甲賀かをり先生のイラストによる、連載第3回の扉

「生理痛で、痛み止めを飲んだほうがいいの?」「痛み止めはクセになるから飲まないほうがいいの?」こんな疑問をもっている人は多いと思います。今回も、産婦人科医の甲賀かをり先生に答えていただきました。

今月お話をうかがうのは…
甲賀かをり

医学博士・産婦人科専門医

甲賀かをり

東京大学医学部附属病院産婦人科准教授。同病院で日本初の子宮内膜症外来を設立するなど、生理痛に悩む女性たちの診療に力を注いでいます

鎮痛剤は早めに飲んだほうがいい!

増田:「生理痛がひどくて1日に何度か、鎮痛剤を飲んでいる」「生理痛があると生活に支障が出るので、鎮痛剤を飲んで痛みを抑えています」という人がいる一方で、

「生理痛がありますが、薬に頼ると慣れてしまい、1日に何回も飲まなくてはいけなくなるのが怖いので、薬に頼れません」
「生理痛がつらいけど、ほかの薬との飲み合わせが怖くて、飲めません」
…と、鎮痛剤を怖がっている人の声もあります。

甲賀先生、生理痛で鎮痛剤を飲んでも問題ないのでしょうか?

甲賀先生痛みは、鎮痛剤を飲んで早めに抑えることが大切です
毎月のように生理痛に苦しんでいるのはよくありません。痛みを我慢していると、痛みの記憶が脳に残ってしまうのです。痛みを感じる脳の回路ができて、それほど痛くなくても痛いと感じるようになってしまいます。痛みが軽いうちに飲んだほうが、鎮痛剤も少量で効きやすいんですよ。

クセになったり、効きにくくなったりしないの?

増田:「鎮痛剤はクセになる」「飲み続けていると効かなくなる」と思っている人も多いようですが…。

甲賀先生:鎮痛剤がクセになる、効かなくなるということはありません。そう思い込んでいる方もいるようですが、市販されているアセトアミノフェン、ロキソニンなどの鎮痛剤に習慣性はないんですよ。鎮痛剤がやめられなくなったり、効きにくくなったりすることもありません。「鎮痛剤の量が増えてきた」「効かなくなってきた」としたら、婦人科を受診するタイミング。それは病気が悪化したせいかもしれません。

痛み止めの画像。早めに鎮痛剤を飲んで痛みを抑えることが大切!

長い間、市販の鎮痛剤を飲んでも大丈夫?

増田:痛いときは我慢せずに、早めに鎮痛剤を飲むほうが体にとっても優しいんですね。でも、毎月の生理のたびに市販の鎮痛剤を長い間、飲み続けるのはどうなんでしょうか? 用法用量を守っていればいいのですか?

甲賀先生毎回、生理のたびに鎮痛剤を飲んでいるという人は、ぜひ婦人科を受診してください。検査をして、背後に隠れた病気が何もないことがわかれば安心ですよね。それで、市販薬で痛みが軽減され日常生活に困らないでいられるなら、そのまま経過をみればいいでしょう。


背後に隠れた病気があった場合は、その病気の治療をすることで、生理痛が治ることも期待できます。また、市販の鎮痛剤より、その方の痛みにより適した治療薬を婦人科で処方してもらえると思います。

増田:鎮痛剤とほかの薬との飲み合わせを心配している人もいますが、注意するべきことはありますか?

甲賀先生市販の鎮痛剤とほかの薬の飲み合わせは、心配しなくて大丈夫です。市販されているアセトアミノフェン、ロキソニンなどの鎮痛剤で飲み合わせのよくない市販薬はありません。ただし、ほかの医師からの処方薬がある場合は、医師や薬剤師に確認してくださいね。

リモート取材中の甲賀先生

リモート取材中の甲賀先生

鎮痛剤が効かない生理痛なら

増田:一方で、鎮痛剤が効かないような激しい生理痛に悩まされている人もいます。

「鎮痛剤が効かない激しい腹痛、心筋梗塞かと思うほどの激しい胸部痛、体が地面にめり込んでいくような疲労感に襲われる」
「経血量が多い、貧血がひどい、生理痛で市販薬が効かない」
「軽い月もあるが、2~3カ月に1回、死にそうになるほどの激痛・貧血で倒れ、救急搬送されることが。救急外来で検査をしても問題がないと帰され、市販薬で我慢するしかなくてとてもつらい」

甲賀先生:このような痛みに耐えている女性たちの声を聞くと、本当に胸が痛みます。救急外来では、婦人科の医師が診察してくれるとは限りません。改めて婦人科を受診することがとても大切です。ぜひ婦人科で検査をして、治療してほしいと思います。

増田:ありがとうございます。生理痛は治せますね!
次回は、鎮痛剤だけではない生理痛の治療薬、低用量ピルについて、甲賀先生に詳しくお尋ねします。

甲賀先生の似顔絵イラスト
増田美加のドクタートーク Vol.1 つらい生理。ガマンしてはいけない痛みとは?
甲賀かをり先生のイラストによる、連載第2回の扉
増田美加のドクタートーク Vol.2 だんだんひどくなる生理痛、どうしたらいい?
増田美加

女性医療ジャーナリスト

増田美加

35年にわたり、女性の医療、ヘルスケアを取材。エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』ほか

撮影/島袋智子 イラスト/itabamoe Photo by Shironagasukujira/iStock/gettymages  取材・文/増田美加 企画・編集/浅香淳子(yoi)

Trending Hashtag