女性用ウェットシェービング市場でトップシェアを誇る『シック・ジャパン』が、正しい体毛ケアの方法を小学生に伝える授業「MY FIRST SHAVE(マイ・ファースト・シェーブ)」を開催しました。授業を受けたのは、渋谷区加計塚小学校の4年生児童。そして特別講師として授業を行なったのは、全国の小学校・中学校・高校で年間120回以上の性教育の講演を行う、埼玉医科大学 産婦人科 医療人育成支援センター・地域医学推進センター助教の高橋幸子先生です。
社会全体で体毛との向き合い方が見直されている今。子どものうちからどう向き合っていくべきかを考える、注目のイベントをレポートします。
今回、授業を行なった高橋幸子先生・通称サッコ先生。
みんなが自分の体の王様
産婦人科医の高橋幸子先生・通称サッコ先生の授業では、出産についてや体の成長のことなど、基本的な体の話から進められました。「赤ちゃんはどこから生まれてくる?」「思春期になると毛が生える場所は?」といった、これまででオープンには話しにくいと思われていたような質問にも、小学校4年生の児童たちは我先にと手を挙げて元気に答えます。
授業の中で印象的だったのが、「みんなは自分の体の王様」というサッコ先生の言葉。王様だから、自分の体を好きなようにできること。でも王様だから、自分の体に何かあったときは自分で責任をとらなければならないということ。そして、みんなはまだ子どもだから、困ったらまわりの大人に助けを求めてね、とサッコ先生は教えてくれました。髪を切るのか染めるのか、眉は整えるのか、腕の毛を処理するのかしないのかなど、自分の体や体毛のことは自分で決めていいんだ、ということを再認識できた話でした。
シェービングのシミュレーションをする児童たち。真剣です。
家庭での性教育、気をつけるべきことは?
特別授業は児童の保護者も参加することができたため、授業終了後に感想を伺ってみました。
「うちの子はワキに毛が生えはじめていて、最近その話をしたばかりだったので、今日の授業も自分ごととして聞いてくれたと思います。今のところワキの毛はそのままにしていますが、改めて本人の意思を聞いてみたいと思いました」
「赤ちゃんはどうやって生まれるのかという質問に、“地面と垂直なところにある穴から”とうちの子が答えていて…家でそんな話をしたことがなかったので、どこで学んだんだろうと驚きました。あとは今回の授業で、体毛の話や性の話はいつものトーンで話したほうがいいと感じました。親の話し方や教え方で“恥ずかしいこと”と捉えるか、“普通のこと”と捉えるか変わってしまいそう。サッコ先生のように明るくは難しいかもしれないけど、なるべくフラットに会話したいです」
高橋先生の授業は、児童たちだけでなく、親の立場でも学びの多い機会となったようです。
特別授業を受けた加計塚小学校の児童たち。
最後に、高橋幸子先生にもインタビュー。
ーー今日の授業はいかがでしたか?
「体のことも体毛のことも、みんなとても素直に反応してくれてうれしかったです。私も、普段は体毛について話すことはあまりないので勉強になりました。今大人になっている皆さんは、シェービングやひげそりも誰にも教わらず、なんとなく我流でやってきた人が多いと思うんです。でも、刃物を使うリスクを伴うことだし、子どもが気になり始めたときに正しい方法で処理できるよう、大人が準備してあげることが必要かもしれません。
全国の小中学校でお話をさせてもらうと、インターネットの普及などによる“情報を得る低年齢化”を感じます。間違った情報を得てしまったときに『これは間違っている』と子どもたちが自分で判断できるよう、体や性のこと、体毛についても、学校教育できちんと教えられたらいいですよね」(高橋先生、以下同)
ーー家庭での性教育に悩む親ごさんは多いと思いますが、気をつけるべき点は?
「性教育の観点から言うと、科学的な知識を正しく伝えるのが学校の役割、そして『あなたはとても大切な存在なんだよ』とシャワーを浴びせるように絶えず伝えるのが家庭の役割です。たとえ学校で『みんなの体は大切だから、人に触られて嫌だったら断ってね』と教えられても、子ども自身が自分のことを大切に思えていなかったらピンとこない。学校と家庭の役割、重なる部分もありますが、それぞれどちらかでしか担えない部分もある。両輪で進めていきたいですね。
そして、もし子どもに『赤ちゃんはどうやったらできるの?』といった質問をされたときは、とにかくごまかさないこと。今は性教育のいい絵本がたくさんあるので、一緒に読んでみてください。『こうのとりが〜』といった曖昧な答え方をすると、『もしかして聞いちゃいけないことなのかな?』と子どもに思わせてしまう可能性も。今の親世代の方たちは、生理についても男女で教室を分けて話をされたりと、性についてオープンに教えられていないから、教え方もわからなくて当然なんです。だからこそ、自分も勉強するつもりで、子どもへの伝え方を考えてみてほしいですね」
取材・文/堀越美香子