たとえ長く付き合っている恋人同士や夫婦であっても、なかなかオープンに話しづらいセックスのこと。実はモヤモヤやイライラを胸に秘めている女性がたくさんいるようです。yoiが実施した、セックスの悩みや疑問についてアンケートでも、たくさんのリアルな声が集まりました。

そこで今回は、「パートナーとのセックスに関わるコミュニケーション」をテーマにお悩みをピックアップ。産婦人科医の高橋怜奈先生がお答えします!

※ 2022年12月〜2023年1月にyoi公式Instagramにてアンケートを実施。

国際女性デー 記事バナー

3月8日の国際女性デーに寄せて、yoiは3月を「Self Love March」と位置づけ、女性の体・心・性をエンパワメントするコンテンツをお届けします。関連記事一覧はこちらのバナーから。

高橋怜奈先生

産婦人科医

高橋怜奈先生

産婦人科医、医学博士。東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科に在籍。ベリーダンサー、元プロボクサー。メディア出演をはじめ、SNSやYouTubeなどで医療情報の発信も積極的に行う。

パートナーとのコミュニケーション編(見出し)

セックスは、感じ方も考え方も人それぞれ。どんなに親しい関係性であっても、自分の気持ちや要望を伝えるのはなかなか難しいものですよね。「相手を傷つけたくない」「嫌われたくない...」そんな思いから、「伝えたいのに伝えられない」人は多いようです。

お悩み① 正直、不快なことも...。傷つけないように断るには?

 確実に性欲がなくなってきているのに対して、彼氏はまだ衰える気配がなく、相手を傷つけない断り方が難しい。また、彼はAVを見過ぎなのか、「潮を吹かす=女の人は気持ちいい」と思っています。私的には尿意を催すポイントを刺激しまくられると、オシッコがでるけど気持ちよくはないし、腟とかが傷つきそうで正直不快…。でも、本人は私を気持ちよくさせたい一心でしているのかと思うと、キツく拒否するのもしらけさせるようで伝えにくい…。何度かあまり好きではないと言っているけど、恥ずかしくてそう言っていると思われてる確率が高いです。(じょ~さん・36歳)

●ただ断るのではなく、別の選択肢を提示してみる。

高橋先生:セックスの好みや、前戯の仕方、愛情表現について、自分が気持ちよくない、あるいは不快に感じるような場合、相手のことを考えると自分の気持ちを伝えるのはなかなか難しいですよね。そんなとき、相手自身を否定するのではなく、なぜそのような行為が嫌なのかを冷静に伝えること、そして、自分がしてほしい別の選択肢を提示するのが大切です

例えばセックスや行為を断るときも、「〜はイヤだ」というネガティブな言い方ではなく、「今日はハグにしよう」「今日は○○がしたい」「△△のほうが好きだな」など、別の選択肢を提案するようにすると、相手も「断られた」というネガティブな感情が少なくなります(ただ、何度も同じことを言っても繰り返される場合にははっきり言うべきです)。


キスする男女のイラスト

●本当に大切な人なら、伝えることで仲も深まるはず。

高橋先生:セックスに限りませんが、「相手に嫌われたくない」「傷つけてしまうのでは」と不安になって、伝えたいことを伝えられない人は多いと思います。でも、自分の身になって考えてみましょう。好きな相手に、こうしてほしい、これはやめてほしいと言われたとき、あなたは深く傷ついたり、嫌いになったりしますか? おそらく(相手の言い方にもよるでしょうが)、伝えてくれてありがとうという気持ちになる人が多いと思います。



実は、私自身も、自分の要望を相手にうまく伝えられないタイプだったのですが、伝えても伝えなくてもフラれるときはフラれるし、うまくいくときは、うまくいく。だったら、ちゃんと伝えたほうがいいなと思うようになりました。彼が本当に自分を思ってくれているなら、むしろ伝えたほうが、相手との関係性もより深まるはず。相手は自分を大切にしてくれているのだと自信をもって!

お悩み② 私の反応を見てくれない。最近はできるだけ時短で済ますように…。

どうしても前戯で気持ちよくなれず(彼はずっと目をつむって体を触るので、私の反応や表情を見てくれない)、こちらの希望を上手に伝えようと、かわいくおねだりしてみる、終わったあとに冷静に話してみる、などいろいろしましたが、「わがままだなー(笑)」「難しいこと言わないでよ」と取り合ってもらえず。最近はできるだけ時短で済ますようにしてしまい、前戯はほぼせず、ローションに頼るようになっています。(さいこさん・31歳)

 高橋先生:女性のほうが、セックスに関して自分の希望をあまり強く言えないとか、遠慮してしまうということは多いと思います。でもそれって、お互いの性的同意が取れていない状態。「これはやめてほしい」「こうしてもいい?」などと、セックスの好みや考えについて、ちゃんとした話し合いのなかでできるといいですよね。

