yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、寝込んでしまうほどひどい「生理痛」について伺いました。
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Q.腰痛・腹痛・頭痛がひどく、鎮痛剤も効きません
「今30歳ですが、25歳を境に生理のときの不調がひどくなりました。腰痛で眠れず、ひどい腹痛や頭痛、下腹部の痛みも強くなってきて、1週間は寝込んでしまうほど。鎮痛剤を飲んでもずっと効かないので、ひたすら痛みに耐えるばかりです。これって何かの病気でしょうか」
産婦人科医/心療内科医
日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。
A.寝込むほどの痛みは我慢せず、婦人科を受診しましょう
月経痛(生理痛)がある人の中には、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症といった婦人科疾患が原因で起こっている場合もあります。軽い痛みが時々ある程度なら市販の鎮痛剤で対処してもかまいませんが、強い痛みが毎周期出現していたり、痛みで寝込んでしまったりするような場合は、できるだけ早く婦人科を受診してください。
【こんな痛みや症状があったら婦人科へ】
●鎮痛剤が手放せない
●会社や学校を休んで寝込むことがある
●痛みがひどくなってきた
●セックスのとき、膣の奥の方が痛い
●排便痛がある
●生理以外で下腹部が痛むことがある
●生理のときに服用する鎮痛剤の量が増えてきた
生理痛の背景に考えられる婦人科系の病気
●子宮内膜症
子宮の中にだけ存在するはずの子宮内膜組織が、卵巣や直腸、膀胱、子宮の筋肉層のあいだなど、子宮の内側以外の場所に増殖する病気。月経のある女性の10人に1人が発症するといわれる。腰痛や性交痛、排便痛などを伴うケースも。低用量ピルや黄体ホルモン剤などを用いることで痛みを緩和できる。
●子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍。30歳以上の女性の20~30%にみられ、女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」によって大きくなるといわれる。できる場所や大きさ、数、成長スピードは人それぞれで、症状もさまざま。筋腫の場所や大きさによっては不正出血、貧血、腰痛、頻尿などが起こることも。小さくて症状がなければ、治療の必要はない。
●子宮腺筋症
子宮内膜と同じような組織が、子宮の筋肉内にできてしまう病気。子宮筋腫と同様に、女性ホルモンの影響で大きくなる。子宮内膜症と似ているが、できる場所が異なる。子宮筋腫や子宮内膜症を合併している場合もあり、MRIを用いて診断する。症状が軽い場合は治療の必要がない。
対処法:まずは婦人科で検査を。ストレスケアも大切
低用量ピルや黄体ホルモン剤などの薬物療法によって、つらい症状は改善できます。まずは婦人科で子宮や卵巣などにトラブルがないかどうかをチェックしましょう。月経痛はストレスが影響する代表的な心身症のひとつです。何が自分にとってストレスに感じるのか、そのストレスをどう発散していくか、どうストレスと向き合うか、自分に合った方法を考えて実践していくことも大切です。
構成・取材・文/国分美由紀