“遊び心”もあなた自身。たまには日常を離れ、メイクで弾けてもいい
仕事で使う化粧品パレットは、クリエイティブに欠かせない必需品であり、遊び道具です。
梅雨の気配を感じつつ、夏日になることも増えてきた日本。吉川さんが住むアメリカのコネチカット州ではようやく春を迎えた様子で、「最高に気持ちがいい季節! 1カ月前まではまだ寒かったのに、急に暖かくなって、花が咲いて、散って、新緑が増えてきて…。すごい勢いで春が通過しているんです」と、季節の移り変わりを思いっきり満喫しているよう! 吉川さんが手がけるメイクアップブランド『UNMIX』は、このコネチカット州の自然写真を組み合わせてブランドの世界観を表現しているのだとか。
そんな『UNMIX』では、“光のヴェールをまとった素のまぶた”をコンセプトに、4月から『アイシャドーペン』と『アイリッドニュアンス』(Vol.9参照)が順次登場。これらのプロダクツで作る“日常で美しく見えるメイク”を楽しみつつ、開放的な夏に向けて、わくわくするようなメイクにも挑戦したくなります。
僕が手がけるUNMIXは、その人らしさにこだわった日常メイクのためのプロダクトだから、大胆な仕上がりよりも自然さを優先しています。
「弾けたいですよね、たまには。最近はコロナの自粛も解除され始めていますからね。『UNMIX』は、自然さを目指して、輝くツヤと透ける発色にこだわっているから、メイクで思いっきり遊ぶにはちょっと物足りないよね(笑)。
でも、もしも“メイクで弾けたい”と思うのなら、どんどんすればいい。“遊び心”も自分自身。それを解放したら、“自分を大切に思いキレイに見せたい”という普段メイクからひと味違うアプローチで、“自分の新たな一面”を楽しみながら発見できるかも。だから、たまには日常は置いておいて、どんなメイクでも挑戦してみるのは大賛成です!
とは言っても、いきなり普段と違うメイクを表現しようとしてもテクニックが追いつかないし、思い立ってすぐは何もできないかもしれない。そんなときのために、ひとりの時間が多い今だからこそ、普段からいろいろなメイクを試して遊んでみるんです。
その場合、日常メイクのプロダクツだけではつまらないから、遊べそうなカラーアイテムをショッピング。普段の“自分に似合うもの”という視点とはちょっと違ったショッピングの楽しさを感じられたらグッドスタート。好きな服を着て、誰も見ていない状態で、思いっきりメイクをしてみて。人が見ていないほうが絶対自由になれるし、思いっきり弾けることができますからね。そういう遊びの時間を、ひとりでTVを見るように、当たり前のように持てたらきっと楽しいですよ」
普段からひとりメイク遊びをすると、この先いろいろなメイクが楽しめます
「僕は女性をメイクするとき、いろいろと想像しながら行います。頭の中でメイクの“お題”を想定したり、ストーリーを作ったりして。皆さんも、メイクを楽しむときは、時にはロマンチックに、時にはクリエイティブに、いろいろ想像してみては? 自分の顔に似合う似合わないという視点だけでなく自由に想像できたら、いろんなインスピレーションを得られるかもしれません」
確かに、「今日はモデル気分でショッピング」「気になる人とのデートは●●風に」などストーリーを作ると、そのイメージに合わせたメイクパターンが浮かびやすくなりそうです。
遊びっぽいメイクには想像力が大切だから、メイク中はいろんなことを考えています。
「普段の透明感ある日常メイクと、趣味に対応したメイクが同じである必要はないと思います。メイクで遊びたいときは、とことん自分が楽しめるよう、自由にクリエイティブしたほうがいい。でも、これを何かの機会にいきなりやろうとしても無理。メイクのプロである僕でも、そのときいきなりはさすがに思いつきません。だからこそ、メイク遊びをする時間を設けるといいんです。
ちょっとスイッチを切り替えられたら誰にでもできるし、一度始めると、楽しくなってあれこれやりたくなるはず。この遊びが普段のメイクにヒントを与えてくれることも。最初は、誰かの真似などから始めて、そこからインスピレーションをもらってメイクしていくうちに、どんどん自分のものになって、いろんな自分にも気がついてきたりします。誰にも迷惑をかけるわけではないし、メイクはオフできるし。自分のライフスタイルもファッションも関係ない。誰かに見せたくなったら見せればいい。考えるだけで楽しそうでしょ!」
本当に楽しそう! 一度、自分にとってベストなメイクパターンが決まってしまうと、そこから抜けるのはなかなか難しいもの。『トレンドカラーを使えば』『夏らしい色をまとえばOK』と、簡単に考えがちですが、やったことがないメイクでいきなり人前に出るのは、かなり勇気がいりますよね。そのための“ひとりメイク”。メイクを楽しむ時間は、自分を解放する時間にもつながりそうです。
撮影/Mikako Koyama 取材・文/藤井優美(dis-moi) 企画・編集/木下理恵(MAQUIA)