老舗お灸メーカー「せんねん灸」に、セルフお灸の効能や方法について伺う記事の後編では、体の不調にアプローチできるツボを解説! 長時間のスマホ操作・デスクワークによる肩こりや眼精疲労、女性の多くが悩む生理痛や冷え・むくみ、これからの季節に不安な熱中症など、心と体のゆらぎ別に、おすすめのツボを聞きました。
万能のツボ:合谷(ごうこく)

【合谷の位置】親指と人差し指の骨が交わったところから、やや人差し指寄りのへこみ。
小泉さん:頭痛、肩・首すじのこり、眼精疲労、鼻詰まり、顔のむくみ、肌あれ、ストレスなど、多くの不調&お悩みにアプローチできる万能のツボです。花粉症のトラブルにも◎。
肩こりのツボ:中渚(ちゅうしょ)

【中渚の位置】手を握ったとき、小指と薬指の関節のあいだにできるくぼみ。
小泉さん:自律神経の乱れによる不調に悩んでいるときは、ここを温めるとよいでしょう。肩・首すじのこりに加えて、めまい、耳鳴り、立ちくらみといった症状にも効果があります。
冷え・むくみのツボ:太渓(たいけい)

【太渓の位置】内くるぶしとアキレス腱のあいだのくぼみ。
小泉さん:体をとにかく温めたい!というときにはココ。体の冷え、むくみを筆頭に、耳鳴り、腰痛、集中力の欠如などにも有効です。
眼精疲労のツボ:曲池(きょくち)

【曲池の位置】親指を上にして腕を前に出し、ひじを曲げてできる“曲がりジワ”の先端。
小泉さん:頭部への血行をよくし、目の筋肉の疲れを取りたいときにおすすめ。肩や腕の痛み、肩や首すじのこりから起こる頭痛への作用も期待できます。
不眠のツボ:太衝(たいしょう)

【太衝の位置】足の甲の親指と人差し指の骨が交わるところから、やや指先寄りのへこみ。
小泉さん:体が冷えてのぼせる、疲れが取れない、目が疲れる、頭が痛む、イライラしやすい、気分が落ち込む、など、入眠の妨げになる不調を緩和。睡眠の質の向上につながります。
生理痛のツボ:三陰交(さんいんこう)

【三陰交の位置】内くるぶしの最も高いところに小指を置き、指幅4本そろえて、人差し指が当たっているところ。
小泉さん:月経前に気分が落ち込んだり、イライラしたりする人に試していただきたいツボ。気分の揺らぎの他にも、だるさ、不眠、冷え、むくみ、肌あれなど、月経に伴うコンディション不良の改善につながります。
便秘のツボ:神門(しんもん)

【神門の位置】手首の曲がりジワを小指側へ撫でてゆき、骨の出っ張りの手前で指が止まるところ。
小泉さん:スムーズなお通じを求める人には、腸の運動機能を促す神門のツボが◎。また、動悸、息切れ、不眠、物忘れ、イライラ、不安などを取り除きたいときにも、効果を発揮します。
熱中症のツボ:足三里(あしさんり)

【足三里の位置】膝の皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本そろえて小指が当たっているところ。
小泉さん:「養生のツボ」と言われ、停滞する気と水の流れを促しながら、体全体の血行をよくします。こまめに温めることで、夏の熱中症予防に。ひざや筋肉の疲労をやわらげたいときにも、おすすめです。
「セルフお灸」を試してみました!
「せんねん灸 ショールーム銀座」で話を聞いてきたyoi編集部員の木村とライター中西が、自宅や会社でセルフお灸を実践! その感想をお伝えします。
【中西】「中渚」のツボで肩こりの改善を実感!

中西:慢性的な肩こりに悩み続けて、早10年。疲れがたまると、寝付けないほどの痛みを感じることもあります。この取材を機に、お灸タイムを毎晩のルーティンに。肩こりのツボ、中渚にお灸を据えてから寝るようにしたら、数日後に肩が軽くなったのを実感。白檀の香りの煙に癒されて、入眠もスムーズになり、ダラダラとスマホを眺める時間が減りました!
【木村】「太渓」「太衝」のツボで冷えによる寝不足がやわらいだ!

木村:下半身の冷えとむくみに悩まされており、足のだるさで寝付けないこともしばしば…。寝る前に「太渓」「太衝」のツボをダブルで温めることで、足だけではなく全身がポカポカしてきて、眠りやすくなりました。「太渓」のツボには、外出先で冷えが気になったときにも、「火を使わないお灸」を貼ったりも。カイロやヒーターのように、すぐに温かくなる感覚ではなく、じんわりと血流が温まっていくような感覚が心地いいです。

会社のデスクにて。
撮影/wacci 取材・文/中西彩乃 企画・構成/木村美紀(yoi)