24年8月より、多数ご応募いただいた中から読者代表として選ばれた「yoiクリエイター」による発信がスタート! 一人につき、毎月2記事ずつ更新していきます。今回はご自身で描いたイラストとともに発信していただく、くどうあやさんの第1回目です。
【yoiクリエイターズとは?】
yoiの読者としての目線を生かし、語学やアート、文章表現などのクリエイティブスキルを発揮して、情報を発信していくクリエイターのこと。ビューティーやウェルネス、カルチャーや社会派の記事など、それぞれの得意分野でyoi読者におすすめのコンテンツを毎月配信します。メンバーは24年8月現在くどうあやさん、石坂友里さん。
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初めまして。
yoiクリエイターとして今月からふたつの企画で毎月1本ずつ、計2本の記事をアップしていきます。くどうあやです。
初回である今回は、「なぜ私がyoiで発信することになったのか」という話とともに簡単な自己紹介をさせていただきます。そして、これから発信することで読者の皆さんにどのようなことを伝えていきたいのか、そんなことをお伝えできればと思っています。
これから、マイノリティについてやその他の社会問題を軸とした、ふたつのテーマで発信していく予定です。どちらも私の体験から生まれた関心をもとに生まれた企画であり、このような形で発信することは初めてなので私自身かなりワクワクしています。
私ってこんな人
私は都内の美術大学の大学院に通う学生です。幼少期から工作が大好きで、その大好きを続けたまま美術大学に入学しました。現在は制作活動をいったんお休みして、複数の人種的ルーツを持つ人々を対象としたリサーチと研究をしています。他にもイラストを描いたり小説を書いてみたりと、やってみたかったことに挑戦をし続けています。
そんな自分がなぜyoiクリエイターズとして活動し、社会問題をテーマに発信をするに至ったのか、きっかけのひとつとも言える出来事があるので、少し長くなりますがお話ししようと思います。
私には大切なアイデンティティがあります。それはマルチレイシャルであることです。日本以外の複数の国にルーツを持っています。どの国にルーツを持っているのか当てることができた人はただ一人、高校時代の非常勤の地理の先生しかいません。それだけルーツがわかりにくい見た目をしています。正直、自分でも完璧には把握していないです。そして自分と同じルーツを持つ友人もいません。
私には地元と呼べる場所がありません。東京で育ったものの、子ども時代に引っ越しを繰り返したため、長年の地元の知人もいないのです。
そんなこんなで、どこにいてもなんだかふわふわと浮いているような、そんな感覚から抜け出すことができず、居場所を探して色々なコミュニティを渡り歩く日々を過ごしていました。所属しているコミュニティから簡単に抜け出して別の世界へ飛び込むことが多いので、フットワークが軽いとも言われますが、自分では深い付き合いができないだけなのだと思っています。
けれど、そんな感覚が変わったのはつい最近のこと、大学の教授に言われたひと言がきっかけでした。
「君は根無草タイプなんだね」
まさに私にぴったりの言葉。なんだか心の中のモヤモヤがスッと消えたような感覚がありました。どこか一つの場所に根を張って生きる場所を探さないといけない、と思い込んでいたことが間違っていた。転々と居場所を変えながら生きていくのも悪くないじゃないかと思ったわけです。
現在は自身の体験をもとにマルチレイシャルを対象としたマイノリティ研究をしており、リサーチに追われる日々を過ごしています。マルチレイシャルの人々を対象とした研究は、社会から透明化された存在であるという現状への問題提起として行われることが多いです。もちろん、生活するうえで自身のルーツに悩まされることは多くありますが、私はマルチレイシャルにしかない長所もあるとポジティブに考えることもできるようになりました。
その長所のひとつが、常に揺れ動くアイデンティティと周囲の無関心さによって、ひとつのコミュニティに縛られることなくあらゆるコミュニティを横断できる自由さを持っていることです。yoiクリエイターズに応募したのも、この長所を最大限に生かして活動をしてみたいと考えたからです。
これから発信していくこと
私の紹介はここまでにして、これからどのようなことをテーマに発信していくのかを具体的に紹介していきます。
ひとつは、マイノリティコミュニティに属する人へのインタビューを中心に、人々がどのような思いでそのコミュニティに属し、社会と関わっているのかをリサーチとともに深掘りします。相変わらずさまざまなコミュニティに入ったり抜けたりを繰り返している私が出会った人々に「あなたはここで何をしているのですか」と聞いて回ることで、日本に存在しているけれど異文化として透明化されがちな人々の姿に焦点を当てていきます。
もうひとつは、イベントや展示会など、社会問題に少しでも関心を持ってくださる読者の皆さんが気軽に足を運ぶきっかけとなる情報発信をしていきます。存在は知っているけれど、自ら入ることは少ないであろう場所を実際に訪れてレポートとして掲載します。
近くでに暮らしているのに... 前から興味はあったけど...
自分とは違う価値観を持っている人たちだと思うと、近くにいるのにものすごく遠い存在に思えてしまうことがあります。
以前の私は、「当事者意識」という看板をぶら下げてマイノリティコミュニティに出入りしていたのですが、現在では経験も価値観も人それぞれだと気がついたので、その看板は壊してしまいました。その代わりに、極端に広く浅い交友関係と、興味本位で突っ走って行く癖を全力で発揮していきたいと思っています。
「マイノリティってなんだ?」
ここまでで、何度かマイノリティという言葉が出てきましたが、皆さんは具体的にどのような人々を思い浮かべましたか?また、皆さんの身のまわりにはどれだけのマイノリティコミュニティがありますか?
多様性が叫ばれる時代ですが、実は誰もが何かしらのマイノリティ性やマジョリティ性を持っていると思います。
私は普段から外国にルーツを持つ人々や、性的マイノリティの人々のコミュニティに関心を持っています。こういうとなんとなく、ナイトクラブやパーティのようなものを想像する人もいるかもしれません。もちろんそういったイベントもありますが、実際は日中に集まり情報交換をしていたり、孤独感を感じた人のための逃げ場としてセーフスペースを作っていたり、そういった場であることが多いです。
私たちは、社会問題と向き合う人々に対して先入観を持って接してしまっているかもしれません。しかし、その人たちがどんなことを考えて、どんな思いでそこにいるのか、実際に考えたことがある人は少ないのではないかと感じることがあります。もちろん、私も全然わからないことばかりです。
そのため、これからの発信では、これから出会う人々との交流を通して学んだことを、少しでもわかりやすく読者の皆様に伝えていきたいと思います。普段目を逸らしてしまいがちな答えのない問題についてじっくり考えてみたり、記事を書いていきたいと思っています。
私が書く記事には、写真だけではなく自分で描いたイラストも載せています。言葉では伝えきれないイメージや、その場の雰囲気を共有したいと思って描いていきます。
yoiクリエイターとしての活動は、私にとって大きな旅立ちになると思っています。これからよろしくお願いいたします。
イラスト・構成・文/くどうあや