近年、注目を集めている「ナチュラルワイン」。飲みやすさや自然な風味で人気を博していますが、実際のところどんなワインなのかご存じですか? 普通のワインとの違いや、オーガニックワインとの関係、そしてその魅力を知ることで、ナチュラルワインをもっと楽しむことができます。基礎知識から今3000円台から手に入るおすすめリスト、外飲み派におすすめのお店までナチュラルラインについてご紹介します。
- 【ナチュラルワイン入門】今さら聞けない、自然派ワインの魅力と基礎知識をソムリエが解説!
- Q ナチュラルワインと一般的なワインの違いは?
- Q ナチュラルワインとオーガニックワインの違いは?
- Q ナチュラルワインでも酸化防止剤を使う?
- Q 二日酔いしにくいってほんと?
- Q ナチュラルワインはなぜ濁ったりしているの?
- Q ナチュラルワインは酸味が大切?
- Q オレンジワインはナチュラルワインだけ?
- 知っておきたい!ナチュラルワインの楽しみ方
- ──ナチュラルワインの味わい方
- ──日本の家庭料理に合わせてみる
- おいしいナチュラルワインを見つけよう
- 【3000円台から買える】「おしゃれだね」って褒められる、ナチュラルワインの手土産リスト
- 【3000円台】カジュアルな家飲みにはコレ!
- ──「コルフォンド」
- ──「ヴァンクゥール・ヴァンキュ・ロゼ」
- 【4000円台】手土産に喜ばれるのはコレ!
- ──「キュヴェ・エピス 2019」
- ──「ボレアス&ヘリオス・オレンジ・アシルティコ 2022」
- 【5000円〜】ソムリエ厳選!鎗田さんのおすすめ
- ──「シンフォニア・ディ・ビアンコ」
- ──「ヴェルシオン・スッド 2022」
- 【外飲み派必見!】東京でおいしいナチュラルワインが飲めるお店4選
- 【恵比寿】和×フレンチの逸品が楽しめる『食堂小泉』
- 【代官山】スパイス香る小皿料理とワインでリラックス『Baro』
- 【渋谷】立ち食い蕎麦屋でナチュラルワインを飲む『VS』
- 【丸の内】カジュアルな空間で本格イタリアンを堪能『o/sio』
【ナチュラルワイン入門】今さら聞けない、自然派ワインの魅力と基礎知識をソムリエが解説!
セルクルオーナーソムリエ
星野リゾートでレストランサービスの経験を経て、上質な軽井沢ライフスタイルをサポートする「セルクル」をオープン。セルクルでは「造り手の想いや土地を感じられるワインを通じて、食卓が贅沢になること」を理念とし、信頼のおける上質なナチュラルワインを提供しています。
Q ナチュラルワインと一般的なワインの違いは?
実は、ナチュラルワインには明確な定義がないんです。なのでお店のソムリエによって、解釈はまちまち。私は、そこもナチュラルワインの面白いところだと思います。
ナチュラルワインは土地の風土をそのままブドウに反映させる製法が特徴。なので「セルクル」では、機械で効率的に造るワインとは異なり、ブドウの自然な成長や発酵過程を大切にしたワインを「ナチュラルワイン」として取り扱い、私は「人が見えるワインがナチュラルワイン」と表現しています。
Q ナチュラルワインとオーガニックワインの違いは?
オーガニックワインは、特定の規定に基づいて栽培された土壌で育てた、オーガニック認証を取得したブドウから造られたもの。なので、オーガニックワイン=ナチュラルワインとは限りません。
ナチュラルワインは、オーガニック認証がなくても、自然な方法で造られ、化学物質や機械の使用を避けたワインが多い傾向にあります。
Q ナチュラルワインでも酸化防止剤を使う?
「ナチュラルワインなのに酸化防止剤を使ってる」と、ラベルを見て思う方もいるはず。ワインは、瓶内熟成の過程で酸化防止剤と同じ成分を作り出してしまうため、たとえ使っていなくても、すべてのワインに表記する必要があります。
ただ、知っておいてほしいのが、酸化防止剤を使うことが悪いわけではないということ。少量の酸化防止剤を使うことで、品質を安定させることができるので、不使用だからおいしいというわけではないですし、使っているからダメということでもありません。
Q 二日酔いしにくいってほんと?
