みなさんは「アーシング」という言葉をご存じでしょうか? アーシングは、今注目されているシンプルで簡単な健康法。今回は、アーシングの効果や実践方法について、管理栄養士でアーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師の岡清華さんに伺いました。そして記事後半では、実際にエディターがアーシングを体験! 初心者でも丸わかりの実践方法をご紹介します。
管理栄養士/アーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師
「一人ひとりがもっとも輝くベストな心身を知り、持続可能な人生をサポートする」をコンセプトに、2019年「MOTHER」創業。アーユルヴェーダに付随する各事業を全国で展開するかたわら、『無敵のデトックス大全―溜まっているオトナを巡らせる!』(ワニブックス)を2022年3月に上梓。
「アーシング」とは?
岡さん:「アーシング」とは「自然と触れ合うことで、人間の本来の機能を取り戻す」健康法です。
人間は忙しい毎日を過ごす中で、自分自身が自然の一部であることを忘れてしまいがち。自然に触れ合う機会が少ないと、人間が持っている体内のサイクルや自律神経が狂ってしまったり、気持ちが落ち込んでしまったり…さまざまな体の不調を感じる人も多いかもしれません。そこで、日々、時間や仕事に追われ、気持ちが休まらなかったり落ち込んでしまう方におすすめなのが、アーシングです。私が考えるアーシングには、「これをやらなければいけない」という定義はないですが、例えば以下のような方法があります。
アーシングの具体例
●芝生に裸足で寝そべってみる
●海につかったり、海辺を歩いてみる
●温泉に行く
●旬の採れたての野菜やお米を食べる
「アーシング」の効果は?
岡さん:アーシングを続けていると、体がイキイキして、じんわりとした幸福感が続くようになってくると思います。それは、空腹時に食事をとったときのような瞬間的なものではなく、極端に言ってしまえば「息をしているだけで心地いい」と恒常的に感じられる状態のこと。具体的には、アーシングを実践することで、以下のような変化が感じられるでしょう。
アーシングで期待できる効果
・疲労回復
・睡眠の質の改善
・自律神経が整う
・ふとした瞬間に「あぁ、幸せだな」と思うようになる
岡さん:私はヨガ講師をする中で、生徒の皆さんに「条件付きの幸せは不幸である」と話しています。「〇〇しないと幸せになれない」という感覚は、瞬間的な幸せしか生み出さず「もっともっと…」と、さらに多くの幸せを求めてしまうようになるからです。
人間は本来、自然の中で生活し、何もしなくても幸せを感じる状態がスタンダードであるべき。しかし、私たちはコンクリートや電子機器に囲まれて生活をしていく中で、知らぬ間に自然から遠ざかり、疲弊しています。一度都会から離れ、意識的に自然と触れ合うことで、人間本来の姿を取り戻すことができるのがアーシングの魅力。ですが、アーシングの効果が続くのは、約2週間前後と考えられています。自分に合った方法で、定期的にアーシングを実践してみましょう。
「アーシング」を始めてみよう!
さて、ここからは実際にアーシング初心者のエディターが先生のお話をもとにアーシングを実践! 初心者がアーシングを実践するにあたり、必要なものを岡さんにお伺いしました。
●用意するものは?
岡さん:自然と触れ合うこと自体をアーシングと考えると、「必ずこれがなくてはいけない」というものは特にありませんが、「今すぐ自然のある場所に行くのは難しい」という方は、自然にあるものを生活に取り入れることで、自宅でもアーシングが可能です。
自宅でできるアーシングの例
・土付きの旬の野菜や精米したてのお米を食べる
・自然由来の調味料を使う
・岩塩のバスソルトや、入浴用のニガリなどを活用して海の成分を取り入れる
●場所は? どこでやるのがいい?
