腰痛持ちで言動がジジむさいことから“ニャーおっさん”と呼ばれる、二足歩行をするネコ。そんなニャーおっさんの日常を描いたほっこりキャラクターのギャグ漫画『ニャーおっさん』がついに完結!
作者のコンドウアキさんは『リラックマ』や『うさぎのモフィ』などの人気キャラクターたちの生みの親で、『ゆめぎんこう』などの絵本も大人気!そんなコンドウアキさんに、キャラクター作りについてや、『ニャーおっさん』の制作秘話についてお聞きしました♪
イラストレーター・キャラクターデザイナー・絵本作家
愛媛県出身。1997年に文具会社に入社し、『みかんぼうや』『リラックマ』などの大ヒットキャラクターを生み出す。2003年にフリーになってからは、『うさぎのモフィ』『ニャーおっさん』などのキャラクター作成や、『ゆめぎんこう』などの絵本を執筆。
キャラクターは、絵を描くことが苦手な方でも描けるようシンプルに
──『リラックマ』や『うさぎのモフィ』など、コンドウさんはたくさんの個性的で親しみやすく愛しいキャラクターを生み出されていますよね。キャラクターを考えるうえで意識していることなどはありますでしょうか。
絵を描くことが苦手な方でも、描きやすく、でしょうか。なるべくシンプルに描きやすく、というキャラクターを目指していますが、毎年どんどん新しいキャラクターが世の中には増えていくので、他と似ないように、そしてシンプルに、って難しくなっているなぁと思っています。
──作家としてお仕事をされてから、約20年。今までの作品を改めてまとめた『コンドウアキのおしごと展』が現在全国巡回中ですね。いらしたお客様の反応を見て、うれしかったこと・意外に思ったことなどはありますか?
フリーになって20周年、絵のお仕事を始めてからは27年目になるのですが、「幼稚園の頃から大好きです!」 とか「親子三代で好きです!」と言っていただくと「ええええ!?」となります。 ぼーっと机に向かって過ごしてきた時間は、「そうか、0歳が成人してしまう年月だなあ」、と…。 展示をするまであまり意識していなかった長い時間を、いらしてくださったお客様からのメッセージを見たりなどして、改めて実感しつつもびっくりしたりしています。
──ハラマキがトレードマークの『ニャーおっさん』というジジむさいネコのキャラクターを思いついたきっかけはなんでしょう?
もともと『ニャーおっさん』は、クリエイティブカンパニーである『プリンツ21』さんが運営するキャラクターサイトのキャラクターとして生まれました。どこか哀愁のあるネコを描きたいな、と思ったのがきっかけです。タコ社長やチュー坊などのまわりのキャラクターたちは…なんならネコに食べられそうなモチーフですね…。そんなつもりはなかったのですが、今改めて思い返して、「あっ」となっています(笑)。
『ニャーおっさん』に限らず、私はもともとキャラクターには「こういうふうに受け取ってほしい」という作り手の思いをなるべくのせないように、と思って作成しています。 もちろん、仕事をご依頼くださるクライアントさんの「こういう感じがいい」というご要望は伺って落とし込むようにしますが、あくまで私自身の思いはのせないというか…。
世界観は大事に作りたいと思っていますが、受け取られ方はユーザーさんや読者さんの自由だと思っています。キャラクターも本も、作者の手を離れた後は、ユーザーさんや読者さんの元に存在します。生活の一部に寄り添えたらいいなとは思いますが、思ってもそこまでです。だから『ニャーおっさん』も、そういう意味では何か最初からメッセージ性があるわけではないんですよ。
まさか憧れの漫画誌『りぼん』で連載することになるとは…
──そんな『ニャーおっさん』が、少女漫画誌『りぼん』で隔月連載されることになった経緯を教えてください。
『りぼん』の編集さんから、お声がけいただいたのが始まりです。『りぼん』といえば、私が子供時代、近所のお姉ちゃんが買っていてよく読ませてもらっていた憧れの雑誌!『りぼん』派『なかよし』派でクラスが二分していたのもいい思い出です。そこからいろんな漫画を知り、単行本を楽しみに買い、友達と貸し借りをし…そんな小学生時代の思い出の代表雑誌である『りぼん』からまさかのお声がけがあるとは…!とびっくりしました。