ナチュラルワインは一般的なワインに比べて酸化防止剤の使用量が少ないため、二日酔いしにくいと言われることがあります。しかし、科学的に証明されているわけではありません。実際のところ、酸化防止剤だけが原因ではなく、ワインの品質管理がアルコールの質に大きく影響していると考えられます。
特に、ワインが日本に輸入される過程での温度管理が重要です。適切な温度で管理されていないと、温度変化による品質劣化で、頭痛を引き起こす成分が生成される可能性があります。安価なワインは温度管理が不十分なことが多く、これが二日酔いの原因のひとつになっているのです。
そのため、ナチュラルワインを楽しむ際は、輸送時の温度管理が徹底された、信頼できるインポーターから仕入れているお店で購入することが大切です。品質がしっかり管理されているワインであれば、安心しておいしく楽しめるはず。ナチュラルワインだから大丈夫というわけではなく、信頼できるお店選びが重要なポイントです。
Q ナチュラルワインはなぜ濁ったりしているの?
一般的なワインは、雑味や舌触りが悪くなるとして余分なものを排除し、製品の安定性を高めるためにフィルター処理をしたり、清澄という作業を行います。この処理により、透き通ったきれいなワインが完成します。
しかし、ナチュラルワインは「ブドウ本来の風味を味わってほしい」という理由から、フィルター処理をあえて行わないことが多く、その結果ブドウの皮の破片が入ったり、澱(おり)がたまることがあります。
濁りの原因は、ブドウの皮や果実の成分がワインに残ったもので、自然な風味をダイレクトに楽しむための工夫です。そのため、濁りや澱があるからといって品質が悪いわけではなく、むしろナチュラルワインならではの魅力なんですよ。
Q ナチュラルワインは酸味が大切?
ナチュラルワインは、ブドウ本来の風味を生かすことを重視しており、糖度を過度に高めずに仕上げるのが一般的です。糖度を上げると酸味が抑えられますが、ナチュラルワインではあえて酸味を残し、自然の旨みを大切にしています。そのため、酸味はナチュラルワインのおいしさのポイントのひとつ。
もし、酸味が苦手な場合は、ソムリエに「すっぱいワインが苦手」と伝えることで、強い酸味を避け、よりマイルドな味わいのワインを選んでもらえますよ。
Q オレンジワインはナチュラルワインだけ?
オレンジワインはナチュラルワインの一種として見かけることが多いですが、実際には一般的なワインのひとつでもあります。オレンジワインは、白ブドウを使って、赤ワインと同じ製法で造るもので、ブドウの皮や種を絞った果汁に漬け込んだり、一緒にに発酵させることで独特の色と風味が生まれます。
この製法は、ワイン発祥の地であるジョージアで古代から伝わる伝統的な技法であり、最近では「原点回帰」の流れから、ナチュラルワインの造り手が多く採用するようになっています。オレンジワインは、土地の風味をダイレクトに感じることができるので、ナチュラルワインに適している造り方として、造り手からも人気です。
知っておきたい!ナチュラルワインの楽しみ方
──ナチュラルワインの味わい方
ナチュラルワインの最大の魅力は、毎年異なる味わいや、造り手の気持ち、自然環境の影響が色濃く反映されるところ。ナチュラルワインを楽しむ際は、あまり難しく考えずに、「どんな情景で造られたのかな?」とか、「造り手さんはどんな思いで造ったのかな?」といったストーリーを想像しながら味わうと、より深く楽しめます。造り手のこだわりや、その年のブドウの出来を感じながら、自然の恵みを味わうことが醍醐味です。
──日本の家庭料理に合わせてみる
かつては、アメリカナイズドされた濃い味付けの料理が日本でも好まれ、こうした料理にはしっかりとした味わいのワインがよく合っていました。しかし、近年、日本人の食生活は大きく変化していますよね。ヘルシー志向が高まり、素材本来の味を生かした和食や、あっさりとした家庭料理が再び見直されるようになってきたと思います。
そんな現代の日本の家庭料理にぴったり合うのが、自然な味わいのナチュラルワインです。ナチュラルワインは、自然な酸味や軽やかな口当たりが特徴で、和食の繊細な味やヘルシーな食事と絶妙に調和します。
おいしいナチュラルワインを見つけよう
ナチュラルワインを選ぶ際は、今までにおいしいと感じたワインの特徴や、飲むシチュエーションをワインショップのスタッフや、レストランのソムリエに伝えると、より好みに合ったワインを見つけやすくなります。
たとえば、白ワインでも「辛口が好き」「フルーティーな味わいが好み」「甘みのあるものがいい」など、具体的な好みを伝えることがポイントです。苦手な味わいや、重視したい味わいも、遠慮せずに伝えてください。
また、予算を伝えるのも重要なポイント。価格帯に応じたおすすめを提案してもらうことで、より満足できる選択ができますよ。
ナチュラルワインは、特別な知識がなくても気軽に楽しめるのが最大の魅力。自然そのものを味わう感覚で、自分の好みに合う一本を見つけてみましょう。
【3000円台から買える】「おしゃれだね」って褒められる、ナチュラルワインの手土産リスト
【3000円台】カジュアルな家飲みにはコレ!