岡さん:自宅以外でアーシングの実践におすすめの場所は、自然と触れ合うことができるならどこでもOK。例えば、以下のような場所です。
アーシングの実践におすすめの場所
・広い公園
・海・川
・キャンプ場
・山や森
岡さん:個人的な都内のおすすめスポットは、代々木公園。靴を脱いで寝そべるだけでも自然のエネルギーを取り入れることができるような気がします。そのほか、温泉に日帰りでいくのもいいですね。また、直接自然に触れ合うことができなくても、上記でご紹介したような、土付きの旬の野菜や岩塩などを活用することで、自然と直接触れ合ったときと同じように体の中からアーシングが可能であると考えます。
●“放電”できるって本当?
岡さん:人間で言う放電とは「滞った気を放出した状態」であると考えています。電子機器にたとえると、とてもわかりやすいですよね。スマホやパソコンを長く使いすぎると、フリーズして動かなくなってしまいます。そんなときの対処法は、一度電源を落として放電し、再起動すること。
人間も同じく、時間や仕事に追われる日々の中で、滞った気を外に放出しなければ体がフリーズしてしまうような感覚になってしまう。アーシングを実践することで、体の滞った気を放出していくイメージです。
yoiエディターが「アーシング」を実践!
さて、ここからはyoiエディターの種谷が、アーシングを実践してみた様子をお届けします。本当は公園や海に行ってのんびり過ごしたいところですが、なかなかまとまった時間が取れず…今回は自宅にいながらできる、食べるアーシングを試してみることにしました!
●今回使用した食材&調味料
・農家直送の土つき野菜『お野菜BOX【Nasuの娘】』
・農家直送のお米『阿吽米(あうんまい) 白米』
・自然由来の調味料『海人の藻塩』
農家直送のお野菜『お野菜BOX【Nasuの娘】』とお米『阿吽米(あうんまい) 白米』は、今回取材した岡さんの運営するオンラインショップ『MOTHER』で、『海人の藻塩』は近くの自然食品スーパーで購入しました。
数日後、届いたお野菜を開けてみるとこんな感じ。人参5本、菊芋4つ、白菜1房、紅しぐれ2本(写真左)、津軽かぶ(写真上)が入っていました。(白菜は大きくて、写真に収まりませんでした…)栃木県那須町の渋井さんという農家さんからの産地直送で、ミネラルの多く含む土づくりにこだわっているそう。
お野菜BOX【Nasuの娘】¥2,160(一回限りの購入)/MOTHER
お米はこんな感じ。こちらも同じく、那須にある渋井さんの農家からの直送。通常、スーパーで売っているお米は弱酸性のことが多いですが、阿吽米(あうんまい)は弱アルカリ性のためカルシウム高く、ミネラルが豊富に含まれるそうです。
阿吽米(あうんまい・2㎏)¥1,728/MOTHER
藻塩は近くのスーパーでたまたま見つけたものですが、瀬戸内の海水と海藻・ホンダワラから作られていて、食卓塩に比べて、まろやかな味わいになるとのこと。
海人の藻塩¥432/蒲刈物産
●お野菜とお米で調理開始
料理が得意ではないので、今回は野菜を購入したオンラインショップの方に、おすすめの調理法を教えていただきました。また「アーシング」が目的なので、ドレッシングや顆粒だしなどの化学調味料は使わないようにしました。
【津軽かぶ】
写真上の大きいかぶ。外がピンクで中が白色です。生でも食べれますが、火を入れるととろとろになります! 蒸し焼き、スープにぴったり。
【紅しぐれ】
写真左。酢や塩につけるときれいに発色するので、酢漬けや漬物に適しています。生のままスライスしてサラダに使ってもおすすめです。辛味は少なく、おろしにすると淡い紫色の大根おろしになります。
【人参】
写真右。お好きなオイルで蒸し焼きにしてお塩に付けて食べるのがおいしいです!
【菊芋】
写真下中央。菊芋は皮が薄いため、皮ごと生で食べることができます。泥をよく洗い落として芽や赤くなっているところを取り除くだけでOKです。白米と一緒に炊き込んだ菊芋ご飯、きんぴらも◎。
【白菜】
写真なし。芯が柔らかく食べやすいです。スープやお鍋で食べるのがおすすめです。
ちなみに、津軽かぶの断面はこんな色でした! そしてめちゃくちゃ大きい…!