実際に編集さんとお会いしたときも「おお、この方があの『りぼん』の編集さん!」と思いましたし、東京の編集部にお邪魔したときも「ここが『りぼん』の編集部!!」と感動しました(笑)。
お声がけの内容としては、「なにかキャラクターの漫画の連載を…」とのことだったので、「それならこのようなネコのキャラクターがいるのですが、どうでしょう…?」とご相談して、スタートすることに。とはいえ、やはり私はキャラクター畑の人間ですので、コマ割りとか話の流れとか、読者の方が読みやすくできているのかはいつも心配でした。
一度本気で心配になって、当時の編集さんに改まって相談したこともあったのですが、ぽかーんとされて「読めますよ?」とひと言。おそらく本家の漫画家さんから見たらツッコミがたくさん入るだろうなとは思っています(笑)。
その世界観が本当にあるかのような錯覚を起こしたり、読み終わった後もずっと心に残っている漫画作品たちのすごさに、改めて感じ入ったりしています。まったく止まらずスムーズに読める漫画って本当にすごいです…。あとページ数もすごい…!私は5Pでヒーヒー言ってました。
──何でも屋『ニャンデモ21』でアルバイトするニャーおっさんは、常にまわりの無茶振りに応えていますね。作中に出てきたエピソードで、もしコンドウさん自身がこれを依頼されたらちょっと嫌だな…大変だな…と思う依頼はどれですか?
毎回いろいろ嫌ですね…(笑)。基本引きこもりなので、体力勝負のご依頼は翌日動けなくなりそう…。なので嫌なのは、草むしりとか運動会助っ人とかでしょうか。整理整頓も苦手なので、片づけなんかは逆にニャーおっさんに来てもらいたいです…。あ、あと、ハシビロコウ散歩も!大事なハシビロコウに逃げられたらと思うとゾッとします。
コンドウさんが「ニャンデモ21」に仕事を依頼するなら?
──コンドウさんが逆に今「ニャンデモ21」に依頼できるとしたら、どんなことを依頼したいですか? また、依頼したら、ニャーおっさんはどんな反応をしそうだと思いますか?
やっぱり一緒に大ゴミ出しをして、家中模様替えしてもらいたいな〜…。多分(家の中の)7割くらいいらないものな気がするんですけど、片づけが苦手でやる気が起きなくて…。やり出したら止まらないのはわかっているのに、なぜやれないんでしょうね。そんな私に、ニャーは「これ全部捨てていいですニャよ…」って言ってきそうです(笑)。今年はちゃんと片付づけたい!!!!!!
──まわりから無茶振りをされて疲れてしまっている読者の皆さんも多いと思います。どんな気持ちの切り替え方法やリラックス方法をおすすめしますか?
私はストレスがたまることがあると…もういったん寝ます。仕事のスケジュールがだんご状態になると、「もうダメだっ!」っていったん寝るのですが、ストレスのせいかいつもより過眠になってしまい、結果的に余計時間が足りなくなって焦って、さらにストレスがたまることも(笑)。それでも寝ます!
お風呂に入ってるときはリラックスしますね。入るまでホントめんどくさくて嫌なんですけど、入ったら至福です…。
私の知人で、ストレスがたまると「うお~~~~!!!」と自転車でどこまででも走りにいってしまう人がいて、それは羨ましいなと思いました。体力つくし、痩せるし…。そんなマインドにいつかなりたいですね。
──最後に、『ニャーおっさん』の漫画の見どころや楽しんでほしいところなどをアピールしていただけますでしょうか。
はい!ネコとタコとイカとネズミの漫画で、「ナニソレ」という感じだとは思うのですがショート漫画ですので、寝る前のひとときやちょっと休憩のひとときなどの3分くらいをいただけましたら。そうしたら、ラクに読んでいただけるのではないかなと思います!(笑)。なにも考えたくないな、というときのお供にしていただけますとうれしいです!…って、キャラクターや作品に特に私の思いはのせない、と最初に言ったのに…ですね(笑)。
発売されたばかりの『ニャーおっさん』2巻を試し読み!
愛蔵版コミックス『ニャーおっさん』②/コンドウアキ 定価¥1320(税込)
『ニャーおっさん』のコミックス全2巻好評発売中!!疲れたときに癒される、ほっこりゆる~いジジむさネコの日常を覗いてみてください♪
構成・取材・文/上原天洋(りぼん編集部)