女性特有の病気については気になるけれど、婦人科検診って何をするのかよくわからない......。どんなことがわかるんだろう? 自腹を切ってまで受けるべきもの? そんな婦人科検診のキホンから初受診の目安まで、レディースドックのプランが豊富な「クレアージュ東京」の大島乃里子先生に教えていただきました。

お話を伺ったのは......
大島 乃里子(おおしま のりこ)先生

医学博士

大島 乃里子(おおしま のりこ)先生

●クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問。日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、医学博士。婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担っている。​

Q1)そもそも「婦人科検診」とは? どんなことを調べるんですか?

婦人科検診 アラサー Q&A 何を調べる

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A1.婦人科検診の主な検査項目は「子宮頸部細胞診」「HPV検査」「経腟超音波検査」です。

大島先生:クリニックによっては、乳がん検診(マンモグラフィ検査・乳腺超音波検査)も含める場合があります。婦人科検診の主な検査項目と、その検査からわかることは以下のとおりです。

 <婦人科検診> 
子宮頸部細胞診:がんの前段階の細胞やがん細胞の有無
HPV検査:子宮頸がんの原因となるウイルスの感染の有無
経腟超音波検査:子宮筋腫、卵巣嚢腫などの診断

<乳がん検診> 
乳房超音波検査:手で触ってもわからないような“しこり”を見つけることができる。
マンモグラフィ:乳がんの初期症状である“微細石灰化”を発見できる。
マンモグラフィは精度の高い検査ですが、若い女性は乳腺が発達していてマンモグラフィでは逆にがんの検出が難しいことがあるため(高濃度乳房=デンスブレスト)、超音波検査を推奨しています。30代以上の方には、超音波/マンモの併用がおすすめです。 

クレアージュ東京で実施している健診の中で最も手軽な「YOU健診」は、婦人科検診と乳がん検診に、女性が気を付けたい大腸の検査(便潜血)を加えたプランです。20代向けプランには、子宮は子宮頸部細胞診と経腟超音波検査、乳房は超音波検査、大腸は便潜血の検査が含まれています。30代向けプランになると、さらに子宮のHPV検査、乳房のマンモグラフィ検査が増えます。 

Q2)「レディースドック」と「ブライダルチェック」の違いは?

婦人科検診 アラサー Q&A レディースドッグ ブライダルチェック

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A2.検査の目的と、プランに含まれている検査項目が異なります。

大島先生:レディースドックはいわゆる人間ドックで、身体測定や血液検査などに加えて女性特有の疾患についての検査が含まれている人間ドックのことを指しています。

一方、ブライダルチェックは妊娠に関連する検査項目がメインの検査で、例えばクレアージュのプレコンドック(いわゆるブライダルチェック)には、妊娠の妨げになる可能性がある婦人科疾患(子宮筋腫、卵巣嚢腫など)を調べることができる経腟超音波検査に加え、卵子の残数を推定するAMH(卵巣予備能)検査、卵管癒着の可能性を調べるクラミジア抗体検査や、妊娠後に子供への影響が懸念される風疹の抗体検査も含まれます。 

Q3)特に病気の症状がありません。健康でも受診したほうがいいのでしょうか?

婦人科検診 アラサー Q&A 健康でも受けるべき?

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A3. 性交渉が一度でもある方はぜひ受診しましょう。

大島先生:病気の自覚症状がない時期に、早期発見するために必要なのが検診です。婦人科検診では主に子宮頸がんの検査を行いますが、子宮頸がんは性交渉の経験がある方は誰でもなりうる病気で、初期には症状がありません。症状が出る頃にはすでに進行している状態で、治癒が難しくなります。子宮頸がん検診を受けることで、がんになる前の異形成から発見することができる可能性が高められます。早期発見・治療のために、性交渉が一度でもある方は婦人科検診の受診をお勧めします。ただし、子宮頸がん検診は性交渉がある方が対象となりますので、性交渉の経験がまったくない方は、子宮頸がん検診の受診は必要ありません。 

Q4)受診は何歳から? タイミングや頻度の目安を教えてください!

婦人科検診 アラサー Q&A 何歳から

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A4. 一般的に20歳から1年に1回の受診が推奨されています。

大島先生:企業の健康診断の案内が来たタイミングで、婦人科検診も一緒に受診することが定期的な受診につながる目安だと思います。婦人科の病気は他の人には相談しづらく、比較もしにくいため、ご自身では気づかないことがあります。忙しい現代の女性にとって、楽しく健康に生きるためにも、定期的な健診は重要です!

Q5)婦人科検診は痛い? 受診前の注意事項はありますか?

婦人科検診 アラサー Q&A 痛い?

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A5. 基本的に痛みはありません。生理がきたら受診延期も検討を。

大島先生:基本的には、すべての検査で痛みは個人差があるものですが、子宮がん検診は力を抜いてリラックスして受診すれば、基本的に痛みは感じません。乳房のマンモグラフィ検査は、生理前のタイミングで実施すると、胸が張っているので痛みを感じやすいことがあります。

子宮頸がん検診は生理中でも受診可能ですが、精度が落ちる場合もあるため、避けるほうが◎。妊娠している、もしくは妊活中で妊娠の可能性がある場合は、採取器具を変更する必要がありますので、あらかじめ受診機関に相談しましょう。

「結婚や妊活の準備の一環として」「遺伝的に可能性の高い病気の早期発見のため」など、ご自身の目的に合ったクリニックやプランを選択していただけたらと思いますが、どのプランを選んだらよいのか迷われた際には、受診を検討中のクリニックに一度相談してみるとよいと思います!


撮影・構成・取材・文/月島華子