世界の生理事情をのぞいてみると、より広い視野で自分の体と向き合えるのでは…? そう考えたyoiは、世界5都市に暮らす女性たちに、“半径10mの生理事情”をリサーチ。第4回は、南アフリカで“日本人女性初の政府公認サファリガイド”として働く太田ゆかさんが登場。多様な人種で構成された多民族国家の南アフリカで、太田さんはどのように生理期間を過ごしているのかをたずねました。
※今回の記事は太田さんへの取材をまとめたもので、南アフリカのすべての生理事情を代表するものではありません。
サファリガイド
1995年生まれ。南アフリカ政府公認サファリガイド。大学在学中に南アフリカのサファリガイド訓練学校に留学し、資格を取得。2016年か南アフリカ共和国北東部に位置するクルーガー国立公園にてガイドとして活動している。また、野生動物の保護活動にも力を入れている。
開発が進んだ都市部と、植物療法が根付く地方で違う生理への向き合い方
Q.太田さんの半径10mで、「生理」について考えたり、話したりする機会はありますか?
私の半径10mでは、生理が会話に出てくることはほぼありません。というのも、サバンナで働くガイドは男性が多くて。私の職場も、男性5人と私を含む女性2人という構成なので、日常生活でこのトピックについて話す機会がないんです。でも、生理で体調が優れないとき、それを同僚男性に伝えると気を遣ってくれますし、気兼ねなく仕事を代わってくれます。別に、生理について“話してはいけない”という雰囲気があるわけではないですね。
ちなみに、日本では、“生理に向き合おう”という雰囲気が生まれていると聞きましたが、私から見て南アフリカでは、まだそういった生理にまつわるムーブメントが大々的に起きている感じはしません。
Q.南アフリカでは、どのような生理用品が売られていますか? 太田さんが使っているアイテムを教えてください。
私自身は、ナプキンが買いづらいサバンナの自然保護区に住んでいるのと、使い慣れたものがいいという理由で、帰国の度に大量買いしている日本のナプキンを使用しています。
南アフリカでは、『ジョンソン・エンド・ジョンソン』の「Stay free」や、『P&G』の「Always」などのブランドが人気で、店頭でもよく製品を見かけますね。品質も高く、価格も日本と同じくらい。首都・ヨハネスブルグをはじめとした大都市では、月経カップも見かけますが、私が暮らしているような田舎のエリアにはまだ普及していない印象があります。
南アフリカの生理用品売り場
Q.生理期間はどんなふうに過ごしますか? 手放せないアイテムがあれば教えてください。
私は生理痛が強いので、仕事のときは日本で買った鎮痛剤が手放せませんが、南アフリカでは地域によって生理痛への対処法が違う印象があります。一概には言えないものの、都市部に住む人はドラッグストアで薬を購入する人が多く、都市から離れたエリアに住む人は、自生している植物を使って薬を作る人が多いイメージ。
例えば、南アフリカ全土に生えている「ワイルドジンジャー」という植物は、生理痛だけでなく風邪や喘息など幅広い症状に効くそうで、根っこの部分をそのまま噛んだり、お茶にしたり、ペースト状にして摂取することもできます。実際に私の同僚も生理のときに飲んでいました。一口もらいましたが、においが強烈だったことを覚えています。
また、「体を温めること」に対しての意識が高い人が多い気がします。ほとんどのスーパーに湯たんぽが売っているので、私も南アフリカに来てから使うようになりました。だいたい1000円前後で購入できるため、サファリカーに常備する用、家の中で使う用、就寝用、予備用、4つ持っています(笑)。今では手放せないアイテムです。
太田さんが、寒暖差が激しいサバンナに出る際に愛用している湯たんぽ。
まだまだあります! 生理にまつわるエトセトラ
“足跡以外は残さない”が鉄則のサバンナで生理が来たら?
サファリツアーに参加したいけれど、血のにおいで動物に襲われないか不安」という声も聞きますが、心配はいりません。動物が人間の血のにおいに誘われて近づいてくる、ということはありません! ただ、サファリにはトイレがないので、茂みの中で用を足すことになり、生理と被ると少し不便かも。“足跡以外は残さない”が鉄則のサバンナでは、トイレットペーパーはその場で燃やして処理しますが、生理用品のごみはジップロックに入れて滞在施設に持ち帰る必要があります。ツアーの前にピルで生理日を調整する人もいるようです。
構成・取材・文/海渡理恵 企画/種谷美波(yoi)