25名の“フェムテック賢者”たちによって、2023年3月以降に発売されたフェムテック&フェムケア商品から優良アイテムが選出された「第2回フェムテック&フェムケアアワード」。第1回に続いて企画を担当したyoi編集部員の木村&種谷・ライター堀越さんの3人。本アワードを終えて何を感じたか、前回と比べて何が変わったかなど、フェムケアの現状について本音で語り合う座談会を実施しました。
参加メンバーはyoi編集部員木村・種谷&yoiエディター堀越さん
左:ライター堀越さん 中:種谷 右:木村
yoiエディター
2022年の6月にyoiに異動してきた、11年目エディター。yoiでさまざまなフェムテック&フェムケア情報に触れることで日々関心が高まり、いまや吸水ショーツやデリケートゾーンソープは手放せない存在に。
yoiエディター
入社8年目。yoiでは主に、竹田ダニエルさん、シオリーヌさん、Instagramのディレクションなどを担当。香りがいいものやナチュラル系のアイテムに興味があり、現在色々な製品をお試し中。
ライター
主にwebメディアで活動。文化女子大学(現・文化学園大学)でファッションを学び、ショップスタッフとして5年ほど勤務経験あり。身長が170cmあり、服のサイズ選びが難しい。プチプラファッションに目がなかったが、yoiでの執筆を機にウェルネスに開眼。ファッションウェルネスについて絶賛勉強中。
吸水ショーツはスニーカーのように使い分け
木村:「第2回フェムテック&フェムケアアワード」が終了しましたが…まずは製品をリサーチする段階でどんなことを感じた?
種谷:やはり吸水ショーツは、ラインナップも多くて目を引きました! 新しいブランドも登場しているし、今まで展開していたブランドも、機能が加わってさらにパワーアップした新モデルを販売していましたよね。どんどん技術が上がってるな、と思いました。
木村:吸水ショーツって、出たての頃は“吸水ショーツのブランド”として立ち上がったブランドものが多かったけど、今回のラインナップを見ると既存のブランドが吸水ショーツに力を入れはじめた、というケースが増えたよね。
堀越:第1回フェムテックアワードの大賞に選ばれた『ユニクロ』はじめ、『スロギー』や『チュチュアンナ』、『グンゼ』などの誰もが知っている下着ブランドの吸水ショーツがたくさんあったよね!
sloggi Period Pants ¥3960(M〜L)・¥4180(LL)/トリンプ・インターナショナル・ジャパン
木村:いつも下着を買っているブランドで吸水ショーツも買えるのはいいよね。『スロギー』は薄手で、ほかのブランドと比べて吸水量は少なめだけど、経血量が少ない日は快適に過ごせそう。手触りもさらっとしてるし、軽やかさは今回のラインナップでもトップクラス!
種谷:このくらい普通のショーツに近い履き心地のほうがいい、っていう方も多かったですね。吸水部分に厚みがあるともう少しウエスト部分で重さを支える感じになるけど、薄手で軽いからこそウエストをレース仕様にできるのかも。
木村:逆に『チュチュアンナ』の120mlタイプは厚みがあってふかふか。吸水面が前にも後ろにも長くてウエストまで繋がってるんだよね。意外とこういう形って少ない気がする。
すごっ!吸水サニタリーショーツ(吸水量120ml) ¥3289/チュチュアンナ
堀越:股上も深めでもれにくそうだから、寝るときとか、学生さんにもおすすめしたい。授業の合間でトイレに行けなかったり、体育の授業で動いたりするときにはいたら安心できそうですよね。『グンゼ』は総レースなのが新鮮!
木村:『グンゼ』は吸水面をグレーにしているから、洗うときに汚れがちゃんと落ちているか確認しやすいんだって。
トゥシェ チェリッシュムーン 吸収型サニタリーショーツ(25mlタイプ) ¥2,750/グンゼ
堀越:何か異常があったらすぐわかるように、吸水している状態を見たいっていう意見も多かったですね。しかもドライな肌触りだから、ナプキンに慣れている人が取り入れやすいショーツかも。
種谷:吸水ショーツって薄手でさらっとしたものと、厚手で安心感のあるものとで好みが分かれますよね。シーンによってはき分ける人も多いから、ローテクスニーカーとハイテクスニーカーみたいな感覚なのかな。
木村:普段から吸水ショーツ派の人には、ショーツ型ナプキンも人気があったね。旅行に行くときなんかは、使い捨てできるショーツ型ナプキンにチェンジするという選択肢もプラスしてみたい。私も使ってみたことがあるけど、薄手ではき心地も柔らかいので、普段のショーツと同じ感覚ではけるのがうれしい!
