モデル、俳優、インフルエンサーとして国内外の第一線で活躍する傍ら、今年は新たにコスメブランド「kiiks」をローンチ。その多才さとバイタリティで、唯一無二の存在感を放ち続ける水原希子さん。今回のインタビューでは今の恋人との関係をクローズアップ。交際に至った経緯や過去の恋愛で傷ついた経験、自分を変えてくれた言葉など、たっぷりと語ってくれた。〈yoi3周年スペシャルインタビュー vol.1 前編〉
俳優、モデル、デザイナー
俳優、モデル、デザイナーとしてマルチに活躍し、国内外のさまざまな作品や雑誌の表紙で存在感を放つ。日本語、英語、韓国語を話すトライリンガルで、ソーシャルメディアでも圧倒的な人気を集める。
彼との出会いは2022年。一緒にいて安心できる人だった
──恋人との交際をSNSでオープンにしている希子さん。出会いのきっかけを教えてください。
コロナ後の2022年、彼が日本で参加した音楽フェスで出会いました。共通の友達と一緒に食事をしたことをきっかけに、日本で何度かデートしたんです。
私は父が白人なんですけど、アルコール依存症で浮気をしたり、すごく強烈な人だったんですね。そのせいか昔から、白人男性に対して少し抵抗感があって。でも今の恋人に対しては、そういう反応が一切なかった。むしろ一緒にいるとすごく安心する感覚があり、自分でもビックリして、より彼の存在が深く印象に残ったんだと思います。
彼がアメリカに帰国してからも連絡を取り合う中で、コロナも落ち着いたし、久々に海外に行きたいな!と。LAで再会して、ノリで一緒にメキシコへ旅行したんです。楽しい旅を経てLAに戻り、たわいもない話をしていたとき、アメリカのデート文化の話題に。アメリカは正式にお付き合いをする前に、相性を試す“デーティング”期間があるんですよ。
日本にはない文化だから面白いなーと思い、ふと「私達の関係もデーティングなんだよね?」と聞いたら、彼が焦りはじめて(笑)。関係の定義を迫られていると思ったらしく、「僕はデーティング以上に思っているよ。ガールフレンドになってくれる?」と。「まだ決めなくていいよ!」と返したのですが、彼に説得されて、お付き合いすることになりました。
嫉妬したり、不安になったり。過去の恋愛の失敗が頭をよぎった
──以前から、恋人という定義にはこだわらずに恋愛をしていましたか?
いえ、めちゃめちゃこだわっていましたね。付き合うまではセックスしたくない!というタイプだったからこそ、彼が告白してくれたとき、咄嗟に断った自分が不思議で。多分、防衛反応だったんですよね。共通の友達から、彼はすごくモテると聞いていたし、何年間も特定の恋人がいなかったから。自分に自信がなかったんだと思います。
それから、関係性が変わってしまうのも嫌でした。「彼氏」「彼女」っていう肩書きがついた瞬間に、お互いの所有物のようにみなされる傾向がありますよね? そのせいで嫉妬したり、お互いに対するリスペクトがなくなってしまったり…そういう経験を何度も繰り返してきたので。
“男性は浮気するもの”。思い込みを手放したら、執着心もなくなった
──現在の恋人とお付き合いを始めた当初、嫉妬などで悩むことはありましたか?
そうならないために、自分が嫉妬してしまう原因を考えたんです。嫉妬するのは相手を信用できないからで、そもそも、なぜ信用できないのか? 思い浮かんだのは、父と母の関係性でした。父は遊び人で、私が子どもの頃に父の浮気現場を見てしまい…すごく衝撃的で、今でも鮮明に覚えています。そのせいで、男性は浮気をする生き物なんだ!と思い込んでしまったんだと思う。
原因が自分の思考回路にあるとわかったから、それからは、ネガティブな発想から意識を引き離すことを徹底しました。彼の好きなところにフォーカスして、一緒に楽しい時間を過ごすこと以外は求めない。離れている時間は仕事や好きなことに集中して一人の時間を思い切り満喫するようにしたら、いい意味で彼に対してまったく執着しなくなったんです。今は東京とLAで二拠点生活を送っているのですが、長く離れている間も、まったく不安を感じません。
──彼も希子さんに対して不安や嫉妬を覚えることはないのでしょうか?
