自分らしくいるための「スキンケア」、気合を入れるための「メイク」——。俳優・片山友希さんは、自身が美容に求めるものについて、こう語ります。今回は、今秋スタートの朝ドラ『ブギウギ』への出演などさまざまな作品で注目を集める片山さんを迎え、美容への向き合い方を伺いながら、憧れだという“意思のある女性”を体現したメイクにトライします。
自分らしくいるための「スキンケア」、気合を入れるための「メイク」
――今回は、片山さん自身の美容や、これからの“美しさ”について一緒に考えていきたいと思います。はじめに片山さんは、これまで美容をどのようにとらえ、向き合ってきたのでしょうか?
片山さん:もともと母親がナチュラルメイク派だったこともあり、私自身もプライベートでものすごくメイクをするわけではないんです。京都に住んでいた高校生の頃は、肌あれなどもあり、隠したい一心でベースメイクを頑張っていたこともありました。でも、のんびり屋な性格ゆえに、朝しっかりお化粧する時間もなくなり(笑)、そのうち自然とナチュラルメイクに戻っていきました。ただ、美容は好きなんですよね。俳優として人前に出る立場になってからは、特にスキンケアにこだわっていますし、服や衣装に合わせてメイクを変えると、気分が上がります!
――ナチュラルメイク派とのことですが、最近はどんなメイクをされているのでしょうか?
片山さん:実は最近まで、「私は何もつけなくていい」と思っていました。でもある日、撮影でいただいた口紅を塗って出かけたら「友希ちゃん今日艶っぽい~!」なんて友達に褒められて。それがすごくうれしくて、今は口紅をワンポイントに入れるメイクが気に入っています。
やっぱりメイクをすると、そのたびに背筋がのびる感じがしますね。お芝居をするときも、メイク・衣装含めて、キャラクターの大事な要素だと思っていて。7月に公開する映画『1秒先の彼』ではかなり派手なギャルの役を演じているのですが、メイクをすることで、より役に入り込めるような気がしました。
――スキンケアのこだわりも、ぜひ教えてください!
片山さん:毎日のルーティンとしては、朝の洗顔はマスト。テレビで、「寝ている間にホコリや皮脂が顔に付着する」と聞いてから、必ず石鹸で洗顔するようにしています。使い捨ての洗顔タオルで水分を吸い取ったら、まずはさっぱりタイプの拭き取り化粧水を。その後に保湿の化粧水、乳液、朝は日焼け止めを塗って終わりです。
私にとってスキンケアは「自分らしく心地よく、自然体でいるためのもの」で、メイクは「背筋がのびて気合いが入るもの」だと思います。
メイクで“意思のある雰囲気”を表現したかった
――今回の撮影では、グレーのドレスに合わせたスモーキーなメイクにトライしていただきました。“強くて意思のある雰囲気”を希望されて仕上がったメイクですが、実際にトライしてみていかがでしたか?
片山さん:すごくかっこいい…! 普段はナチュラルな雰囲気に仕上げることが多いので、今回は意思を感じるメイクをしてみたかったんです。自分では「アイラインをがっつり引いたりすると意思が強く見えるかな?」と思っていましたが、メイクさんに「スモーキーなアイシャドウで囲み目をつくるのはどう?」と提案していただき、それがとても新鮮でした。グレーの単色アイシャドウを使うのではなく、青とカーキをミックスしていたのも面白かったし、目元を生かして、あえてカラーレスなリップで仕上げたところもお気に入りです。
メイクの解説は記事の最後をCHECK→
自分の魅力は自分では気づけないこともある。だからまわりの意見には素直でありたい
――ここからは、片山さんが考える、「心と体の美しさ」について伺っていきたいと思います。俳優としてたくさんの人から“見られる”仕事をする中で、「自分基準」ではなく「他人基準」で美しさを意識してしまうことはありますか?
片山さん:もちろんありますよ。私は逆に、自分の魅力は自分では気がつけないことも多いと思っていて。だからむしろ、人の意見をすごく大事にしているんです。
例えば、カメラマンをしている友人に写真を撮ってもらったとき、私が「いいな」と思ったカットのセレクトが、その子とまったく被らなかったことがありました。自分では絶対に選ばないような写真を友達は選んでいて、「こういう表情や雰囲気をいいと思ってもらえているのか」と、新たな発見でした。
そういう経験を通して、自分の中で譲れない「軸」は残しつつ、時には人に意見をゆだねるのも大切だなと。
――なるほど…。ご自身の中で、ブレずに持ち続けている、その「軸」とは何でしょうか?
片山さん:心のケアですね。私にとっては美容を考えるうえでも、心が豊かでいることがいちばん大切だと思っています。心と体は、やっぱりつながっているので。
感情を書き出すようになってから、人にも自分の気持ちを伝えることができるようになった
――具体的には、どのような心のケアを実践しているのでしょうか?
片山さん:まずは太陽を浴びることです。日焼けには注意しつつも、できるだけ外に出て日光に当たるようにしています。
あとは、普段自分が思ったこと、考えたことをノートに書き出して整理すること。これが楽しかった、悔しかった、おいしかった、今日は何もしていないとか(笑)、全部書いています。ひとつずつ書き出すことで、自分の気持ちを理解できるし、落ち着ける。3~4年前にこの習慣を始めてから、客観的に自分を知ることができるようになったと思います。これは私の「セルフラブ」ですね。
――自分を知っていく過程で、新たに感じたこと、気がついたことはありましたか?
