜20代前半の頃は、自信が持てずに悩むことがあったのですね。yoi読者からも、自分に自信が持てないという声をよく聞きます。ありのままの自分を愛したいと思いつつも、なかなか愛せないという悩みには、どう向き合ったらよいと思いますか?

人のよいところはすぐに見つけられる一方で、自分のよいところとなるとなかなか見つけられないものです。その理由は、自分にとってはごく普通のことだから。コミュニケーション能力や気遣いなどの「行動」は、特に客観視しにくいため、人よりも優れていると実感できないんです

人と比べて自己嫌悪に陥ってしまったときは、一度過去に人に褒められたことを振り返ってみてほしいです。直接的な褒め言葉でなくても、例えば「早く仕事を仕上げてくれて助かった!」という感謝の言葉にも、あなたの手際のよさに対する評価が表れています。自己肯定感が低下しているときほどスルーしてしまいがちな、ポジティブな言葉を意識的にキャッチするだけで、気分が上がるはずです

言われてうれしかったこと・褒められたことを、手帳やスマホのメモ機能に書き留めてみてはどうでしょう? 人は、ポジティブなことよりもネガティブなことが記憶に残ってしまいがち。それを見返しながら反芻する作業をルーティン化すると、自分のよいところが記憶に残るので、自分をポジティブにとらえられるようになるんじゃないかなと!

――「自信が持てない」という悩みに関連して、「子供の頃に思い描いていた大人像になれていない」という声もよく聞きます。中元さんは大人になってからのほうが、自分らしくいられているとおっしゃっていましたが、そういった葛藤はありましたか?

私は25歳の誕生日を迎えたときに、同じ理由で自分に絶望しました(笑)。四半世紀も生きてしまったけど、私は何かを成し遂げられたのだろうか?と。10代から芸能のお仕事をする中で「若いのにしっかりしてるね」と言っていただくことが誇らしかったんですけど…しっかりしていて当然の年齢になったことで、誇れることをひとつ失ってしまった感覚もありました。

でもまわりを見渡してみると、いい意味でいくつになっても無邪気さのある大人がたくさんいてとても魅力的だったんです。それぞれのペースで生きる大人たちの姿を見て「年齢は生きてきた年数のラベル以上でも以下でもないんだ」と思えたし、心から救われました

漠然と今の自分に満足できない人も、きっと心の奥には何らかの「理想像」があるはず。まずは、それを明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。「なぜそうなりたいのか?」→「そうなるためには何が必要?」→「今の自分には何が足りない?」…と丁寧に突き詰めて、ひとつずつ達成していくのが近道だと思います。わかりやすい理想の指標として、結婚・出産・昇進などがあります。しかし自分だけの努力では達成できないため、家事をきちんとこなす・楽しめる趣味を見つける、など、自分次第で達成可能なことを含めることがオススメです!

中元日芽香 心理カウンセラー メンタルトレーナー 元乃木坂46

大切な相手だからこそ、自分軸で距離感をコントロールするべき

――相談者さんに特に20代後半からの方が多いのは、ライフステージの変化により悩みがパーソナルな内容にシフトすると、人と共有しにくくなり、一人で抱え込んでしまうからと分析されていましたね。yoi読者も、「友達とわかり合えなくなってきた」という悩みを抱えている方が多いようです。中元さんも、そういった悩みはありますか?

出産や子育てなどで体調やライフスタイルが変わりやすい、女性に顕著な悩みです。同じ年齢でも、仕事に熱中している人と子育て真っ只中の人では、話したいことも聞きたいこと、かけてもらいたい言葉も違う。どちらが悪いわけでもなく、単純に意識の向いている方向が違うんです

でも、そのような状況で「気が合わないから関係を切る!」としなくてもいいのが、友情のよさだとも思います。相手が家族やパートナーである場合は、生活を共に続けるためにも話し合いが必要不可欠。一方で、もともと距離がある友人とは距離も時間も置きやすい。転校や転勤で長らく会えなかった友人と、再会してすんなり元の関係に戻れた!という経験はありませんか? 少し時間を置いてみて、また話したいと思ったときや、お互いに似た境遇に戻ったときに縁を繋ぎ直すのもアリだと私は思います

私は乃木坂46のメンバーとは今でも友達ですが、継続して連絡を取り続けている子もいれば、数年に一度ご飯に行く子、用事ができたタイミングで会う子など、距離感はさまざま。距離が近い子ともお互いの都合で会えない期間が続くこともあります。それを心地よく感じられるのは、私自身友達に依存していないことが大きな要因です

