自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン31

Q31.自己流で済ませてきたマスターベーション。正しいやり方ってあるんですか?

31個目のギモンは、【自己流で済ませてきたマスターベーション。正しいやり方ってあるんですか?】。性器を刺激して性的快楽を得る、オナニーやセルフプレジャーとも呼ばれる自慰行為。性的欲求の解消以外にも、近年は深いリラックス効果や自己理解を深めるセルフケアの一環という見方も広まっています。基本的には自分が満足できればマスターベーションに正解はないと考えられていますが、オルガズム時に射精を伴う男性の場合、射精に至るまでに適切とされるやり方があるのだそう。気持ちよさを追求するだけではない、正しいマスターベーションとは?

A31.腟内と同じくらいの刺激で射精しましょう

小堀先生ここでお伝えする「正しいやり方」とは、女性のパートナーとのセックス時に問題なく射精するための方法になります。自己流のマスターベーションで満足できていても、セックスで射精できない・しづらいと感じた経験がある人は自分のやり方を見直してみるとよいでしょう。

①全身に余計な力をかけず、リラックスできる体勢になる
②ペニス全体を片手で包み込むようにやさしく握り、上下にゆっくり動かす
③勃起したら包皮を剥いて亀頭を露出し、射精するまで上下の刺激を続ける

重要なのは、ペニスを握る力加減はバナナがつぶれない程度を心がけ、腟内に挿入したとき=セックスのピストン運動を想定した刺激で射精すること! マスターベーション中は過激な動画や画像による性的興奮を避けるのが理想的ですね。しかし、精通を迎えたばかりの思春期前後やセックスの経験がない人は、性行為の動きを想像するのがむずかしいかもしれません。その結果、自己流で過剰な刺激を与えることに慣れてしまい、セックスで射精できなくなるパターンがよくあるのです。このあたりは性教育にも関わってくると思いますが、間違ったやり方を覚えてしまう前に、適切な力加減や動かし方を身につけてほしいですね。

マスターベーション オナニー セルフプレジャー

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)