会社員や、外資系航空のCA時代の経歴を生かしたネタで人気のお笑い芸人CRAZY COCO(クレイジーココ)さん。前編ではその転身のきっかけや価値観の変化、ライフスタイルや美と健康への意識について詳しくお伺いします。
コロナ禍で死を意識したことがきっかけでお笑い芸人の道へ
──「東京CAと関西CAの違い」「外資系CA」「オツボネCA」など、自身の経歴を生かしたネタでブレイクし、“元CA芸人”と名高いですが、実はその前後の会社員経験もネタのエッセンスになっているそうですね。
クレイジーココさん:大学卒業後、新卒で入ったタオル商社を辞め、27歳でのCAに転職。4年半勤めていた外資系航空をやめ、日本でのOL経験を経て35歳で芸人になりました。
お笑い芸人を目指したきっかけは、2021年にコロナウイルスで入院して初めて死を身近に感じたとき。それまで自分が心から100%幸せ、楽しいなと思える仕事をしてこなかったことに気づいたんです。『明日死ぬとしたら何がしたい?』と自分に問いかけたとき、ポジティブを発信する立場になりたいと思い、お笑い芸人の道へと一歩踏み出すことができました。
「安定」よりも「楽しくて毎日刺激的な仕事」が幸せにつながる
──大阪出身のココさんにとって、お笑いは生まれたときから身近にあって、精神に根付いている大きな存在にもかかわらず、なぜ早くから飛び込まなかったのでしょうか?
クレイジーココさん:子どもの頃からお笑いが大好きでしたが、まさか自分がお笑いや芸能の仕事で食べていけるとは思っていませんでした。以前は、安定志向・ステイタス重視で、土日休みの仕事がいいと思っていましたから。
特にCA時代は所属している会社がすごいだけなのに自分まで天狗になって、付き合う相手も年収や肩書き、持ち物などで選り好みしていた時期もありました。
けれども、いろいろと転職をして、コロナに罹って、価値観が180度変わったんです。私にとってはそういう『安定』よりも、『面白くて楽しくて毎日刺激的な仕事』をするほうが自分の幸せにつながるのだと。今では本当にやりたかった仕事ができているので毎日が本当に楽しいし、100%幸せです!
文化の異なる芸能界での戸惑いも
──会社員やCA時代とはまったく文化の異なる芸能界に入り、戸惑いや悩みを感じたことはありますか?
クレイジーココさん:まず最初に大きく感じたのは、『良くも悪くも男性社会だな』ということ。外資系航空で働いていたとき、まわりのCAはほぼ外国人。LGBTQ当事者のかたもまわりにたくさんいて、オープンかつフラットな環境でした。年功序列とか性別によるジェンダーロールを押し付けられることは特になく、生理やPMSについての話も気軽にできました。自然にフォローもしてもらえていて、今考えるととても恵まれていたんだと思います。
芸人になってからは、「生理やPMSでテンションが低い=やる気がない」とみなされることもあったりして、だけど生理とかPMSとか言えないからどうしよう……と、最初はすごく生きづらさを感じました。
だけどレギュラーのお仕事に関しては関係性ができてくると、そういう話も勇気を出してできるようになり、スタッフの男性の方も理解を示してくれて、それからはとても気がラクになりました。今後も芸能界全体で、少しずつでいいので生理やPMSについての理解を得たり、女性がもっとメンタル的にもフィジカル的にも働きやすい環境になってくれたらうれしいですね。
ペスカタリアンになってからは肌・心・体の調子も良好に!
──芸人になる少し前から“ペスカタリアン”(哺乳類と鳥類の肉や肉由来の製品を避け、魚介類や野菜、果物、穀物などを口にする食生活スタイル)に食生活をチェンジしたそうですが、きっかけや理由を教えてください。
クレイジーココさん:CA時代にはいろいろな国の人と出会う機会があり、さまざまな食生活があることを知りました。ヴィーガンはもともと知っていましたが、私は「日本食って最高じゃん!」と思っていて、多くの食材をバランスよく食べていれば健康に過ごせると思っていたんです。
ちょうどその頃、ダイエット目的で自分の体質にどんな食材が合うのか・合わないのかを調べる遺伝子検査をしたのですが、『あなたはお肉を分解できる酵素が少ないので、タンパク質は大豆食品かお魚からとってください』みたいな結果が出たんです。でもその当時はお肉が大好きだったので「うるせー」と思って、全然そのとおりに改善しなくて(笑)。
そして時が流れたある日、高いお肉とワインをいただく機会があったのですが、驚くほど体調に異変を感じたんです。これはもしかしたらお肉が原因かもしれないと思い、そこで1回お肉をやめてみたというのがきっかけです。
すると体がむくみにくくなったりお腹を壊す頻度も減ったりと体調がとてもよくなっただけでなく、肌の調子もよくなりました。ダイエット法も糖質制限や脂質制限などさまざまありますが、それが全員に当てはまるわけじゃないですし、1度どんな食材が自分に合っているのかを調べてみることが、心地よい体でいられる近道なんじゃないかなと思います。
トップス¥27500/ハウント代官山、デニム¥37400/ニードバイヘリテージ(ともにゲストリスト 03-5728-8788) ピアス¥3960/ミミサンジュウサン(サンポークリエイト 082-248-6226) ネックレス¥24640(ノムグ)
撮影/岡本 俊 スタイリスト/伊藤あかり 取材・文/内田淳子 企画・構成/渋谷香菜子