毎日の食事や生活習慣に、漢方の考え方を気軽に取り入れてみませんか? “今”の自分の状態に合った食べ物を取り入れることで心身を整え、健康を維持することを「食養生」といいます。SNSで大人気の漢方アドバイザー“なおみん”こと、久保奈穂実先生が、さまざまなお悩みに合わせて簡単でおいしい食養生レシピをご紹介!

今回は、生理中に気分が落ち込みがちな人におすすめしたい飲み物です。とくに寒〜いこの時期は、冷えからこうした症状がひどくなってしまうことも…。なおみん先生に、心も体も“ほっこり”できる冬にぴったりのレシピを教えてもらいました!

久保 奈穂実

漢方アドバイザー、国際中医薬膳管理師

久保 奈穂実

美大卒業後、芸能・音楽活動を開始。ハードな生活で心身のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、「イスクラ中医薬研修塾」にて中医学を学ぶ。現在は「成城漢方たまり」にて漢方相談・薬膳講師。漢方薬だけでなく、食事や生活での養生も一人一人の「今」に合わせて提案している。著書に『缶詰ひとつで養生ごはん: かんたん おいしく 体が整う』(学研プラス)がある。

今回のテーマは生理中の“クヨクヨ”。落ち込みは「血」が足りないせい?

なおみん先生:生理になると、わけもなく気分が落ち込んだり、普段は明るい性格なのに別人のようにふさぎこんだり…。そういう女性も少なくないのではないでしょうか。実は私自身もそうでした。落ち込む原因がわからないので余計に不安になってしまい、本当につらかったですね。漢方では、こうした生理中の“クヨクヨ”には、「血」の不足が関係していると考えられています。

生理中は、体から血液が外に出てしまうので、「血(けつ)」が不足している状態「血虚(けっきょ)」になりやすい。漢方でいう「血」は、血液そのものだけではなく栄養を指し、全身に酸素や栄養を運ぶほか、気持ちを安定させる働きもあると考えられています。そのため、「血」が不足して十分に体を巡らなくなると、気分の落ち込みや不安といった、精神的な不調も出やすくなってしまうのです。

●胃腸が弱い人は「血虚」になりやすい

生理中だけに限らず、もともと落ち込みやすいタイプの人は、「血虚」であることが多いかもしれません。顔色が悪かったり、爪が割れやすかったり、寝つきが悪いという人は、「血」が不足ぎみの可能性大。また、胃腸が弱い人も「血虚」になりやすいでしょう。せっかく食べても、消化吸収がうまくできずに「血」がつくられなかったり、そもそも食が細く「血」の材料となる肉や魚がたくさん食べられなかったりすることがその原因です。

「血」を補うには赤&黒の食材を!

なおみん先生:「血」が不足しがちな生理中に、積極的にとってほしいのが、赤や黒色の食材です。

●赤い食材
赤身の肉や魚、にんじん、ブドウ、いちごやクコの実などのベリー類など

●黒い食材
黒胡麻、黒豆、黒キクラゲ、ひじきなど

漢方では、赤や黒の食材は、血を補って情緒を安定させてくれるといわれています。実際、これらはミネラルやポリフェノールを多く含み、体温を上げる働きや造血作用が高い食材です。

●胃腸の弱い人には「卵」

ほとんどの動物性の食材には血を補う役割がありますが、胃腸が弱くあまりたくさん食べられない人も多いでしょう。そこで私がおすすめするのが、卵です。肉や魚に比べて食べやすく、胃腸の負担も大きくありません。溶き卵にしてスープやおかゆに入れれば消化も良く、栄養もしっかり吸収することができます。

生理中の“クヨクヨ”に、血を補うベリーたっぷりのホットティー

生理中は、血を補うことに加え、体を温め「血」の巡りをよくしてあげることも大切です。そこで今回は、ベリーをたっぷり入れた、体も心もほっこりと温まる紅茶のレシピをご紹介します! 

紅茶には情緒を安定させる「安神(あんじん)」作用があるといわれていて、赤や黒色の食材と合わせると、よりその効果が期待できます。カフェインが気になる人は、デカフェの紅茶を使用したり、カモミールティーなど、ノンカフェインのお茶で代用しても問題ありません。また、甘みをプラスするなら、ハチミツがおすすめ。ハチミツの優しい甘さは、気持ちを落ち着けてくれるだけでなく、生理痛の痛みをやわらげてくれる効果もあります。さらに、酸味のあるレモンと合わせると甘酸っぱい味になり、体のうるおいもアップ。美容にもうれしいレシピです。

気持ちほっこりベリーティー 

●材料(一人分)

紅茶の材料

・ブルーベリー…10g
・クランベリー…10g
・クコの実…10g
・紅茶のティーバッグ…1個
・ハチミツ…適宜
・レモンスライス…1枚

●下ごしらえ

レモンをスライスしておく。

●作り方

①ティーカップに紅茶のティーバッグを入れ、お湯を注ぐ。
②3分ほど蒸らしたらティーバッグを取り出す。
③紅茶にベリー類とレモンを入れる。お好みでハチミツを入れ、甘みをつける。


 

POINT:ベリー類は、紅茶の中で少しふやかしてから、最後に食べるのがおすすめ。甘酸っぱいおいしさにもホッとします。

気分が落ち込みがちな生理中の養生生活アドバイス

なおみん先生:そして、この時期に心がけたいのが「目を休める」ことです。目には毛細血管がたくさん集まっているので、使えば使うほど「血」を消耗してしまうのです。1日何時間もパソコンで仕事をし、移動中や家でもタブレットやスマホ…という生活を送っている人は、「血虚」になりやすい。せめて生理中だけでも、スマホを見る時間を少し減らすなど、「血」の消耗を防ぐようにしてほしいですね。また、気持ちが落ち込みやすくなっているときは、ネットニュースやテレビの情報にもネガティブに反応してしまいがち。そうした意味でも、生理中は、パソコンやスマホから離れて、入ってくる情報をコントロールするのがおすすめです。

どうしても気分が落ち込んでしまうとき、一人で抱え込まず、まわりに相談できる人がいれば、ぜひ頼っていただきたいですね。私は、「漢方相談」も、つらい気持ちを打ち明ける場所として気軽に使ってもらいたいと考えています。話すことで気持ちがラクになりますし、解決策も一緒に考えることができます。

リラックスのイメージ

「原因がわからない」ことが不安を大きくしてしまうこともあります。「“クヨクヨ”してしまうのは血虚のせい」とわかっていれば、「生理中だから仕方ないか」と、少し気楽に思うこともできるかもしれません。温かい紅茶でも飲みながら、ゆっくり過ごすことを心がけてみてくださいね。

構成・文/秦レンナ 料理写真/久保奈穂実 Photo by Polina Lebed / Getty Images Plus