──「コルフォンド」
「コルフォンド」は、大量生産ではなく、畑造りから見直したワイン造りを実践する醸造家が手がけたスパークリングワインです。澱(おり)から生まれる酵母の香りがミネラル感を漂わせ、白桃のようなフルーティーな味わいが広がります。
おすすめシーン
瓶熟成による複雑な味わいの変化が楽しめるこのワインは、屋外で日差しを感じるシーンや最初の一杯にぴったりです。飲み進めるごとにコクが増し、変化を味わう楽しみがあるのが魅力。白身魚や貝類とのペアリングで、さらにその味わいが引き立ちます。
──「ヴァンクゥール・ヴァンキュ・ロゼ」
18歳のときに才能を見出された若き醸造家によって造られた「ヴァンクゥール・ヴァンキュ・ロゼ」は、鮮やかなピンクが目を引くフレッシュなロゼワインです。クリスタルのような清涼感と、ボリュームのある果実感が特徴で、アフターには鉱物的でスパイシーなミネラルさが残ります。
おすすめシーン
フレッシュでフルーティーな味わいが、友人たちとおつまみを食べながら、にぎやかに楽しむ時間にぴったりです。ピンクグレープフルーツやアセロラ、バラの香りが広がり、カジュアルな集まりに華やかさを添えます。
【4000円台】手土産に喜ばれるのはコレ!
──「キュヴェ・エピス 2019」
フランス人夫と日本人妻が力を合わせて生み出した「キュヴェ・エピス 2019」。特別なオーガニック農法「ビオディナミ」によって育てられたブドウを使用した白ワインです。この農法は天体の運行に合わせ、自然物質を用いながら、ブドウが持つ本来の力を最大限に引き出しています。
おすすめシーン
スパイスを思わせる複雑な香りが魅力的で、シュール・リー熟成による深い余韻が楽しめます。アジア料理やエスニック料理との相性がよく、食事をさらに豊かに演出する一杯となるでしょう。
──「ボレアス&ヘリオス・オレンジ・アシルティコ 2022」
オリンピック発祥の地であり、数々のギリシャ神話の舞台にもなってきた歴史ある地域で造られた「ボレアス&ヘリオス・オレンジ・アシルティコ 2022」。8日間醸し、定期的に攪拌を行いながら野生酵母で発酵。無濾過、無清澄で瓶詰めしたナチュラルワインらしい味わいです。
【5000円〜】ソムリエ厳選!鎗田さんのおすすめ
──「シンフォニア・ディ・ビアンコ」
「シンフォニア・ディ・ビアンコ」は、手摘みで収穫したブドウを自然発酵させ、栗の樽で7カ月間熟成させたオレンジワインです。南国フルーツや蜂蜜のような甘い香りが広がり、さまざまな風味が重なる豊かな味わいが楽しめます。
おすすめシーン
熟したリンゴやパイナップル、レモンなどのトロピカルフルーツの香りが重なり合い、わずかに感じるハーブのニュアンスがアクセントを添えます。魚介料理からスパイシーな中華料理まで幅広い料理と相性がいい一本。持ち寄りのワイン会などで一層喜ばれることでしょう。
──「ヴェルシオン・スッド 2022」
「ヴェルシオン・スッド 2022」は、土壌のエネルギーを自然界と調和して引き出すオーガニック農法、ビオディナミで育てられたブドウを使用した赤ワインです。ジューシーな果実味が特徴で、塩味のあるうま味や鉱物的なミネラル感が楽しめます。
おすすめシーン
ノンフィルターで造られているため、ブドウの純粋な味わいがそのまま感じられ、深い風味を楽しめます。買ってからすぐにでもおいしくいただけますが、数年間寝かせることでさらに味わいの変化を楽しむことができます。また、骨付きの仔羊のローストとのペアリングは格別! 赤身肉を食べる日におすすめです。
【外飲み派必見!】東京でおいしいナチュラルワインが飲めるお店4選
【恵比寿】和×フレンチの逸品が楽しめる『食堂小泉』
恵比寿の人気ビストロ『小泉料理店』が2023年にリニューアルを経て、大人の居酒屋『食堂小泉』として再始動。和の要素を取り入れた創作フレンチとともに、選りすぐりのナチュラルワインが楽しめる。
和洋が交錯するモダンな空間で、気取らずに楽しめるのが魅力です。コース料理からアラカルトまで、気分に合わせて自由に注文できるのもうれしいポイント。
料理は、食材そのもののうま味を生かしながら、異なる食材同士を絶妙に組み合わせ、五感で楽しめるメニューが豊富。ユニークな組み合わせでありながら、どこか親しみやすい味わいと評判です。
ナチュラルワインは常時200種類以上をそろえ、スタッフが料理に合うワインを丁寧に提案してくれる。ワイン初心者も気軽に、料理とナチュラルワインのペアリングを楽しめるからおすすめ。
食堂小泉
