自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン25

Q25.精液の色が茶色っぽいのは問題ないですか?

25個目のギモンは、【精液の色が茶色っぽいのは問題ないですか?】。精液の量や濃度だけでなく、色について疑問を抱く男性は多いはず。普段の生活で困ることは特にないにせよ、もしかして体に何か異常があるのかも……?

A25.血が混じっているか、体に何かしらの病気が隠れている可能性が

症状が継続するようなら「前立腺がん」の可能性が

小堀先生精液が茶色っぽい状態は「血精液症(けつせいえきしょう)」です。精液に古い血液が混じる症状のことで、新鮮な血液が混じると赤やピンクっぽく見えます。原因は不明ですが、10代からお年寄りまでどの年代にも明らかな原因はないのに起こり得る症状です。血精液症自体は病気ではないのでご安心ください。自然治癒することがほとんどですが、症状が継続している高齢者の中にはごく稀に「前立腺がん」が隠れている可能性が! 50歳以上で精液に血が混じる人は、一度泌尿器科を受診することをおすすめします。

精液の色はさまざまな要因で変わります

小堀先生正常な精液の色は白濁色ですが、健康状態や食事の影響で変化するもの。精液を構成する液体の中は、精嚢液と前立腺液があり、それぞれ体液ですので黄色味がかって見えてしまう場合があります。

ほかにもアルコール摂取や薬物、尿の混入、激しいセックスやオナニーなどでも色は変わります。色だけではなく、質感がドロッとしたゼリー状に変化することもあるのです。私がクリニックのブログで紹介した精液のカラーチャートを参考に、ご自身の精液状態が気になる方は精液検査をご検討ください。

精液 色 病気

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)