一人でサクっと出かけて癒される、そんな「ひとリート」の企画が今、yoiでは大人気。今回のテーマは「週末海外ひとリート」です。“弾丸”のような忙しない旅ではなく、今楽しみたいのはストレスフリーで異国を満喫する一人旅。今回お話を伺ったのは、旅作家として活躍しながら、ひとリートを愛する小林希さんです。
※情報は2025年6月の取材時のものです。
「ひとリート」とは…半日~日帰り・1泊2日程度の「一人で楽しむリトリート体験や旅」を表す造語。yoi発の、心と体のセルフケアに役立つ時間の使い方です。
旅作家
1982年生まれ、東京都出身。29歳で会社を退職し、世界をめぐる一人旅へ出発。約1年後に帰国し、旅作家としての活動をスタート。現在はフォトグラファーとしても活躍中。著書に『週末海外ー頑張る自分に、ご褒美旅をー』(ワニブックス)がある。
海外旅行は意外と手軽に楽しめるもの
——小林さんが「週末海外ひとリート」をはじめたきっかけは?
小林 もともとは、長期で旅するスタイルが多かったんです。本の執筆のために、場所も時間も気にせず自由に動ける環境だったので。でも、日本での仕事が増えてきてからは、自然と週末のお休みを使って旅することが多くなっていきました。隙間時間をうまく見つけて、そこに旅を差し込むような感じですね。
一人で海外旅行と聞くと、ハードルが高く感じる方もいるかもしれません。でも、思いきってトライしてみると、意外と手軽だし、何よりすごい充実感があって。だからこそ、たくさんの人におすすめしたいと思っています。
——初めて一人で週末海外の旅をしたのはどこですか?
小林 社会人になってすぐ、たしか韓国か台湾だったと思います。20代の頃にも訪れたことがあって、「ここなら週末でも気軽に楽しめそう」と感じていたのが選んだ理由でした。フライト時間、市内へのアクセスのしやすさもちょうどよくて、週末海外ひとリートのデビューにはぴったりでした。

——旅にまだ不慣れな人が、一人で海外に行くときに気をつけたいことはありますか?
小林 タクシーに乗るときは、ホテルで呼んでもらうか、アプリで手配しています。そうすると変な遠回りをされたり、料金をふっかけられたりっていう心配がぐっと減りますよ。
また、「何時までに着きたい」って急かすと、運転手さんも焦ってスピードを上げちゃうことがあるので、なるべく余裕を持って行動するのがおすすめ。もし「ちょっとスピード出しすぎかも」と思ったときは、臆せず、「もう少しゆっくりお願いします」ってきちんと伝えることも大切です。
実は、こうした小さな選択の積み重ねで、旅の安全度ってかなり変わるんですよね。「安心して旅をするために、自分がどう動くか」を意識することが、すごく大事だと思います。
気のままに動けるのは“ひとリート”ならではの贅沢
——印象に残っている「週末海外ひとリート」の体験はありますか?
小林 韓国の全州(チョンジュ)っていう町があって、そこに出かけたときのことが、すごく印象に残っています。もともとは、古い町並みをのんびり歩きたくて訪れたんですけど、たまたま立ち寄った韓紙(ハンジ)の工房で、「体験ってできるんですか?」って聞いてみたら、すごく気さくに「やってみます?」って言ってくださって。
まったく予定していなかったんですけど、その場で紙づくりを体験できて、本当にうれしかったですね。こういう偶然の出会いや流れに身を任せられるのって、やっぱり一人旅ならではの醍醐味だなって思います。

