13歳でモデルデビューして以来、最前線で活躍を続けている吉川ひなのさん。現在は3児の母として、自然豊かなハワイで烏骨鶏やうさぎ、猫などの動物とともに暮らしています。出産、子育て、ハワイ移住を経て、環境や食へのマインドが変化したことから、環境アクティビストとしての活動にも力を入れており、自身のライフスタイルや環境問題について発信しているインスタグラムのフォロワーは65万人以上! そんな吉川さんが、3年ぶりに日本へ帰国。限られた時間のなか、yoiのスペシャルインタビューが実現しました。

妊娠を機にゼロから開発したという化粧品ブランド『hinalea』の魅力や、ハワイでの日常、心地いいライフスタイルを実践するうえで心がけていることなど、吉川さんの放つ自然体でハッピーなオーラの秘訣について伺いました。

吉川ひなのさん

モデル・タレント・環境アクティビスト

吉川ひなの

1979年、東京都生まれ。13歳でモデルデビュー後、一躍トップモデルに。数々の雑誌で表紙を飾り、女優や歌手としても活躍。2013年にハワイに移住し、夫と子ども3人とともにナチュラルなライフスタイルを実践。オーガニックコスメブランド『hinalea』や子ども服ブランド『Love the Earth blue』をプロデュースするかたわら、環境アクティビストとしてSNSやイベントを通して情報発信を精力的に行なっている。近著に『わたしが幸せになるまで』(幻冬舎刊)がある。

いくつになっても変わっていける自分でいたい。久々の日本で気づいた自身の変化

――今回は、約3年ぶりの帰国と伺いました。久しぶりに日本で過ごしてみていかがでしたか?

東京だけでなく関西へも足を運ぶなど、忙しくも充実した日々でした。実は今回の帰国で、個人的にすごく驚いたことがあって。これまで、暗い部屋で一人で眠ることがすごく苦手だったんですが、今回のホテルステイでそれを克服している自分に気づいたんです。幼い頃から、怖い夢を見たら嫌だな、と不安になったり緊張したりして、つい照明をつけたまま寝ていたんですが、今回の帰国中は、小さいライトだけで眠れるようになっていました。43歳が話す内容じゃないんですが(笑)。

歳を重ねていくと、自分が変化したと感じる瞬間に出合える機会ってなかなかないですが、この出来事は“私、変わった!”と実感できてすごくうれしかったですね。なぜ克服できたのか、その理由はまだわからないんですが、いくつになっても、成長を続けられるってとても素敵なことだと思うので。

吉川ひなのさん

心地よい暮らしの基本は、“ハッピー”な朝の挨拶からスタート

――吉川さんがハワイで過ごす自然体な姿をSNSなどで拝見して、魅了されている読者は多いと思います。日頃、心地よく暮らすためにどんなことを心がけていますか?

日々心地よくいられるように、生活のどんな小さなことも大切にしたいと思っています。例えば、毎日のことで言うなら朝の挨拶。朝、家族の中で最初に起きるのは私なんですけど、起きてくる家族に「おはよ〜!」と明るく、ハッピーな気持ちを込めて挨拶することをとても大切にしています。子どもたちと、おはようと挨拶しながらハグをしたりすると、それだけで私自身、すごく幸せな気持ちになるんです。それを続けていたら、子どもや夫も明るく挨拶をしながら起きてくるようになって、家族全体のムードが明るくなりました。

――ハッピーな気持ちが伝播していくって素敵ですね! 朝の挨拶の大切さは、わかっていても忘れがちなので、ぜひ真似したいです。

一緒に暮らしているからこそ、いろんな影響を与え合ってしまうので、家族にはできるだけいい影響を与える存在でありたいと日頃から意識しています。例えば夫の機嫌が悪いときは、「私、何かしちゃったかな?」といろいろ考えてしまうし、だんだんこちらまで不機嫌になってしまって(笑)。同じように、こちらの機嫌が悪ければ、相手の気持ちも落ちてしまいますよね。相手のことを思いやる気持ちを持ったり、相手の居心地をよくするように心がけることが、結果、自分の居心地のよさにもつながるんだなと気づいてからは、できるだけハッピーなマインドで接するようになりました。

吉川ひなのさん

吉川さんと一緒に暮らしている動物たち♡(吉川さんご本人より提供)

一人の時間を過ごすことこそ、最大のセルフラブ

――そんな吉川さんでも、落ち込むことはありますか? そんなときは、どんなふうにセルフケアしているのでしょうか?