こちらは『エリス』のショーツ型ナプキン「エリスショーツ」。表面はスタイリッシュなブラックカラー、裏面は経血の状態を確認できるホワイト。
みんな拭き取りたい⁉︎ ワイプ需要の広まり
種谷:種類が多かったアイテムでいうと、ワイプも印象的でした。新作が多かったし、いざアワードを始めてみたらとにかく人気でびっくり! 『laugh.』の「WIPIE」は、たくさんの人が「可愛い!」と手に取っていた気がします。
木村:ワイプ部門は大賞を作る予定じゃなかったんだけど、あまりにも人気だから急遽作ることにしたんだよね。今回のアワードで人気が高かったアイテムは、どれも見た目が可愛いという共通点があったかも。特にワイプは持ち歩くものだし。
堀越:パッと見でワイプだってわからないのもいい、っていう意見も多かったですね。フェムテックが一般的になったとはいえ、やっぱりそこは気になるよなぁ、と思いました。
種谷:デザインが可愛いと気分も上がるし、「デリケートゾーンに使うアイテムを見られたくない」と思う人も、安心して持ち運べる気がします。それから、出先で急に生理が来てしまって、「どなたか、ナプキン持っていないでしょうか…」みたいな事態が起こることって、経験したことがある方も多い気がするんですが、誰かがその状況になったときにナプキンと一緒にワイプも渡したら気が利いている気がする。
木村・堀越:めっちゃおしゃれ〜!!! それやりたい!!!
種谷:あとおしゃれなデザインだからプレゼントで贈りたいっていう人も多かった。相手をいたわっている感じもするし。
木村:私もその意見聞いた! プレゼントの選択肢にフェムケアアイテムが挙がるようになったのはうれしいよね。
種谷:箱に入っているのもギフトとして想像しやすいのかも…あれ? このパッケージ、よく見たら女性から女性に何かを渡してるイラストじゃないですか?
WIPIE 15枚入 ¥3278/laugh.
木村:本当だ! パッケージですでにプレゼントしてるね!(笑)
堀越:これはギフトにするしかない!
デリケートゾーンウォッシュは続けやすさ重視!
木村:デリケートゾーンウォッシュは、数あるアイテムの中でも「普段から使ってる」という人が多かったよね。
種谷:ベーシックなウォッシュは使ったことがある、という人も多いからこそ、オイルで洗う『ポロロッカ』や、カンジダ予防になる『ピュビケアオーガニック』などの個性があって一歩進んだものに票が入った気がします。
堀越:最初に使ったデリケートゾーンウォッシュは『サマーズイブ』っていう声も多かった。ドラッグストアやバラエティショップで買えるから続けやすい、という意見が印象的でした。
(左から)サマーズイブ ラベンダーナイトタイムウォッシュ 354mL ¥1617/サマーズイブ フェミニン メディソープ 220mL ¥2750/Pubicare organic インティメイト クレンジングオイル 50mL ¥3850/ポロロッカ
種谷:手に入れやすさとか価格の安さってすごく大事ですよね。
木村:そういう手軽さでいうと、『ペリカン石鹸』のアイテムもバラエティショップでよく見かけるよね。おしり用石鹸の「恋するおしり」は私も使ったことある。
VIO CLEAN ¥1320/ペリカン石鹸
種谷:『ペリカン石鹸』の「VIO CLEAN」は、週に1回程度、デリケートゾーンを石鹸で直洗いすることを推奨してるんですよね。最初は驚いたけど、スクラブ入りだしさっぱりして気持ちよさそう。
堀越:値段もお手ごろだし、ミニサイズもあるから気になる人はお試ししたり、旅行に持って行ったりするのもいいかも!
私たちはあきらめなくていい!「月経ディスク」と“ビジュのいい”「ルブリカント」に注目
木村:この3人は、実は月経ディスク未経験なんだよね。私は『ラブピースクラブ』の山本さんと、『Mood is me.』の渥美さんから月経ディスクの魅力を聞かせてもらって、すごく心動かされたの。これは使わなくちゃ!って。
堀越:私も一緒にお話を聞いてたんですけど、次の生理までに月経ディスク買うつもりです。
木村:詳しくは山本さんの個人賞と渥美さんの個人賞の記事でぜひチェックを。渥美さんのいろんなことをあきらめなくていい、もっと早く出合っていれば…っていう言葉が印象的だったな。
種谷:なるほど…! 月経カップはしばらく使っていなかったのですが、最近思い出して、また使ってみました。なのですが…入れる角度が悪かったみたいで、少し経血がもれちゃったんですよね。カップよりもディスクのほうが受け止める口の面積が広いから、もれにくかったりするのかな。
堀越:コツを掴んでしまえばとっても快適だけど、コツを掴むまでが大変なイメージはありますよね。
木村:ディスクを入れるときって恥骨に触るんだけど、山本さんも渥美さんも「恥骨は思ってるより低い位置にある」とも言ってた。思ってるよりは簡単なのかも?
