【yoi2周年スペシャルインタビュー第2弾・前編】乃木坂46を卒業後、心理カウンセラーとして活躍する中元日芽香さんは、現在27歳。1期生として活躍するなかで心身の不調に悩んでいたという彼女が、心理カウンセラーというセカンドキャリアを選んだ理由とは?
自覚していなかった悩みに気づけたカウンセリング。「素敵な仕事だな」と思うように
――乃木坂46の1期生として活動し、卒業後に心理カウンセラーとしてのセカンドキャリアを歩み始めた中元さん。今のお仕事を始められたのは、いつ頃からでしょうか?
2017年に乃木坂46を卒業し、2018年の春に早稲田大学に入学、2018年秋からカウンセラーとして活動を開始しました。大学は今年の3月に卒業したんですが、大学在学中も心理学を勉強しながらカウンセラーとして活動していました。今年で、ちょうど5年ですね! 「モニカと私」というカウンセリングサロンを開き、オンラインで有料のカウンセリングをしています。
――心理カウンセラーを目指したきっかけは、どんなことだったのでしょうか?
私自身が心理カウンセラーさんにお世話になって、救われたことがいちばんのきっかけですね。
乃木坂46在籍当時、さまざまなストレスが重なり、睡眠障害や適応障害の問題を抱えていました。この時期のことは、現在発売中の書籍『ありがとう、わたし』でもたくさん書いています。初めは「体調が悪いだけかな、疲れているだけなのかな…」と思っていたのですが、お仕事を休業したときにマネージャーさんの勧めでカウンセリングを受けてみたら、今まで自分では気づけていないことがたくさんあったと知って…。
不調の裏側に実は自覚できていない悩みがあり、それを解決できていないことがストレスとして積み重なっていることや、まわりと比べすぎてコンプレックスが強くなってしまっているなど、心に大きな負担がかかっていることを、カウンセラーさんとお話しすることで知ることができました。それが、体の症状としても出てきてしまっていると、教えてもらいました。
もともと、乃木坂46を卒業後は芸能活動をしていこうとは思っていませんでした。とはいえ何をしようかというのも決まっていませんでした。そんななかで、心理カウンセラーさんに出会ったことで「ああ、すごく素敵なお仕事だな」「もっとカウンセリングの文化が広まったらいいな」と思うようになったことが、現在のキャリアにつながっています。
初めは元乃木坂46のメンバーという肩書きがどう見られるのか不安に思うこともありました。しかし今では、「カウンセリングの文化やメンタルヘルスの大切さを広めるために役立つかもしれない」と思っています。実際、クライアントさんのなかには、「ウェブニュースを見て来ました」と言ってくださる方もたくさんいらっしゃいますし、カウンセリングに抵抗がある人の抵抗感を減らすことができているかもしれません。
心を開いて話すことで、変わることがあると知りました
――確かに、日本ではカウンセリングを受けるというカルチャーがなかなか浸透しないという課題がありますね。
そうなんです。国民性的なものもあるのだと思いますが…。海外では、学校にスクールカウンセラーさんが常駐していて、進路相談や恋愛相談も気軽にできる文化があります。10代の頃から、カウンセラーが身近な存在としている。なので大人になっても、カウンセラーに相談することが、セルフケアのひとつとして選択肢に入っているんだと思います。
日本の学校にスクールカウンセラーさんが常駐しているというケースもこの10年で増えてきています。それでもやはり人の目を気にしたり、カウンセラーさんに頼っていると思われたくないという人が多いんです。会社には産業カウンセラーさんがいらっしゃることもあるけれど、「相談することで査定に響いたら嫌だな」とか、「悩んでることがまわりにバレたら嫌だな」と思う方は多いようです。スクールカウンセラー制をもっと整えて、10代の心がやわらかい時期にカウンセラーと触れる機会が増えることで、カウンセリングへの抵抗感を減らせるといいなと思っています。
――中元さんも、カウンセラーさんと実際にお話しすることで、カウンセリングへのイメージが変わった方の一人ですよね。初めてカウンセリングを受けたときは、どのような感動がありましたか?
それまでは、悩んでいることを人に相談するという考え自体がありませんでした。話す前は、「話しただけで何か変わるのかなあ?」と、正直あまり期待していない部分がありました。
カウンセリングの初めは「こうした方がいいよ」というアドバイスや「それは違うんじゃない」という否定もせず、ただただ話を聞いてくださいました。次第に質問をしていただいて、それに対して私も自分の言葉で返していくうちに「私ってこういうこと考えてたんだ」とか、自分でも自覚していなかったことに気づけました。そうして、カウンセリングの後半は、涙がポロポロと出てきたり、心がグラグラとしたり。座って話していただけなのに、終わったあとは疲労感がありました。
一見シンプルだし、対話自体は普段からいろんな人としていたつもりだったのですが。でも、「ああ、心を開いて話すって、こういうことなのかな」と、衝撃を受けました。
クライアントでも、自分でも。向き合う時には、声を聞いて
――中元さんが、カウンセラーとして大切にしているのはどんなことですか?
私自身の先入観や考えを押し付けない、ということです。
答えは相談者さんご自身が持っていると思っていて、それを引き出すお手伝いをさせていただいているという心がけでいつもやっています。なのでお話を聞くときは自分自身がどう考えているかではなく、目の前のクライアントさん一人一人の、これまで生きてきた人生やその方が持っている常識などをなるべく聞かせていただいて、その世界により添った上で一緒に問題解決をするのか、愚痴や不安や悩みを吐き出してもらうのか、どんなお手伝いができるのかと考えます。
1時間話したことで、人生が変わったとまではいわなくても、前向きになるきっかけやひとつの要素になれたらうれしいなあ、という気持ちでお仕事をしております。
――中元さんご自身が、自分の心と向き合うときに大切にしているのはどんなことですか?
自分の心の中では、何を言ってもいいし、何を思ってもいい! というルールを設けています。「こういうこと言っちゃダメ」とか「考えちゃダメ」という制限を自分にかけるのはやめました。
前職で自分の声を無視して走り続けた結果、体調を崩した経験があるので…自分に対して「どうしたいの?」「疲れていない?」「疲れているなら疲れているって言おうよ」と声をかけて、自分の声をキャッチする。無理はせず心身ともに健康な状態で、仕事や勉強を長く続けられるベースを作っています。
インタビューの後編では、中元さんのクライアントにもyoi世代にも多い、20代後半〜30代の私たちが抱えがちなお悩みについて、心理カウンセラーとして、また、同世代の一人として、どう考えているのかをお伺いしました。
ブラウス¥17600・スカート¥19800/マチャット TEL:078-855-5827 リング(右)¥94000・リング(左)¥118800/イー・エム(イー・エム アオヤマ)TEL:03-6712-6797 ブーツ¥15950/マミアン(マミアン カスタマーサポート)TEL:078-691-9066
取材・文/中西彩乃 撮影/森川英里 スタイリスト/ミク ヘア&メイク/池田奈穂 企画・編集/木村美紀(yoi)