実力派ガールズグループ「FAKY」の個性豊かなメンバーの一人として、国内外で活躍してきたHinaさん。2024年1月より活動休止となった「FAKY」のラストライブから3カ月が経ち、今まさに新たな世界に飛び込もうとしている彼女に、今後の目標や思い浮かべている未来像を伺いました。
avex GIRL’S VOCAL AUDITIONで6,000人の中から決勝に進出し、小室哲哉プロデュースのガールズグループを経て、2018年「FAKY」へ加入。恋愛リアリティーショーABEMA「月とオオカミちゃんには騙されない」への出演を機に「No.1モテ女」としてティーンから絶大なる支持を得る。SNSの総フォロワー数は100万を超え、数々のファッション誌、ハイブランド、メディアやショーにモデルとして多数出演。さらに、女優としてドラマ出演や番組MCを務めるなどマルチな才能を発揮。特徴的な低音のウィスパーボイスで他アーティストとのfeat.参加楽曲も多数。2024年1月の「FAKY」グループ活動休止後は、個人での活動を中心に行う。
しんどいのは自分だけじゃないからこそ頑張れる
——「FAKY」活動休止前のラストライブを終えて、2カ月が経ちました。今の率直な気持ちを教えてください。
Hinaさん:この2カ月の間に、たくさん心境の変化がありました。ラストライブが終わった直後の1週間は、繰り返しそのライブの映像を観ては、涙を流していたんです。「やり尽くした」という気持ちもあって、本当に何もする気が起きませんでした。
ラストライブが今までで一番大きなステージでしたし、自分たちのやりたいことが反映できた、まさに「集大成」だったので、その余韻から抜け出すのに少し時間がかかってしまいました。嘘みたいな話なんですけど、ずっとライブの夢を見続けていたんです。メンバーたちとは毎日一緒にいたから、会う習慣がなくなって寂しかったというのもありますね。これからの不安もあったんだと思います。
でも、今は前向きに考えられるようになりました。こうやって気持ちを切り替えられたのは、時間のおかげかもしれません。今までは、ライブ、ライブのための練習、レコーディング、そのあいだに個人の活動をしていたので、目が回るくらい忙しかったんです。休みなくずっと何かに向かって走り続けていたので、自分をケアする時間がなかったのかもしれません。当時はスケジュールに隙間をつくるのも怖くって、とにかく予定を入れていました。今は自分だけにフォーカスできる時間が増えたので、その「余裕」が私を前向きにしてくれたんだと思います。
——活動休止が決まってからラストライブまでは、どのような気持ちでしたか?
Hinaさん:グループ活動を休止することが決まっているけれど、まだファンの方々は知らない、という時期はとてもつらかったです。ライブが終わりステージからはけた瞬間に、メンバー全員で泣いてしまうときもありました。申し訳なかったり、寂しかったり……いろいろな感情がごちゃ混ぜになっていたのかもしれません。
でも活動休止が決まったからこそ、今まで以上にファンの方々との時間を大切にできるようになったことは大きな経験です。私の発するメッセージを受け取って「その言葉のおかげで頑張れているよ」と言ってくださる方もいて、言葉のコミュニケーションの大切さを学べました。ファンの方々のことを思い浮かべて、私自身も元気をもらっています。
活動期間中は、慣れない海外でライブをしたり、びっくりするくらい大変な現場がたくさんあったんですけど(笑)、どんなにつらいときでも、いつでも隣にメンバーがいてくれたから乗り切れました。「しんどいのは自分だけじゃない」って、心強いですよね。
自分を強くしてくれる、個性豊かなメンバーの存在
——「FAKY」の活動を通じて得られたことはありますか?
Hinaさん:「FAKY」はさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっていたので、彼女たちから受ける刺激のおかげで広い視野を持てるようになりました。個性があることは強みであること、自分は自分でいいんだと思えるようになったのは、メンバーとのとても濃いやりとりがあったからこそ。もちろん、ほかのメンバーと自分を比べて「もっと表現が上手になりたい」と悔しい思いをしたこともありますが、その悔しさが活動の原動力にも繋がっていきました。「FAKY」の活動を通じて得た気づきは、プライベートでの人間関係にもすごく生きています。
——グループの中で「こういった存在でありたい」といった目標はありましたか?
Hinaさん:「FAKY」って、「私たちについて来なさい!」みたいな、かっこよさが楽曲にもファッションにもあったので、近寄りがたいと思われることも。なので、それを少し和ませるようなムードメーカー的なポジションでいたいという思いがありました。MCや、SNSでは「FAKY」のイメージに寄せていくのではなく、等身大の自分を出すように。ファンの方々に「意外と明るくて面白い子たちなんだな」って思ってもらえるきっかけに自分がなりたかった。
プレッシャーもあるけれど、今後の未来は楽しみしか感じない
——では、これからの目標は?
Hinaさん:これからはもっと「自分」を出していきたいです。「自分らしさ」ってなんだろう?って考えている途中なんですが(笑)。みなさんがイメージしているHinaと、実際の私にはもちろんギャップがあるとは思うけれど、そのギャップを見せることには抵抗はありません。
少し前だったらアーティストは、ブランディングされた姿を見せるのが最重要事項だったのかもしれませんが、今は少し違うのかなって。恋愛リアリティーショー『オオカミには騙されない』に出演してプライベートな自分を出した際に、それに共感してもらえてうれしかったので、「超普通」の人間だってことも発信していくつもりです。「FAKY」のときは撮影で「笑って」って指示されることがなかったから、今日の撮影はとても新鮮。まだカメラの前で笑うのは照れますね(笑)。
今までは5人がそれぞれのピースで、そのピースが集まってひとつになればよかったけど、今後は自分の中にさまざまなピースを持っていなければいけないですよね。言い訳できないというか。得意なことはもっと活かして、苦手なことも臆せず挑戦していきたい。プレッシャーは感じるけど、今は「これからが楽しみ」という気持ちが一番大きいです。
ジャケット¥49500、ロンパース¥22000、シューズ¥39600/タンクトウキョウ(info.tanctokyo@gmail.com)
撮影/島田彩枝加 ヘア&メイク/北原果 スタイリスト/中澤咲希 取材・文/高田真莉絵 企画・構成/渋谷香菜子