友人関係に限らず他人に依存しないことは、健やかな精神状態を保つ上で大切なこと。会いたいときに会いたい人と、話したいことがあるときに話をしたい人と会う。シンプルですが、そんな関係がベストではないでしょうか。無理をして話を合わせたり作り笑いをしたりすると、それはきっと相手にも伝わります。大切な友達であればなおさら、自分軸で関係や距離をコントロールすることが、よい関係を保つことにつながると思っています

――相手が大切だからこそ、自分軸で距離感をコントロールする、という考え方にハッとしました。それには、自分の思いを相手にうまく伝えることも大事なのかな…と思いますが、相手にどう思われるのかを気にして、なかなか自分の思いを伝えるのが得意ではないという方も多い印象です。

わかります。実は私も相手の受け取り方を気にして、言いたいことを秘めてしまうタイプ。些細な会話やLINEでのやり取りですら不安で「あの言い方は良くなかったな」などと毎晩、一人反省会をするほどでした。どんなに注意して言葉を選んでも不安はなくならず、そんな自分が嫌で嫌で…。でもあるときから、「私の性格上、気にしないなんて無理なんだ!」と諦めるようになりました

そう思えるようになったきっかけは、気持ちの切り替え。考えてしまうのは辞められない。でも考えすぎてしまう私ならば、相手の地雷を踏むようなことや、傷つけるような言葉を言わないだろう。相手にモヤモヤさせてしまうくらいなら、自分がモヤモヤしているほうがまだいいよね。そう思ったら、抱えてしまう自分を嫌悪することがなくなりました。

カウンセラーとして改めて思うのは、言葉を選んだり相手に気を遣ったりすることは決して悪いクセではないので。「相手がどう思うか不安で何も言えない」と表現するとネガティブに聞こえますが「相手のことを考えた上で言葉選びができる」と言うとポジティブに聞こえませんか? そういった方の多くは、相手の痛みがわかる優しい人。その優しさを、少しだけ自分に向けてあげてほしいなと思います

ただ、気遣いや優しさが素晴らしいことでも、言わずに我慢しすぎて壊れてしまう人間関係もあります。それを防ぐためにも自分を理解してほしいパートナーや家族などの近しい人には、時々あなたの意思を伝えることも大切です。それにより仮に相手が気分を害して離れてしまったとしたら、その人とは、そもそも相性が合わなかったのでしょう。自分にとってストレスを与える人と離れる、いいキッカケにもなるかもしれません。

中元日芽香 心理カウンセラー インタビュー 元乃木坂46

将来は不安? 楽しみ? 考え方ひとつで、心も行動も変わるかも

――お話を聞いているだけで、なんだか心が軽くなってきたような気がします(笑)。とはいえ、将来に対しての不安や悩みがなかなかなくならない私たちに向けて、何か伝えたい言葉はありますか?

過去や現在の悩みと比べて、未来は予測できないことばかり。だからこそ、アプローチ方法が見つけにくいんです。病気や事故に対する不安とか、現在の不況から生ずる金銭面の心配とか…。「脅威に感じることがたくさんあって、安心して生きられない」といった悩みは、クライアントさんからもたくさん伺います。

大なり小なり、将来への不安は誰もが抱くもの。そんな言葉が少しもの救いになればいいですが「考えてしまって眠れない」「何もやる気が起きない」といった状態にある場合は、誰かと共有してみてください。悩んでいるときはいつも以上に答えを導き出すのが難しく、一人で続けていると、よりネガティブな考えに陥ってしまう傾向にあります。人は話すだけで心が軽くなりますから、日頃から、さらっと愚痴やストレスを言い合える相手がいると、悩みの肥大化を防ぐことにつながりますよ。カウンセリングもぜひ活用してください。

不安を完全に取り払うのは無理でも、「また今度考えよう!」と切り替えるクセをつけるのも、おすすめです。ちょっと気分が落ち込んだ時は、趣味に没頭するとか。ネガティブな思考を、色んな予防線をはったり対策をしたりと最悪な事態を回避するための行動をとるきっかけとして捉え直してみるのもいいかもしれません。悩んでしまう自分を責めるのではなく、心配性だから最悪の事態にならずにいるんだ! と考えて、自分のための行動に取り組んでみてほしいです

ちなみに私は、将来がとても楽しみなタイプ。先輩方から「人生は30代、40代になるともっと楽しいよ」と聞きますし、カウンセラーとしても成長して…と想像するとワクワクします。もちろん不安もあるけれど、それらを乗り越えることでより素敵な未来が訪れる。そう考えると、未来が少し明るく思えませんか?

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取材・文/中西彩乃 撮影/森川英里 スタイリスト/ミク ヘア&メイク/池田奈穂 企画・編集/木村美紀(yoi)