まったくないですね。むしろ彼はずっとシングルだったから一人で過ごす時間が長く、毎日誰かと一緒に過ごすことにまだ慣れていないんです。付き合い始めた当初、彼の家に泊まって5日間ほどたったとき、「一人の時間が欲しい」と言われて、急遽、友達の家に泊まらせてもらったことがありました。
最初は私もショックでしたが、数日後に再会して冷静に話を聞いたら、彼の気持ちも理解できた。それからはお互いにリフレッシュできるような別々の時間を作るようにして、彼はカウンセリングに通いはじめました。私といるために自分の問題を解決しようとする、その気持ちがうれしかったです。
大切な人だからこそ、問題を放置しちゃいけない
──それぞれが歩み寄り、問題と向き合いながら信頼関係を築いてきたんですね。
彼と出会ってからの約2年間で、数えきれないほどの発見や学びがありました。ひとつは、家族との向き合い方。昔、彼がお母さんと喧嘩して、わだかまりを解消するために、一緒にカウンセリングを受けたそうなんです。それを聞いて正直、「大袈裟だなあ」と思ったんですけど(笑)、彼とお母さんの関係を見ていたら、めちゃめちゃ大切に想い合っているのが伝わってきて。
会えば必ずハグして、「I love you」と伝え合う。アメリカでは普通のことだけれど、やっぱり素敵ですよね。わだかまりがあると素直に感謝したり愛情表現ができなくなるから、二人の関係は、きちんと問題解決してきた努力の賜物なんだな!と感動。ふと、私は最後にいつ、お母さんに素直な気持ちを伝えたんだろう?と考えても思い出せなかったんです。
そこから母に会うたびにハグすることを決めたんですけど、最初は恥ずかしさがあり、お互いによそよそしかった。でも何度も重ねる中で、ある日、心と心がくっつくような深いハグができたんです。子どもの頃に「ママ!」と抱きついたときの感覚がよみがえってきて、それを機に、素直にお母さんに甘えられるようになりました。
母も同じ感覚だったみたいで、「最近、子どもの頃の表情に戻ってきたね。希子ちゃんは優しい子だから、心配することないって安心しちゃってた。希子ちゃんのケアをおろそかにしてしまい、傷つけちゃってごめんね」と打ち明けてくれた。自分が変われば人も変わるということを、身をもって学びました。
「僕には心を開いて」。自分を偽らない私に導いてくれた言葉
──希子さんが心を開いたことで、お母さんも素直になれたんですね。恋人に対しては、最初から心を開いていましたか?
お母さんいわく、私は昔から他人の顔色をうかがって、自分の感情を抑え込む性格だったみたいで。自分ではまったく意識していなかったけど、付き合いたての頃に、彼から「希子はいい子だと思う。だけど、いい子でいるために頑張らないで」とお願いされたことがありました。「人間なんだから、弱い面やダメな面があってもいい。抑え込まずに、僕には心を開いてすべて見せてほしい」って。
確かに私は、お父さんに関するコンプレックスとか恋愛で傷ついた経験とか、ネガティブなことはなるべく話さないようにしていたんですよ。過去の恋人に伝えたとき、相手が受け止めきれずに「重い」のひと言で片づけられて、悲しむことがあったから。「重い」「めんどくさい」と思われないために話すのをやめていたけど、つまりそれって、男性が付き合いやすい女性像を演じてきたってことじゃん!と気づいてハッとしました。
それから過去のトラウマや失敗を少しずつ打ち明けていき、彼はすべてを受け入れてくれました。おかげで、そういった経験があるから今の自分がいるんだと思えたし、よく頑張ってきたな!と自分を認められるようになった。彼のひと言が、自分を否定しない、自分を偽らない今の私に導いてくれたんです。
──相手に対する愛情が大きければ大きいほど、「嫌われたくない」という思いから自分を偽ってしまい、悩んでいる人は多いと感じます。自分を偽らないパートナーシップを築くためのアドバイスをいただけますか。
誠実で率直な態度を持ち、考えや感情を隠さずに共有すること。相手を尊重しながらオープンなコミュニケーションを重ねることで、お互いの理解や信頼が深まると思うから。そして、彼が自ら心を開いてくれて、次第に私もそうすることができた経験から、恋愛に限らず人間関係は自分次第で変えられると学びました。
すべてを話し切った今、彼に言えないことは何も思いつかない! これほど深い信頼関係を築けたのは初めてのことで、自分を偽らなくなって初めて、自分を偽るつらさに気づきました。それは彼が、すべてのことを受け入れて認める、最高のセルフラブを教えてくれたから。そんな彼に、心から感謝しています。
撮影/佐藤要 スタイリスト/渋川舞子 ヘア&メイク/白石理絵 取材・文/中西彩乃 構成・編集/福井小夜子(yoi) 撮影協力/旅館鳳明館
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