「週末海外ひとリート」の行き先選び、2つのポイント
point1. 観光ビザが不要な国を選ぶ
観光ビザの有無は、旅先を選ぶときの大事なポイントです。最近は、コロナ禍で新しくできたルールや、情勢の変化でビザの条件が変わっていることもあるので、出発前に必ず確認しておくと安心。
ビザの取得って、申請の手間があったり、ちょっと時間がかかったりしますよね。週末海外のように“サクッと行きたい旅”には、なるべく手続きの少ない国がぴったりです。
point2. フライト時間を味方にする
週末海外を最大限楽しむなら、フライトの時間をどう使うかがカギです。例えば、金曜日の深夜に出発して土曜の朝に現地到着、日曜日の夕方便で週末に帰国。もしくは、深夜便で月曜の早朝に帰国すると、土日をまるっと海外ですごすことができます。
たった2日間でも、直行便で4時間以内の東アジア(韓国・台湾)や南洋諸島(グアム)なら、十分に満喫できますよ。もし土日祝などで3日間とれるなら、フライト時間が6時間以内の東南アジア(インドネシア・タイ)や中央アジア(ウズベキスタン)などは、ビザも不要なのでおすすめです。

「週末海外ひとリート」を楽しむ5つのコツ
1. やりたいことをひとつに決める
「美術館でこの絵を見たい」「これを食べる」「この景色を見に行く」。そんなふうに、旅の目的をひとつに決めておくのがおすすめです。予定を詰め込みすぎないことで心に余裕が生まれるし、目的を達成できたときの満足感も大きくなります。
残った時間で街を歩いたり、気になるカフェに立ち寄ったり、美術館で見かけた別の展示に足を延ばしたり…。そんな偶然の出会いこそが、旅を自分らしいものにしてくれる気がします。
逆に予定を詰めすぎると、準備に追われて旅先でもバタバタ、帰ってきた頃にはぐったり。思い出もなんだかぼんやりしてしまうことが多いので、やりたいことはひとつに絞るようになりました。
2. 現地ツアーを日本で予約していく
わたしは、現地ツアーをよく活用しています。「KKday」や「ベルトラ」などで事前に予約しておくと、行きたい場所やアクティビティにスムーズにアクセスできて、本当に便利なんです。一人でも安心して参加できるツアーが多いので、移動に迷うこともなく、効率よく旅を楽しめますよ。
3. 一人でもレストランを予約する
現地の人が通うような食堂やカフェ、屋台、タパス料理のお店って、実はひとリートにぴったりなんです。韓国や台湾、バンコクでは屋台巡りが楽しいですし、ベトナムはローカル食堂が本当に充実していて、一人でも入りやすい雰囲気でした。
もし「ここに行きたい!」っていうレストランがある場合は、事前に予約しておくのがおすすめ。二人以上じゃないと入れないお店もあったりするので、当日困らないためにもチェックしておくと安心です。

4. ホテルは“アクセス重視”、星8点以上
ホテルを選ぶときは、まずアクセスのよさを重視しています。駅から近かったり、中心地にあったりすることはやっぱり大事。多少値段が高くても、郊外から毎回タクシーを呼ぶ手間やコストを考えると、結局そのほうが快適で、むしろお得に感じることが多いです。
ロケーションや清潔感はもちろん、口コミも必ずチェックします。ホテル予約サイトでは、星が10点満点なら8点以上をひとつの目安にしています。Wi-Fiがちゃんと使えるか、スタッフの対応はどうかなど、細かいところも見逃さず確認。やっぱり、実際に泊まった人のリアルな声はすごく参考になりますよね。
一人だからこそ「自分が安心してくつろげる場所か」をしっかり見極めたい。ホテルはただ寝るだけの場所じゃなくて、旅の拠点であり、自分を休める大切な空間だと思います。
5. タクシーで時間を有効活用!
公共交通機関が整っている国でも、路線バスや地下鉄の乗り方が日本とは違っていて、慣れていないと戸惑うことがありますよね。なので、基本的にタクシーを使うことが多いです。「Grab」や「Uber」などの配車アプリが使える国は、ひとリートにもぴったり。言葉の壁も少なくなるし、行き先を伝える手間も省けるので、海外の一人旅が初めての方にもおすすめです。
もちろん、特急列車などわかりやすい交通手段があれば利用しますが、「安心」と「時間」を買うと思ってタクシーを選ぶのは、旅を快適にする大事な選択だと思います。
イラスト/Eriko Aotake 構成・取材・文/高浦彩加