●テレビや映画、ネット記事などを、気持ちを伝えるツールにするのもおすすめです。

高橋先生:自分のこととなると、お互い冷静に考えられない、伝えられないということもあると思うので、例えばテレビや映画、ネットの記事などの媒体を使って、「これってこうだよね」「私はこう思うな」などと、お互いセックスや愛情表現について意見を言い合ってみるのはどうでしょう。ふだん伝えにくいことも伝えられるきっかけになるかもしれません。



それでも本気にしてくれない、取り合ってくれないということであれば、それはパートナーがあなたを大切に考えてくれていないという証拠かも。相手との付き合い方を考えるべきだと私は思います。

お悩み③ 彼がEDで、挿入がないことにモヤモヤ…。

パートナーが中折れ(※EDの一種で、性行為の挿入中にペニスがしぼんでしまう状態のこと)しやすく、前戯までしかできないのが悩みです。十二分に愛してくれるので、満たされてはいますが、なんとなく挿入がないことにモヤモヤしています。そもそも本人がそこまで挿入にこだわっていないので、ED治療を勧めるのもハードルがあります。EDのことや、挿入が苦手な男性に対する理解をしたいです。「男性=性欲が強い」「挿入したい」と思っている人が多いと思っていたので、そうではない人の意見を広く知りたいです。(moiさん・33歳)

セックスに悩む女性のイラスト

高橋先生:ED(勃起障害)の定義は、「満足のいく性行為に十分な勃起を達成できない、もしくは維持できない」状態。専門は泌尿器科になり、治療内容は、バイアグラなどの勃起不全治療薬や漢方、男性ホルモン補充療法、カウンセリング、血管手術など、原因によってさまざまです。EDの原因としては、加齢や過労、ストレスや精神的な問題などが考えられるほか、糖尿病など身体的な異常がある場合は、それらの治療がまず必要になることもあります。

●「EDは誰でも起こり得ること」と理解した上で、気持ちを伝えるようにしましょう。

高橋先生:男女間のセックスにおいては、お互いの体のことをあまり知らないせいで、パートナーとすれ違いが生まれてしまうこともあるのかなと思います。私は、EDは女性の「濡れづらい」問題とリンクするところがあると思っていて、男性は女性が濡れないと、「俺に興奮していないんだ」と思ってしまいがちだし、女性は男性が中折れしたり勃たなかったりするのを、「私に性的な魅力がないせいだ」と思ってしまうことが多い。どちらも体調やストレスなど心身の状態の問題であって、気合いや気持ちでなんとかなることではないのに、自分を責めてしまうんです。

EDは、上記のように原因によりさまざまな治療法がありますが、精神的なプレッシャーやストレスが原因となっていることも多いので、すぐに治療で解決できると思わないことが大事です。セックスをするとき以外でも、お互いがなんでも話せるような環境をつくっておくと、心理的問題も共有しやすいと思います。

また、妊活などで「しなくてはいけない」などとプレッシャーになると、より悪化してしまう場合も。「しなければいけない」状態をつくってしまうと逃げられないので、男性女性に関わらず「セックスする選択は本人にある」という前提を大切にしたいですね。また、お互いに「挿入しなければ、オーガズムを得られなければ、ちゃんとしたセックスではない」といった思い込みを捨てることも大事です。

そのうえで、「挿入してほしい」と気持ちを伝えるときは、相手を思いやるような伝え方をするようにしましょう。中折れやEDは誰でも起こる可能性があり、誰のせいでもないということを「理解しているよ」と伝わるように、コミュニケーションをとるといいと思います。

また、病院の受診をいきなり勧めるのはハードルが高いと思うので、「こんな病気の可能性もあるみたいだよ」とネットの記事を共有してみるのもいいですし、「一緒に病院に行こう」と声をかけてみてもいいかもしれません。もし将来妊娠を考えているのであれば、いずれ治療が必要になるため、2人の将来について話し合うことが受診をすすめるきっかけにはなるかもしれません。

●男性も女性も挿入が苦手な人はいる。強制せずに、いい関係を築く方法を探って。

高橋先生:ただ、EDや中折れに関わらず、挿入が苦手な男性もいます。それは女性も同じで、性交痛があったり、恐怖心が大きかったり、そうでなくても挿入が苦手という人はいますよね。相手が挿入したくないのであれば、それを強制することはできません。お互いが満足しているのであればそれでいいですが、どちらかが不満なのであれば、挿入なしで快感を得られるセックスのスタイルを探ってみたり、セックスの楽しみをパートナーのみに求めず、セルフプレジャーを活用するなどの方法を考えてみてもいいと思います」

良好なパートナー関係のイラスト

なかなか自分の気持ちを伝えられずに悩んでいる方へ、「相手を大切に思うからこそ、きちんと伝えることが、二人の関係を深めてくれるはず」と高橋先生は言います。また、困っているときには一人で抱え込まず、婦人科や公の機関を気軽に頼っていいことを覚えておきましょう!

取材・文/秦レンナ イラスト/mio.matsumoto