一品目:人参と津軽かぶの蒸し焼き
人参と津軽かぶは、好きなオイルで蒸し焼きがおすすめとのことで、太白ごま油を使ってフライパンで調理。少しついた焦げ目が香ばしいです。
二品目:紅しぐれのガーリックサラダ
津軽かぶは加熱したので、紅しぐれの方はサラダに。薄めに切って太白ごま油とガーリック、藻塩で味付けしました。少しアクセントが欲しかったので、その上に粒胡椒をちりばめました。色が可愛い!
三品目:菊芋と海苔のあえ物
「芋を生で食べられる」というのが新鮮だったので、加熱せず食べることに。薄く切ってから10分ほど水につけてアク抜きをし、細く切って藻塩と太白ごま油、海苔を入れて混ぜました。
四品目:津軽かぶ、人参、白菜の味噌汁
白菜と津軽かぶはスープにすると、とろとろになっておいしいのことで、味噌汁を作ってみました。弱火で20分ほど煮て、具材が柔らかくなったところで自宅にあった味噌を入れました。
五品目:阿吽米&古代三色米
阿吽米には、家にあった『古代三色米』というお米を混ぜて炊きました。
アーシング料理完成!
なんだか、パープルが多い食卓になりました(笑)。今回は阿吽米に三色米をブレンドしましたが、何も入れずに炊けば白いお米です。
実際に食べてみて特に感動したのは、人参と津軽かぶ、そして阿吽米(あうんまい)です! 人参はいつもスーパーで買うものより味が濃くて甘い。少しついた焦げ目も香ばしく、何も味付けしなくてもいくらでも食べていられる気がしました。津軽かぶは、お味噌汁より蒸し焼きが好みだったかも。紫の皮の部分が通常のかぶより厚いので、その食感が残るように調理すると歯ごたえが楽しいです。そして、阿吽米は本当においしかった…。ひと口食べて、「え、待って…」となった(笑)。柔らかすぎず粒が立っていて、一粒一粒がツルツルしていました。これは絶対リピートしたい! 始める前はお野菜だけで物足りないかな? と思いましたが、とてもお腹いっぱいになり、おかずの半分は夕食に食べました。
●実践してみた感想と後日談
この日は脂っこいものやお菓子を控えたからか、消化に時間がかかるものをとらなかったからか、「また食べすぎてしまった…」という罪悪感を感じずに、とても気持ちよく1日を過ごしました。
また、せっかく食べるアーシングを頑張ったので、電子機器からも離れてみることに。お風呂に入る前に携帯の電源を切り、「朝までみない!」と決めて21時以降携帯を触りませんでした。正直とても暇だったので、結局本を読んで早めの就寝。翌日は、野菜のおかげかよく寝たからか…とても目覚めがよかったです。
アーシングにトライして以降、自分の食生活や生活習慣に、より意識を向けるようになったと思います。毎日続けるのは難しいですが、今後も「疲れたなあ」と感じたら、定期的に取り入れていきたい習慣になりました。
こんな方に「アーシング」はおすすめ!
岡さん:アーシングはおすすめしたいのは、アスファルトだらけの都会で過ごしている方。特に都心で仕事をしている方は、アスファルトや電子機器に触れ合う機会が多く、自然のメカニズムから遠ざかりがち。一方、自然に囲まれた生活を送っていらっしゃる方は自然とアーシングができていることが多いです。
アーシングにおすすめな人
●都会で生活している人
●夜昼逆転生活を送っている人
●普段からスマホやパソコンをよく使う人
●外に出る機会が少ない人
今回は今話題のアーシングについてご紹介しました。私たちは知らず知らずのうちに自分たちが自然の一部であるということを忘れてしまっているかもしれません。アーシングを通して、心と体の平穏を取り戻してみるのもよいかもしれません。
取材・文/毒島サチコ 企画・構成・お試し部分/種谷美波(yoi)