バッグの中にお気に入りのケアアイテムがあるだけで、なんだか安心できるという人は多いはず。ほっとひと息つきたいとき、リフレッシュしたいとき、さっと取り出して、自分のためにケアをする。そんな時間は心を優しく癒してくれます。

連載「SELF-CARE RELAY」では、今気になるあの人に、そんなセルフケアの愛用品をご紹介いただきます。前回の山崎由貴さんがバトンを渡したのは、YUNO TAKEMURAさん。サロンワークを中心にヘアメイクアーティストとして活動するだけでなく、ヨガインストラクターやブランドディレクターとしての顔も持つYUNOさん。“ケアすること”がライフワークであるという彼女に、バッグの中身を見せていただきました!

Vol.11 ヘアメイクアーティスト/ヨガインストラクター・YUNO TAKEMURAさん

YUNO TAKEMURAさん

YUNO TAKEMURA /ユノタケムラ●北海道生まれ。2021年に独立し、サロンワークを中心に、ヨガインストラクターとしても活動中。そのほか、ヘアアクセサリーブランド〈HOPE〉のディレクションをはじめ、ウエディングやイベントの会場コーディネートなども手がける。

YUNO TAKEMURAさん

美容師として忙しく働いていたYUNOさんは、メンタルの不調を抱えたことをきっかけに、「心と体はつながっているのだ」と実感したといいます。つらい時期に出合ったのが、ヨガや植物療法。今もセルフケアを続けながら、日々、自分の心身と向き合う時間を大切にしているのだそう。


YUNO's Self-Care Rules

1. ピュアな心を大切にする
2. ネガティブとポジティブはセット
3. 五感の心地よさに従う

バッグの中身はこんな感じ

YUNO TAKEMURAさんのバッグの中身

「仕事用のバッグにしているのは、『Patagonia(パタゴニア)』のブラックホール・トート。汚れや雨を気にせずガシガシ使えて、ヨガウエアやマットも入る容量の大きさがお気に入りです。小さくもたためて本当に便利なんですよ。パタゴニアは、元プロサーファーの父親の影響もあって、幼い頃から親しみのあるブランド。大人になった今は、地球環境に配慮したものづくりなど、ブランドの経営理念に賛同する気持ちからも、バッグやウエアを愛用しています。コロンとした形で柔らかさがありながらも、エッジの効いたかっこよさがある『Wandler(ワンドラー)』のバッグは、荷物が少ないときに。普段、黒やグレーなどのファッションが多いので、差し色として映えるグリーンの色も気に入っています」

美容師として必死に働く日々。自分のケアの仕方を知らなかった

「今は、フリーランスの美容師として週に4回サロンワークをしながら、週2回はヨガインストラクターとして働いています。ほかにもウエディングのヘアメイクや、ヘアアクセサリーブランドのディレクションなどもしていますが、すべての仕事の軸にあるのは、目の前にいる人をケアしたいという気持ち。自分ができることをやっていたら、自然と今のワークスタイルへとたどり着きました。

北海道から上京して、ただただ必死に美容を学び、働くなかで、無理をすることもあったと思います。でも、当時の私は自分のケアの仕方を知らなかったんですね。そのうち体が動かなくなって、電車にも乗れない、ごはんも食べられない、好きな人にも会えなくなって…。心と体がバラバラになってしまったような感覚でした。最初は自分でもその理由がわからなかったのですが、メンタルの不調だと診断されて。そのとき、心と体はつながっているのだと、はじめて実感しました」

YUNO TAKEMURAさん

ヨガとの出合い。自分の体と心の向き合い方を学んだ

「仕事を辞め、いったん北海道の実家に戻ったものの、はじめはどうすればいいのかわかりませんでした。病院やいい治療法を探すなかで偶然出合ったのが、ヨガ療法です。先生のもと、10カ月間治療とセラピーに専念したことで、自分の心と体の向き合い方を学び、徐々に健康を取り戻していくことができました。ヨガとの出合いがなければ、きっと今の私はいないと思います。

これからもヨガを学びつづけたいという思いから、昨年、ヨガインストラクターの資格も取得しました。今は私が学んだことや得たことが、少しでも役に立てばという想いで、日々、生徒さんたちに向き合っています」

YUNO TAKEMURAさん

ヨガウエア/上下ともlulu lemon eKO Lite エコライト ヨガマット/Manduka 

ヨガウエアはいろんなものを試しましたが、今いちばんのお気に入りは、『lululemon(ルルレモン)』。着ていないみたいに体にピッタリフィットして、自分の体の動きに集中できるんです。『Manduka(マンドゥカ)』のヨガマットは、軽さが魅力。旅行先でもヨガをするので、持ち運びのしやすさは大切ですね」