何か失敗したり嫌な思いをして落ち込む出来事があったとき、昔は、とことん落ち込んで自分を責めたり、誰かや何かのせいにしたりと原因を追求しようとしていました。でも今は、「そういうこともあるよね」と受け入れられるようになりましたね。とはいえ、どうしても気持ちがざわざわしてしまうので、自分のなかでその出来事や物事を受け入れるための時間は必要で。そんなときは、自分一人の時間を作って気持ちを落ち着けるようにしています。子どもたちにも「ママ、今少しだけ一人の時間が欲しいの」ときちんと伝えて、一人になれる空間に移動します。読書など好きなことをして、落ち込んでいることに集中しすぎないようにする時間を持つことで、穏やかにやり過ごせるようになりました。でも、子どもは気にせず部屋に入ってきますし、一人で読書がしたいと伝えても、「ダメ〜! 一緒に絵本読んで〜!」なんて言われちゃうことがほとんどなんですけどね(笑)。

――お子さんが小さいときは特に、一人の時間を作るのはなかなか大変ですよね。

そうなんです。でも自分の性格上、一人の時間が必要なタイプなんだと気づいてからは、少ない時間でもそれを大切にするようになりました。夫が察してくれて、子どもたちを見ていてくれることもあります。そういう意識はこれまでしてこなかったけれど、先日、知人から「一人時間を過ごすことこそ、最大のセルフラブだよ」と言われて、なるほど! と思いました。

吉川ひなの

第一子妊娠をきっかけに、身のまわりにあるものや肌に触れるものへの意識に変化が

――3月1日に、ご自身がプロデュースしたオーガニックコスメブランド『hinalea』が一般発売されますね。ブランド誕生のきっかけは?

いちばん上の子を妊娠した際に初めて、身のまわりのあらゆることが気になるようになったんです。子どもに何を選べばいいんだろう、と考えたときに、自分のまわりにあるもののことを全然知らないことに改めて気づいて。どこで誰が作ったものなのか調べるうちに、想像もしていなかったような生産背景や使用成分についても知るようになり、自分が選んで買うものによって誰かを悲しませるようなことに加担したくない、と強く思うようになりました。みんなの幸せの循環のなかにあって、かつ自分が本当に欲しいものを作りたい。この気持ちをきっかけに、化粧品を自分で作ってみようと思い立ちました。

hinalea

左から、ヒナレア オイルインクリーム ¥7,150、ディープトリートメントローション ¥5,995、クラリティスキンセラム ¥7,150、インティメイトオイル ¥7,700、ファーミングリッチクリーム ¥7,700/アマラ https://amara.jp ※アマラオンラインストアにて先行発売中。3月1日(水)一般発売。

――実際に作るうえで、特にこだわったところは?

せっかくゼロから作るなら、かかわってくれる皆さんにとってもプラスになるものでありたい。以前の私のように生産背景を知らずに買ったとしても、使う人はもちろんプロダクトの後ろにいる人たちも幸せになれるアイテムを作りたいと思って、国際的なオーガニック認証基準であるコスモス認証を取りました。認証を取っていなくても素晴らしい製品はたくさんあるけれど、第三者機関が厳しい基準で審査したものとして、買う際のひとつの基準や目印になると思うので、これが実現できたことは私にとってはとても大きいです。認証を取ることを目標にしていなかったら、どこかで使用成分について妥協してしまっていたかもしれないけど、最後まであきらめず、本当に納得のいく製品開発ができたので。

スキンケアラインの化粧水、美容液、クリームはどれも水ではなく、静岡県で有機栽培されたアロエベラ果肉を水蒸気蒸留して作ったアロエベラ葉水を使っています。ほかにも、希少な植物のエキスをふんだんに取り入れて、植物のパワーを最大限に感じてもらえるようにこだわりました。香りはジャスミンやローズ、マンダリンなどさまざまな香りをブレンド。使用する順番は特にないので、セラムから塗布してもいいですし、その日の気分や肌のコンディションに合わせて、楽しみながら使ってもらえたらうれしいです!

