2025年6月20日(日)までの期間、銀座メゾンエルメス フォーラムではブリュッセルと東京にある2つのエルメス・ギャラリーの協働によるグループ展「スペクトラム スペクトラム」を開催中。日本とヨーロッパのアーティスト7名による多彩な作品が披露されています。

「スペクトラム スペクトラム」 展示風景(2025年)
© Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
本展は、ブリュッセルにあるラ・ヴェリエール(La Verrière)にて開催された「Spektrum」(2024年5月16 日~7月27日)を鏡のように映し出しながら、東京の銀座メゾンエルメス フォーラムで、新たなナラティブの構造を重ね合わせてゆく対話の中で生まれたもの。

「スペクトラム スペクトラム」 展示風景(2025年)
© Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
展覧会のタイトルに使われている「スペクトラム」とは、ドイツ語でスペクトル(Spectrum)という物理的な現象の分布や範囲(光学や音響に用いられるスペクトルなど)を表すと同時に、亡霊や幻視といった 超自然的な存在や、また比喩的に扇子を意味するなど、広い射程とグラデーションを持つ言葉。
本展「スペクトラム スペクトラム」では、「スペクトラム」という言葉に含有される振れ幅や共鳴を鏡のような道具として用いながら、展覧会を一つの小説のように捉え、真実と虚の〈あいだ〉にとどまることのできる居場所として、 密やかな室内のナラティブを生み出します。

「スペクトラム スペクトラム」 展示風景(2025年)
© Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
出展するのはエマニュエル・カステラン、題府基之、川端健太郎、マリー・ローランサン、ヨハネス・ナーゲル、ヴァルター・スウェネン、津田道子の7名の作家。

「スペクトラム スペクトラム」 展示風景(2025年)
© Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Galerie Taménaga, Fondation d'entreprise Hermès
舞台や映画のセットのような空間を立ち上げるのはマルグリット・デュラスなどのヌーヴォー・ロマンに影響を受けたエマニュエル・カステラン。セラミックを用いるヨハネス・ナ―ゲルは、鮮明な発色や、非対称、不調和、表面の粗さや滑らかさを放つ壺 (器)で、異なる次元を掘り出し、ヴァルター・スウェネンの絵画は、謎めいた暗号を投げかけます。さらに、映像原理を用いて、時空の振れ幅を可視化させる津田道子、器やスプーンなどのオブジェの凹面に、エロテックな 幻想を宿しつつ結界をももたらす川端健太郎のオブジェ、ユーモアに満ちた水の亡霊を路上にしかける題府基之の写真、そして輝くようなパステルの色彩を用い、現実を装飾へと昇華させるマリー・ローランサン。

「スペクトラム スペクトラム」 展示風景(2025年)
© Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
7名のアーティストの真実と反射、逆転、持続、幻想、心霊現象などの〈あいだ〉にある場所を意図的に登場させることで、鑑賞者の身体を通じ作品とのナラティブを形成させる本展。ぜひ足を運んでみて。
「スペクトラム スペクトラム」
会期 2025年3月20日(木・祝)~6月29日(日)
開館時間 11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日 水曜日
※開館日と開館時間についての最新の情報はウェブサイトで確認を
会場 銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階(東京都中央区銀座5-4-1)
入場無料