仕事中も生活のなかでも、ヨガを忘れず

「ヨガは毎日の日課ではありますが、できない日があってもいいと思っています。それよりも大切なのは、仕事中や普段の生活のなかでも、ヨガを忘れずにいること。それは、呼吸をすることであったり、まわりと比べず、自分に集中することであったり、もう一歩チャレンジしてみることだったり。

例えば、ヨガでポーズに取り組んでいると、グラグラしてうまくバランスが取れないことがあります。それは、マットの外でも同じで、何かうまくいかないというときはありますよね。でも、グラグラしたっていい。そんな自分の状態に集中することや、時には人の力を頼ることが、自分の成長やよりよい結果につながることがあります。ヨガって本当に、人生そのものみたいなんですよ」

YUNO TAKEMURAさん

汗を拭くのは、肌触り最高のタオルで

「ヨガ中、汗を拭くのに愛用しているのが、『SLICK COTTON CLUB』タオルです。私はアトピー持ちなこともあり、肌に触れるものは、素材や触り心地がいいものを選ぶようにしています。このタオルは洗っても洗っても、ふかふかなまま。色もかわいくてお気に入りです。

肌が弱いので、手のケアも気をつけています。愛用するハンドクリームは、ハンズエー プロフェッショナルプロテクション。サラッとした使い心地でも、ちゃんと保湿力があって、手放せません」

ハンズエー プロフェッショナルプロテクション 50g/ Å P.P. Hand Towel NAVY/SLICK COTTON CLUB

(左から)ハンズエー プロフェッショナルプロテクション 50g/ Å P.P. Hand Towel navy/SLICK COTTON CLUB

自分でケアする方法を探して見つけた植物療法

「心の不調を診断されてから、自分で自分をケアする方法を探してみようと、いろいろ調べるなかで興味を持ったのが、ハーブやアロマ、フラワーエッセンスなどの植物療法でした。実際、私にはとても合っていたようで、今も日々のメンタルケアに欠かせないものになっています。

『Martin & Pleasance Ainsworths』のフラワーエッセンスは、親しい顧客さまからいただいたもの。舌下に垂らして使います。心の浄化や不要な情報の手放しなど、それぞれに効能があって、その時々の自分の状態に合わせてチョイスします。

朝、ヨガをするときには、『SHIGETA(シゲタ)』のボディオイルをつけることも。すっきりとしたハーブの香りで、とても集中できるんです。『nahrin(ナリン)』のロールオンやボディミストは、気分を切り替えたいときや、頭を使ったあとなどに。一気にリフレッシュできます」

植物療法のアイテム

(左から)オーラスプレー Harmony Relaxation Health Mist(50ml)/Janark (3点とも)Ainsworths Original Dr. Bach Method Flower Essence Oak 、Crab Apple、Honeysuckle(各10ml)/Martin & Pleasance Ainsworths モーニングスパーク/SHIGETA 友人が作ってくれたアロマオイル センシュアル ロールオン、カーミング ロールオン/(2点とも)nahrin ハーブオイル33+7(50ml)/nahrin Good night CBDビューティーオイル(100ml)/Good night

繊細な自分の心を守ってくれる、オーラスプレー

「ヘアサロンでお客さまをケアするとき、よりリラックスしてもらうためには、まず自分の心を開く必要があると思っています。壁を取り払って向き合うことで、相手も安心できるんですよね。ただ、そのせいで相手のエネルギーが伝わりすぎてしまうと感じることも。お客さまにヘッドスパをしたあとなど、どっと疲れたり、体調をくずしたりすることもありました。

そこで、見つけたのが自分に必要なエネルギーだけ残し、不要なエネルギーから守ってくれるという『Janark(ジャナーク)』のオーラスプレー。施術後や1日の終わりに、体のまわりに吹きかけ、心をリセットするような気持ちで使っています。

人の弱さや繊細さを指す、ヴァルネラビリティ(vulnerability)という言葉があるのですが、私は人一倍それがあって、外側からの影響を受けやすいと思っています。でも、だからこそ目の前の人に親身になることができるし、より深いケアができる。大切なのは、バランスを取ることなのだと思っています」

YUNO TAKEMURAさん

繊細であることは、ネガティブじゃなくてポジティブ

「傷つきやすいとか、まわりの影響を受けやすいとか、繊細であることは一見ネガティブに思えます。でも、繊細だからこそ、普通は見落としてしまうようなことにも気づくことができるし、人の気持ちに寄り添うことができる。

