世界の生理事情をのぞいてみると、より広い視野で自分の体と向き合えるのでは…? そう考えたyoiは、世界5都市に暮らす女性たちに、“半径10mの生理事情”をリサーチ。第5回は、17歳からアメリカに10年以上暮らしていた、YouTuberのNARUMIさんが登場。セルフケア意識が高いアメリカならではの生理との付き合い方を教えてもらいました。

※今回の記事はNARUMIさんへの取材をまとめたもので、アメリカのすべての生理事情を代表するものではありません。

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NARUMI

YouTuber

NARUMI

1992年沖縄県生まれ。17歳のときに、留学のためアメリカへ。大学在学中にスタートさせたYouTubeでは、アメリカ生活や、国際恋愛についてなどを赤裸々にトーク。2022年からは、アメリカ人のパートナーと共に沖縄在住。自身のYouTubeチャンネルだけでなく、第4回 JAPAN PODCAST AWARDS リスナーズ・チョイス1位を受賞した、ポッドキャスト番組『シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ』でシノブと共にパーソナリティを務めているほか、2023年5月には、書籍「私はアメで、明日は晴れで」を上梓した。

「タンポン持っていない?」トイレで知らない人とも話すようなオープンな雰囲気

Q.NARUMIさんの「生理」に対するイメージを教えてください。

日本に住んでいた頃は、生理用品を買うと黒いビニール袋に入れられるため、生理=“隠さないといけない”、“恥じないといけない”というイメージがありました。その固定観念は、アメリカに留学して払拭された気がします。

そもそもアメリカには、“生理用品を人目につかないように包装する”という文化がないですし、もし急に生理が来たら、「タンポンを持っていませんか?」と、知らない人でも聞けるような雰囲気があります。また、例えばナプキンのCMも、「生理なんかに負けない!」「どんな日でも運動したい!」みたいな、アクティブな女性の姿が描かれていることが多くて。そのおかげで、私も生理をポジティブにとらえられるようになったと思います。

そんなオープンな国なので、パートナーともフラットに生理について話すことができますね。そういえば一時期SNSで、パートナーにタンポンを買ってきてもら動画をよく見かけました。

Q.アメリカでは、どんな生理用品が人気ですか? NARUMIさんが愛用していたアイテムを教えてください。

私はナプキン派ですが、アメリカではタンポンが主流で、私の友人も大半がタンポンを使用していました。ちなみに、ハーバード大学の公衆衛生大学院が行った街頭調査*でも、タンポンを使っている人が47%といちばん多く、ついでナプキンという結果が出ていました。
*2022年11月9日〜2023年3月10日の間に、7394人に実施

また最近では、オーガニックのタンポンやナプキン、洗って繰り返し使える月経カップや吸水ショーツなどの、サスティナブルアイテムを選択する人が増えている印象です。この流れは、2018年にアメリカの大手化粧品専門店「Sephora」が、「Clean at Sephora」をローンチし、
「クリーンビューティブーム」(刺激性や有害性があるとされる成分を含まない製品とそれらを提供するブランドを選ぶこと)が巻き起こったことが要因のひとつだと思います。

私もこの頃に、一般的なナプキンから
オーガニックナプキンに切り替えましたが、ずっと悩まされていたムレから解放されて感動したのを覚えています…! おすすめのブランドは、『Rael』や『CORA』。あと、他のオーガニックナプキンより安いのに品質も良い『This is L.』(42個入りで、$9.99)をよく購入していました。そういえばアメリカでは、ナプキンも大容量のことが多く、一袋に大体40個くらい入っています。

アメリカ 生理用品 NARUMI

アメリカのスーパーの生理用品売り場。タンポンの種類が豊富。

Q.普段、どのように生理と向き合っていますか?

生理期間中にすることといえば、下腹部に痛みを感じたときに薬を飲むくらい。それ以外の症状はほとんどないので、生理だからといって何か特別なものを飲んだり、食べたりするということはないです。

医療費が高額なアメリカでは、セルフケア文化が発展していて、生理痛やPMSを抑える効果もある避妊法の選択肢が豊富なんです。ピル、ミレーナ(子宮内に装着する避妊リング)、避妊注射などで生理をコントロールしている人もたくさんいます。私も一時期、避妊パッチを貼ったり、ピルを飲んだりしていました。ちなみにそのときのピル代は、加入していた保険のおかげで無料でした。ただ、保険の種類によっては全額自費になってしまうことも。医療費については、同じ内容でも人によって値段がまったく異なる、というのがアメリカですね。

まだまだあります! 生理にまつわるエトセトラ

性教育の授業をするには、各家庭の許可が必要な学校も
ポッドキャスト番組「シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ」のパートナーであり、アメリカで子育てをしているシノブさんの話によると、さまざまな宗教や文化を持つ人が暮らしているアメリカの学校では、性に関する授業をする際、各家庭に授業開催の事前許可を取る必要があるよう。ちなみに、シノブさんのお子さんは、小学5年生と中学生のときに学校で性教育を受けたそうです。

構成・取材・文/海渡理恵 企画/種谷美波(yoi)