吉川ひなのさん

ヨガは、一生続けられる修行のようなもの

――吉川さんは2017年に、ヨガ界に大きく貢献した人に贈られる「ベスト・オブ・ヨギーニ」に選出されるなど、ヨガにも造詣が深いですが、ご自身にとってヨガはどんな存在ですか?

ヨガに出合って8年以上経ちますが、自分の芯の部分にはつねにヨガが息づいているなと感じます。実は第三子を産んでからはじっくり取り組む時間をなかなか作れなくて。でも、ヨガっぽいストレッチや瞑想などは、日頃から取り入れるようにしています。せわしなく過ごしていると呼吸が浅くなりがちですが、ヨガは呼吸も大事なので、そこに意識を向ける癖がついたのもヨガから受けた影響です。

始めた当初は、いかにきれいなポーズを取るかが重要だと思っていたんですけど、そうではなくて、ありのままの自分を見つめる時間だったり、精神的な部分に向き合うことが大切だと学んだことで、今は、一生続けていける修行のようなものとしてヨガをとらえています。過去に200時間集中してヨガをやる機会を作ったことがあって、次は300時間に挑戦したいなと思っているんです。5年後か10年後か、いつになるかわからないですが、いつかかなえたい目標のひとつです。

吉川ひなのさん

植物と向き合うことがライフワークであり、自分らしさにつながっている

――オーガニックにこだわった製品開発、モデル、母…さまざまな顔を持つ吉川さんですが、ご自身にとっての“自分らしさ”とは? また、そうあるためにしていることはありますか?

自分らしさ…って、考え出すと難しいですよね。10代の頃から芸能界でお仕事をしているので、私って本当はどんな人間なんだろう? と考えてしまうことはよくありました。大人の顔色をうかがったり、状況を察してこう言ったほうがいいだろうな、と先読みして発言したり行動していた時期もあったけど、でも今思うと、それも自分らしさのひとつだったのかなと思うこともあるんです。

実は今、自分らしさをテーマに文章を書いているところなんです。自分のなかで掘り下げている最中なので、はっきり言葉にしきれない部分もあるんですけど…その時々で、自分にも相手にもいちばん優しくいられること、それが自分らしさにもつながるのかなと今は考えています。

日々植物と向き合うことも、ライフワークであり、自分らしさのひとつだと感じています。植物は本当に奥が深くて、知れば知るほど驚くことの連続。例えばハワイでは、ハイビスカスをシャンプーに取り入れたり、ドライにしたものをハチミツ漬けにして、それを舐めることで免疫を高めるなど、現地ならではの活用法が編み出されているんです。自分の庭でもいろんな植物を育てて生活に取り入れているんですが、それがとにかく楽しくて。子どもの頃から自然が好きだったということを、ハワイで暮らすようになって改めて思い出しました。庭の土いじりをしている際は無心になれるし、仕事の合間にも、庭に出て自然に触れるとすごくリフレッシュできるんです。

こうやって考えてみると、昔より、日々のいろんなことが自然と楽しめるようになった気がします。それはやっぱり、好きなこと、やりたいことを目いっぱいやれているから。やりたくないなと思うことも、その先にやりたいことがつながっていれば、楽しめるんですよね。本当にやりたいことを追求できていることも、今の「私らしさ」のベースになっているのかもしれません。

吉川ひなのさん

ハワイの海で過ごす吉川さん。(吉川さんご本人より提供)

たくさんの人と話し合える場所をもっともっと作っていきたい!

――最後に、今後力を入れて取り組んでいきたいことがあれば教えてください!

私自身、まだまだ知らないことはたくさんありますが、環境アクティビストとして、知っていることはどんどん人に伝えていきたいですし、自分自身も学んでいきたいと考えています。そして、世界で起きていることについて、たくさんの人と話し合える場所をもっともっと作っていきたいですね。みんなで学び合って、どうしていけばいいか一緒に考えていける仲間を増やし、SNSやイベントを含め、あらゆる活動を通してつながっていけたらと思います!

吉川ひなのさん

撮影/つぼいひろこ 取材・文/灰岡美紗 企画・編集/木村美紀(yoi)