ヨガでは、“陰と陽”の考えを大切にしています。プラスとマイナス、ネガティブとポジティブ、相反するものが合わさってひとつだといえる。それを学んでから、痛みや恐怖、悲しさやつらさの裏側には、必ず愛や喜び、幸せがあるのだと思えるようになりました。ネガティブは必ずポジティブとセット。そこを忘れないように生きていけばいいのだとわかったら、自分の繊細さも受け入れられるようになったし、心が楽になりました」

心と頭を優しくつなげるために、ジャーナリングの習慣

ノートとペン

いつも持ち歩くノート、気分で選べるようにたくさん持ち歩いているペン、卓上カレンダー

「ヨガと同じように、毎日続けているのが、ジャーナリングです。内側から気持ちがあふれてきたときや情報が処理しきれないとき、何か学んだときなどに、ひたすらノートに書き連ねます。1日に何度もやることも。そうすることで、頭のなかの思考と、自分の心の内側を、優しくつなぐことができるんです。

ノートと一緒に持ち歩くのが、卓上カレンダー。パッと見るだけで先のことも把握しやすく、便利です。スケジュール管理をしながらよく考えるのは、どうやって余白の時間を生み出すかということ。何もしないと怖くなるという人も多いかもしれません。私もそうでした。でも、メンタルケアには何もしない時間がすごく大事。忙しさや情報から離れ、自分の内側に向き合うことで、本当に必要なことが見えてきます」

YUNO TAKEMURAさん

自分がもっと愛しくなる、ヘアケアアイテムとかんざし

IN BATH ツキ/LOVE CHROME  uka hair oil mist Girls on the beach/uka  Kanazashi/HOPE

(左から)IN BATH ツキ/LOVE CHROME uka hair oil mist Girls on the beach/uka Kanzashi/HOPE

「健康を取り戻して新しいことにもチャレンジできるようになり、2021年に立ち上げたのが自身のヘアアクセサリーのブランド『HOPE(ホープ)』です。私はずっとカジュアルなファッションが好きだったのですが、25歳くらいから『もっと大人の格好したほうがいいよ』と言われることが増えてきて、私のままでいながら大人に見てもらうにはどうしたらいいだろう? と考え、思い浮かんだのが、かんざしでした。

私が好きなサスペンス系の海外ドラマや映画では、事件解決に立ち向かうヒロインが、ここぞというときペンを髪に巻きつけてアップにするシーンがあるんですよ。その『よし!』と気合いを入れるようなしぐさがとても好きで、ペンの代わりにかんざしがあったらいいなと。いろんな女性の『頑張るぞ!』というシーンに、寄り添うものになればうれしいです」

HOPEのかんざし

「ヘアケアは私にとって、気分を上げてくれるもの。髪の毛がサラサラ、ツヤツヤなだけでご機嫌でいられます。毎日必ず使うのが、『uka(ウカ)』のヘアオイル。香りも大好きです。『LOVE CHROME(ラブクロム)』のコームは、特殊な表面加工がしてあり、摩擦が起きにくく、ダメージを防いでくれるそう。さっととかすだけでもサラサラになります」

YUNO TAKEMURAさん

第一印象を大切にしたいから、気分でリップを変えて

「ヘアサロンでお客さまをお迎えするとき、顔を合わせたときのファーストインプレッションが、絶対に相手に何かを与えると思っているので、顔色をよく見せてくれ、気持ちを高めることもできるリップは、必ずポーチに入れています」

いつも持ち歩くリップ

(左から)KATE リップモンスター 103 秘めた炎(限定色)/カネボウ化粧品 ルージュ エッセンシャル シルキー クリーム リップスティック/Laura Mercier smooth matte lip fog、veil/(2点とも)uneven SP ステイ ヴィニルインク 65 生意気なスモーキーピンク/MAYBELLINE NEW YORK レブロン キス クラウド ブロッテッド リップカラー ブラッシュマッチ 014/Revlon ESSENCE LIP PLUMPER/Visee

「本当に普段からこの数を持ち歩いているので、まわりの人にはびっくりされますね(笑)。繊細な色の違いやテクスチャーの違いを楽しみながら、その時々の気分にぴったりのものを選びたくて。最近注目しているのは、“粘膜リップ”。自然な血色感やむっちりとした質感を出せる『Laura Mercier(ローラメルシエ)』『Revlon(レブロン)』がお気に入り。ぷっくりとした唇がつくれると話題になった『Visee(ヴィセ)』のプランパーも活躍しています。リップを塗るだけで、『めっちゃいい感じ! よし!』と思えるのだから、これも大切なセルフケアですよね」