片山さん:自分の気持ちに向き合って、その気持ちをきちんと言葉にできる人でありたいなと感じました。
そう思うに至ったのは、『報知映画賞』をいただいた際の授賞式が大きなきっかけだった気がします。会場には100人以上の関係者がいて、正直、足が震えてしまうくらい緊張しました。そんな中で、自分の言葉で言いたいことを伝えられたことが、すごく自信になったんです。そのときから、気持ちに向き合って、言葉にすることの大事さを意識するようになったと思います。
それから、東京に来てから、“類は友を呼ぶ”って本当だなと実感することがすごく多くて。私は、自分の意見や意志を持った人をかっこいいな、素敵だなと思うし、そういう人を尊敬していて一緒にいたいと思うから、自分もまずはそうでありたいと考えるようになりました。
「“自分のため”に人に優しくしなさい」人生に影響を与えた、母の言葉
――自分の気持ちに向き合い、言葉にしていくことが心のケアのひとつになっているんですね。
片山さん:そうですね。あとは、いつも何かあると母親に相談します。例えばこれまでは、「この人はちょっと苦手かも」と思ったら、すぐに心をシャットダウンしてしまっていた部分がありました。でも、ある日母親に、「どんなに苦手な人だったとしても、“自分のため”に優しくしなさい。そうすれば相手の意見も聞けるやろ?」と言われて、なるほど、と。
実際に、どうしても納得できないことがあったとき、母のアドバイスを試してみたんです。相手に言われたことに「なんか違うな」と思ったけれど、一度相手の意見を聞いてみて、とりあえず言われたとおりにやってみました。それでも「やっぱり違うな」と思ったので、相手の意見を取り入れた感想を踏まえた上で、自分の気持ちを伝えてみたんです。そうしたら、向こうも私の意見を受け入れてくれて。その経験をしてからは、相手に歩み寄ることができるようになりました。
――お母さんの存在が、片山さんにすごく大きな影響を与えているんですね。
片山さん:そう思います。ほかにも、「人に優しくするのは当たり前」「“何かをやってもらって当たり前”なんてことはひとつもない!」とか。改めて考えてみると、私の思考も美容も、母親の影響はかなり大きいのかもしれないですね。
意思を感じる「スモーキーメイク」を解説
使ったコスメはこちら
(A)カネボウ ライブリースキン ウェア全8色 30g 各¥11000・(B)同 カラードシャドウ 02 ¥6050(セット価格)・(C)同 シャドウジェルライナー SG1 ¥3520・(D)同 シャドウオンフェース 01 ¥3300・(E)同 レイヤードフェースカラーズ 03 ¥5500(セット価格)・(F)Nールージュ EX7 ¥4400/カネボウインターナショナルDiv.(BとC、D、Fは8月4日発売。Fのみ限定)
◆SKIN
クリームファンデーションAを、目の下の頰の広い部分に薄くヴェールのようになじませ、素肌を生かした仕上がりに。
◆EYE
Cのアイライナーを上まぶたのきわに引き、ブラシでじんわりとぼかし広げる。次にアイシャドウBのa+bを混ぜ取り、目をあけて色が見える範囲まで重ね、目尻側はやや外側に眉幅くらいまで広げて。その上にcを重ねたら、dを眉下にのせて立体感をプラス。下まぶたは目尻から黒目下までa+bをきわにのせて、スモーキーな印象に。
◆SHADING
Dのシアーな影色スティックで、眉頭下から目頭脇までノーズシャドウをのせたら、耳下からあご先に向かって線を引くようにのせて、手でなじませる。
◆CHEEK
頬骨に沿ってE左のブラウンをのせたら、ベージュを重ねてマイルドに。
◆LIP
Fを指先に取って、唇にポンポンとのせて自然に染め上げる。
映画『1秒先の彼』(7月7日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
『1秒先の彼』は台湾アカデミー賞最多受賞作『1秒先の彼女』の日本版リメイク。男女のキャラクター設定を反転&舞台を日本・京都に移し、何をするにも人よりワンテンポ早いハジメ(岡田将生)とワンテンポ遅いレイカ(清原果耶)の“消えた1日”をめぐる物語。郵便局の窓口で働くハジメは、何をするにもとにかくワンテンポ早い。いつも相手から告白されるのに、「イケメンなのになんか残念」と言われては必ずフラれてしまうのだ。ある日街中で路上ミュージシャン・桜子のまっすぐな歌声にひかれ、たちまち恋に落ちるハジメ。必死のアプローチで花火大会デートの約束を取り付けるも、目覚めるとなぜか翌日に。“花火大会デート”が消えてしまった…⁉︎ “消えた1日”の手がかりとなるのは、毎日郵便局にやってくるワンテンポ遅いレイカのようで…。
取材・文/森山和子 撮影/松岡一哲 スタイリスト/髙山エリ メイク/有泉志乃(TRON) ヘア/佐藤知子(mod’s hair) 企画・編集/種谷美波(yoi) 衣装/ドレス¥517,000/チカ キサダ(エドストローム オフィス・03-6427-5901) 他スタイリスト私物