堀越:『ラブピースクラブ』のサイトを見ていたら、月経カップ・ローション・クリーナーのセットや、月経ディスク・デリケートゾーンウォッシュのセットとかも販売されてました! こういうスターターキットから始めるのもアリですよね。
フルムーンディスク スモール ¥6930/フルムーンガール
木村:「あきらめなくていい」といえばもうひとつ。yoiのインスタを見ていたら、性交痛に関する投稿のいいね数がほかよりかなり多いことに気づいたの。性交痛があるせいで、セックスが楽しめないのはつらいよね。『aib』や『peec』『THE NEW CHAPTER』のような、おしゃれなデザインのルブリカントが増えているから、女性が手に取りやすくなってきた!
種谷:デザインの好みも人それぞれだから、スタイリッシュなものもキュートなものもある中から選べるのがいいですよね。『peec』のカードタイプのルブリカントもすごく便利そう!
堀越:性交痛に悩んでいる人は「痛い」とか「ローション使ってみよう」とパートナーに言えない、というパターンが多いので、「これカードみたいだけどローションなんだよ」っていうキャッチーさから話題が広がって、使いやすくなるかも!
(左から)インナーフローラローション ¥3300/aib ルブリカントローション ¥4400/THE NEW CHAPTER Essence Lubricant Lotion 1箱5枚入 ¥3980/peec
今後のフェムテックに期待することは「手に取りやすいこと」
種谷:洋服でも食べ物でも、新しいものを試すのって楽しいですよね。フェムテックやフェムケアも、その感覚で楽しみたいと思いました。例えば月経カップは、使い方が少し難しかったり、毎回洗わなくてはいけなくて、慣れるまでは少し面倒かもしれないけれど、煮沸消毒している時間が意外とワクワクしたりもする。今後も色々なものを試したいし、いろんな選択肢が増えたらいいなと思うのですが、問題は、月経カップが高額ってことなんですよね…。
堀越:同感です。お試しっていう気持ちで5,000円とか出せるかって聞かれたら、よほど関心がないと難しいです。もし合わなかったら「しょうがないよね〜」って簡単には割り切れない…誰かに譲るわけにもいかないし。
種谷:以前yoiの企画で、『fermata』の近藤さんに、今のフェムテック市場についてインタビューした際に、“競合他社があることは、手に取りやすい価格が実現するための絶対条件”ということを伺ったんです。フェムテック市場がさらに盛り上がることによって、手に取りやすい価格のものが増えたらいいなと思います。
木村:私たちは新しい製品や情報に触れる機会が多いから当たり前に吸水ショーツを使ってるけど、同世代の友達に聞くと「吸水ショーツ? 聞いたことはある」くらいの感覚の人もわりと多いよね。
堀越:でも最近、姉から「吸水ショーツって実際どう?」って聞かれたんですよ。どうやら同僚の方と娘さんの生理の話になったらしく、私が吸水ショーツについての記事を書いたことを思い出してくれたみたいで。もちろん熱くおすすめしました! これで娘さんやそのお友達の生理の選択肢が広がったらいいな。
木村:なんていい話! 私も学生時代に吸水ショーツがあったらずいぶん楽だっただろうな。今より経血量も多かったし、ナプキンを変える頻度もわからなくて、もれたりしたこともあったから。
種谷:生理が来る人がちらほら出始める小学校高学年くらいの頃、私のまわりでは「〇〇は生理が来た」みたいな噂が広がったりもしていた記憶がある。そんなか、トイレにポーチを持って行くことにハードルを感じる人もいた気がするんだよね。当時吸水ショーツがあったら、ポーチを持たずにトイレに行けていたかもしれない…。
木村:ポーチを持つことの恥じらいってすごかったよね! 私は今よりも生理で悩むことが多かったから、「長い時間替えなくていいなら月経カップやディスクを使いたい!」って、当時のほうが積極的になっていたかも。
堀越:誰も気にしてないとは思うけど、ポーチを持って行くことによって「私今生理中です」って言いながら歩いてるみたいな気持ちになってました(笑)。学生時代は修学旅行とか卒業旅行とか“一生に一度”の記念になるタイミングが多いから、早いうちから色々なフェムテックアイテムを試してほしいですよね。
種谷:価格の面でも、買える場所の少なさからも、まだまだフェムテック&フェムケア製品へのハードルを感じる人は多いから、もっと気軽なものになるといいよね。あとは、ナプキンも実はたくさん種類があるから、自分に合うものをこだわって探してみるのも、フェムケアへの関心が高まる第一歩になるかも。
木村:ナプキンも、ものによってかなり着け心地が違うもんね。そこで自分にフィットするものを見つける楽しさを感じてほしいな。
種谷:今はピルのCMもよく見るけど、少し前ではほとんど見たことがなかったし、そういう意味で変化しているなと感じます。フェムテック業界も、これからどう変わって行くのか楽しみです…!
取材・文/堀越美香子 企画・構成/木村美紀・種谷美波(yoi)