まつ毛一本、眉毛一本を大切に。その人だけの美しさを引き出すメイクを

アトマイザーに入れたオリジナルの香水 フローレス フュージョン ウルトラ ロングウェア コンシーラー/ LAURA MERCIER  eyebrow mascara clear/uneven リップスリーピングマスク mint choco/LANEIGE

(左から)アトマイザーに入れたオリジナルの香水 フローレス フュージョン ウルトラ ロングウェア コンシーラー/Laura Mercier eyebrow mascara clear/uneven リップスリーピングマスク mint choco/LANEIGE

「「仕事でメイクをするときは、その人の美しさを引き出すことを心がけています。できるだけナチュラルに、まつ毛や眉毛の一本一本だって大切に、丁寧に、扱うようにしています」

YUNO TAKEMURAさん

「私自身は、普段は眉とリップしかメイクしないのですが、だからこそこだわっている部分も。『uneven(アニヴェン)』のアイブロウマスカラは、クリアなのでとても自然に毛流れをきれいに見せてくれます。『Laura Mercier』のコンシーラーは、肌の気になったところにポイントで。『LANEIGE(ラネージュ)』のリップマスクは、寝る前だけでなく、日中にも使っています。保湿力が抜群で、本当にプルプルになるんですよ。

ポイントメイクのほかにこだわるものといえば、香りでしょうか。アトマイザーに入れて持ち歩く香水は、『Aesop(イソップ)』のタシット『Santa Maria Novella(サンタ・マリア・ノヴェッラ)』のポプリをブレンドしたもの。自分だけの香りがあると、とても落ち着くんです」

体に優しいおやつと、寝る前にも飲めるCBDコーヒー

CBDカフェインレスコーヒー 簡単ドリップフィルター付き 100g/CBD 300mg/Good night TRAIL MIX 45g/KIRKLAND 梅ってくだもの!?/ふたばの梅干

(左から)CBDカフェインレスコーヒー 簡単ドリップフィルター付き(100g)/Good night TRAIL MIX (45g)/KIRKLAND 梅ってくだもの!?/ふたばの梅干

「CBDも、メンタルケアの心強い味方。心にON・OFFのスイッチがあるとしたら、ダイヤルを回すように、ゆっくりとOFFにしてくれるのが、CBDのイメージです。

『Good night(グッドナイト)』は、作り手の方が私と同じパニック障害を抱えていて、ケアの選択肢としてCBDに出合ったのだとか。そうしたブランドの背景にも心動かされ、ボディオイルとコーヒーを愛用しています。夜、ベッドにカップを持ち込んで、本を読みながら飲むのですが、飲みきらずに寝落ちしてしまうことも(笑)。

TRAIL MIXは、グラノーラやナッツ、ドライフルーツなどを交ぜたもので、何かつまみたいときに、ちょうどいいんです。この梅干しは、塩分0%。自然な梅の酸味と甘味がおいしくて、気に入っています。私は体がむくみやすいので、日頃から塩分も気にかけているんです。やっぱり食は健康の要。できるだけ体にいいものをとるようにして、最近ではグルテンフリーも試みています」

YUNO TAKEMURAさん

人をケアするためには、まず自分が健康で満たされていること。痛みから学べた私にブラボー!

「メンタルの不調は一度自分の心や体に訪れた日からずっと相方です。それが完全になくなることはないし、ずっとそばにあると思っています。今でも自信がなくなったり、落ち込んだり、体調や肌に影響が出てしまうこともあって。だから、自分にとって無理が出るような環境や、人間関係など、できるだけ危険因子になるものは手放すようにしています。自分は変われるけど、人を変えることはできない。時には自分のために選択をしていくこともすごく大切」

YUNO TAKEMURAさん

「結局、自分を大切にしなければ、健康で満たされていなければ、自分のそばにいる人たちや家族を、愛したりケアしたりすることはできないんですよね。私は体を壊し、痛みを経験したことで、それを学ぶことができました。あそこまで行けた自分に、ブラボー! と言いたいくらい(笑)。今、『何か違うかも』『ここにいることが苦しい』と感じている人がいたら、『あなたの人生は、そのつらさをただひたすらに耐えつづけるだけの時間はない。心が躍るもののために時間を使って』と伝えたいです。大丈夫。手放すことで、本当に大切なものだけが残るはずですから」

撮影/長田果純 取材・文/秦レンナ