自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。
Q49.おしっこをするときに痛みがあります…
49個目のギモンは、【おしっこをするときに痛みがあります…】。おしっこを出すときに外性器まわりが痛む、いわゆる排尿痛と呼ばれる症状。トイレに行くたびに憂鬱になるからといって水を飲む回数を減らすと、ちょっとした脱水状態に陥ることも…。頻尿や残尿と同じくらい悩んでいる人が多いという排尿痛のトラブルは、一体何が原因?
A49.男性に多いのは尿道炎と前立腺炎です
小堀先生:女性の場合、排尿時の痛みを感じたときにまっさきに思い浮かぶのは、おそらく膀胱炎だと思います。雑菌が尿道から逆流して膀胱に炎症が起こると痛みが生じるという、女性に多い尿疾患ですね。しかし男性は尿道が長いため雑菌が逆流することはほとんどなく、膀胱炎にかかることは滅多にありません。男性で排尿痛を起こす疾患で多いのは、尿道炎と前立腺炎です。いずれも雑菌や細菌に感染して炎症が起きるもので、症状がそれぞれ異なります。
【尿道炎】
・性行為によりクラミジアや淋菌などの細菌に感染する性感染症
・外陰部まわりに付着した大腸菌などの雑菌が原因となる場合もある
・おしっこの出始め〜最中にペニスの先端および全体が痛む
・半透明〜黄色っぽい膿が出る場合もあるが、クラミジアでは半数が症状はない
【前立腺炎】
・細菌が尿道から前立腺まで到達して感染する
・ほとんどは大腸菌やブドウ球菌など一般的な雑菌が原因
・微熱〜38度以上の高熱が出ることが多い
・おしっこの出始め〜最中にペニスの先端および全体が痛む
・慢性化すると下腹部や会陰にも強い痛みを感じる
・細菌性でない場合もあり、長時間の座り仕事やストレスによって発症することも
なかなか症状が良くならない場合はほかの疾患が隠れている可能性も考えられ、尿道結石や悪性腫瘍がある影響でも排尿痛は起こります。細菌感染が原因の場合には、抗菌薬や抗生剤で治療をするほかないので、我慢せずに泌尿器科へ行きましょう。
プライベートケアクリニック東京・東京院 院長
日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。
取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)