体内時計を整え、睡眠の質アップや自律神経、ホルモン分泌も整えてくれる朝のタンパク質。目標となる30gを達成するのに、強い味方となるのがコンビニの商品。上手に組み合わせることで、体と心が整う高タンパク質メニューを作ることができます。今回は、時間栄養学を研究する管理栄養士の古谷彰子さんに、朝食でとりたい栄養素をカバーできるコンビニ食の組み合わせテクニックを教えてもらいました。
理学博士・管理栄養士
愛国学園短期大学准教授。「chronomanage」代表。早稲田大学規範科学総合研究所ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする時間栄養学を専門とし、科学的根拠をもとにした栄養指導や講演活動のほか、企業との商品開発など多岐にわたり活躍。
組み合わせを工夫して、コンビニで高タンパク質朝食
時間栄養学とは…?
「何をどのくらい」だけではなく、「いつ」食べるかということを考慮に入れる栄養学。栄養素によって体内時計を整えたり、体内時計に合わせて栄養素をとることでより効率的に代謝や合成を進めることができる。朝のタンパク質摂取は、効率的に筋肉を増やしたり、体内時計をリセットして1日の生理現象のリズムを整え、睡眠の質向上や自律神経やホルモンの分泌を整えたりするなどさまざまなメリットがあることがわかっている。
──体内時計をリセットして、一日の体のリズムを作るのに欠かせない朝のタンパク質と糖質。最近ではコンビニでも手軽にタンパク質がとれる食品が増え、上手に活用することで、時間栄養学を実践するハードルが下がりそうです。
古谷彰子さん(以下、古谷):はい。コンビニの食品やレトルト、冷凍食品、野菜ジュースやカット野菜などに対して、体に悪かったり栄養が逃げていたりするイメージを持っている人もいるかもしれませんが、どう選んで、どういう組み合わせで食べるかを考えるのがとても大事。上手に活用すれば、忙しい毎日の強い味方です。
納豆や温泉卵、ゆで卵、焼き魚はどこのコンビニにもあるし、ツナやサラダチキン、サラダフィッシュはサラダのトッピングとしてちょい足ししやすいです。
また、お弁当や冷凍食品でも糖質とタンパク質がワンプレートにのっているものを活用すれば、デザートや飲み物を足すだけで、十分な量のタンパク質をとることができます。
──確かに、コンビニにはちょい足ししやすいタンパク質食材が多いですね。具体的にコンビニ食品の組み合わせのコツを教えてください。
古谷:ベースのルールは固定しつつ、プラスオンする食品や飲料、魚や肉の種類を変えることで、飽きることなく、栄養バランスを安定させることができます。今回は目標の目安であるタンパク質30g以上を確保できる、3つの組み合わせパターンを紹介するのでコンビニで選ぶときの参考にしてください。
コンビニの食品はこう選ぶ!黄金バランスを作る朝食メニュー
おにぎり+焼き魚の和定食に、ちょい足し納豆&温泉卵/タンパク質量:約32.6g
古谷:和定食はやはりバランスがとりやすく、ちょい足しアイテムも活用しやすいです。例えば、タンパク質が具材のおにぎりに、焼き魚、ちょい足しアイテムとして納豆+温泉卵の納豆卵を副菜として加えれば、ボリューム的にも食べやすく、かつ30g以上のタンパク質を確保できます。
タンパク質量:約32.6g
また、水溶性タンパク質を含む海苔、ビタミンKを含む納豆、DHA、EPAを含む鮭と、タンパク質、糖質以外にも体内時計を整える栄養素がばっちりとれるのも和定食のいいところです。
サラダ+サラダチキン+ゆで卵+グラノーラと高タンパク質ヨーグルト/タンパク質量:約41.0g
古谷:タンパク質豊富な代表食材といえばサラダチキン。食物繊維をとれるサラダに、ゆで卵、グラノーラと一緒にのせて、シーザードレッシングをかければ、タンパク質たっぷりかつ、糖質、食物繊維も一気にとれる絶品シーザーサラダが完成。
グラノーラは栄養バランスを整えるのに役立つだけではなく、サラダに合ってとてもおいしいんですよ。
タンパク質量:約41.0g
デザートに、高タンパク質ヨーグルトをプラスオンすれば、これだけで40g以上のタンパク質がとれるという黄金メニュー。サラダチキンの代わりに魚をトッピングしたり、アレンジしやすいのもこの組み合わせのいいところですね。
糖質+肉のワンプレート+ちょい足し豆乳&豆腐バー/タンパク質量:約38.1g
古谷:ストックにも便利な冷凍食品でワンプレートになっているものを活用すれば、タンパク質をちょい足しするだけで、バランスの整った朝ごはんメニューが作れます。
タンパク質量:約38.1g
ちょい足しには牛乳や豆乳といったタンパク質がとれる飲み物や、デザート感覚で食べられる豆腐バーなどを選ぶと、ボリューム的にも食べやすく、気持ちの満足度も高い。
野菜が不足している場合は、ツナなどタンパク質食品がトッピングされた小さなサラダを追加することで、タンパク質と食物繊維が一緒にプラスでき、バランスを整えるのに使い勝手がいいです。
食べる習慣がない人は、最初はなかなか食べられないと思います。ですが、何かを体に入れることを習慣づけて、徐々にタンパク質の量を増やしていくと、朝ごはんを食べられる体に必ず変わります。コンビニでも買えるカップのお茶漬けからスタートして、タンパク質食材をちょい足ししていきましょう。
タンパク質量:約3.1g
ダイエットをしている人にとっても、朝はしっかり食べて、夜は糖質を抑え、メリハリをつけたほうが、選べる食品の幅も広がり、ストレスも減るので、続けやすいと思います。
おまけに、健康や美容にもうれしい効果が得られるとなれば、実践しない手はありません。忙しい毎日の中で、コンビニ食も活用しながら、自分に合った朝食スタイルを見つけてくださいね。
写真/表萌々花 企画・構成・取材・文/長谷日向子