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-10-12
営業時間:平日・土曜 17:00〜23:00、日曜 12:00〜15:00、17:00〜22:00
定休日:不定休
電話番号:03-6455-2588
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【代官山】スパイス香る小皿料理とワインでリラックス『Baro』
代官山駅の近くにある『Baro(バロ)』は、白い建物が並ぶエリアに位置し、まるで外国にいるかのような非日常的な雰囲気が魅力。アンティーク家具が置かれたシックな店内は、カフェのように落ち着ける一方で、バーのようなリラックス感があり、ゆっくりとした時間を楽しめます。
メニューはスパイスと発酵食材をテーマにしたユニークな小皿料理が並び、ナチュラルワインとの相性も抜群です。
特におすすめなのは「ウフマヨとぬか漬け ブルーチーズ」。白味噌のまろやかな味わいが特徴で、ほのかに香る発酵食品の深いうま味がナチュラルワインと絶妙にマッチする一品。酸味が効いたナチュラルワインとの組み合わせで味わうと、新しい発見があるかもしれません。
Baro
住所:東京都渋谷区猿楽町26-2 sarugaku A棟2F
営業時間:17:00〜24:00
定休日:水曜、不定休
電話番号:03-6721-7317
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【渋谷】立ち食い蕎麦屋でナチュラルワインを飲む『VS』
京都の人気店『suba(スバ)』が、ナチュラルワインを角打ちスタイルで楽しめるユニークなお店『VS』として渋谷に進出。ナチュラルワインはディスペンサーに48種類そろっており、好みのワインのボタンを押すと注がれる仕組み。
ディスペンサーには二次元コードが付いているので、スマホをかざして、ワインの特徴をじっくり読みながら選べるようになっている。店員さんにたずねる勇気がでない初心者に優しい仕組み。しかも、1杯550円とリーズナブル!
蕎麦メニューは、その時期に一番おいしい蕎麦粉を使ったオリジナル麺を使用し、利尻昆布や本ガツオなどで取ったこだわりの関西風だしが引き立つ絶品の一杯を提供。人気の「名物!肉そば温泉玉子蕎麦」をはじめ、季節の素材を生かした「酢橘無花果」や「島根県宍道湖のしじみとマンダリンオイル」など、ここでしか味わえないオリジナル蕎麦メニューが人気。
また、ナチュラルワインを蕎麦だしで割った「だし割り」も試してみて。カクテルのように、ピリッとした七味を舐めながら飲むことで、新たなナチュラルワインの魅力を感じられるはず。
VS
住所:東京都渋谷区渋谷1-15-8 宮益ONビル
営業時間:12:00〜23:00
定休日:不定休
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【丸の内】カジュアルな空間で本格イタリアンを堪能『o/sio』
丸の内に位置する『o/sio(オシオ)』は、代々木上原の人気レストラン『sio(シオ)』の系列店として、気軽に立ち寄れるカジュアルなイタリアンとしてオープンしました。
『sio』といえばコース料理のみですが、ここ『o/sio』ではアラカルトメニューが中心! 旬の食材を使った炭火焼きのお肉や、濃厚なブッラータチーズ、鮮やかな野菜料理など、ナチュラルワインにぴったりの逸品がそろいます。
特におすすめのメニューは「真蛸の炭焼き 熟成芋とバーニャカウダ」。炭火で香ばしく焼き上げた蛸を、芋のペーストにたっぷりディップして食べる、新感覚の一皿。しっかりとしたうま味と香りが、ナチュラルワインと絶妙にマッチします。
また、店内にはワインの専門知識を持ったソムリエが常駐。その時々におすすめのナチュラルワインを数種類提案してくれるので、気分や料理に合わせたワインを選びやすいのも魅力です。忙しい日常を忘れて、洗練されたカジュアル空間でお気に入りのペアリングを探し出してみてください。
o/sio
住所:東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア B1F
営業時間:平日 11:00〜14:30、17:00〜23:00、土曜 11:00〜15:00、17:00〜23:00、日曜 11:00〜15:00、17:00〜22:00
定休日:年末年始、ビル点検日
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