自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン20

Q24.精液の濃度や量は妊娠のしやすさと関係ありますか?

24個目のギモンは、【精液の濃度や量は妊娠のしやすさと関係ありますか?】。子どもを希望する人たちにとって、女性側だけでなく男性側の状況を知っておくのは大事なこと。精液の量が減少する理由については【Q23:精液の量や濃さが変化する原因は?】で判明しましたが、妊娠率への影響はどのくらいあるのでしょうか?

A24.関係ありますが、“精子”数との関連性はありません

精液の量=精子の量ではありません

小堀先生精液量は多いほどに、濃度は濃い人ほど妊娠率は高くなります。しかし精液量が多くても精子の数の割合は少ないケースもあり、100人に1人は無精子症だと言われています。そのため、精液の量や濃度と精子の数に関連はありません。

WHOが定めた自然妊娠が期待できる基準値は、精液量が1.4㎖以上、精子総数が3900万個以上、精子濃度が1600万個/1㎖以上、精子運動率が42%、正常形態率が4%以上。これは平均値ではなく、あくまで下限基準値で、自然妊娠できる必要最低限のラインです。データを上回っていても自然妊娠が保証されるというわけではなく、一年以内に自然妊娠できない場合は「不妊症」の可能性があると考えられます。そのうち48%は男性因子であることが判明しているものの、不妊症の半分は原因不明とされているのが現状です。

男性不妊の原因を調べるうえでもっとも簡単で確実な方法は、精液検査を受けること! なかなか妊娠しないことで悩んでいる人や、今後子作りを考えている人は、一度検査を受けてみるといいかもしれませんね。

精液所見

出典/プライベートケアクリニック東京のWEBサイトを参考に作図

精子の量は、検査してみないとわからない!

小堀先生精子の数は精液の見た目からは判断できず、精液検査で初めてわかるもの。精液の色が濃いほどに妊娠しやすいとされていても、精液の色が薄いことで悩んでいる人が検査をしてみたら、精子がいっぱい存在していたという事例はたくさんあります! 精液検査は自費診療で行われることが多いですが、男性不妊が疑われる場合は保険適用されます。

当クリニックの精液検査費用は初診料2,750円+11,000円〜で、基本的な検査の9項目と、さらに詳しく調べたい人向けに高度精液検査をご提供しています。ご自宅で採取した精液を蓋つきの容器に入れてご持参いただき、当日のうちに結果が出ます。詳細な数値と撮影画像に医師のコメントをつけてお渡しし、結果から診断や改善のためのアドバイスなど、必要に応じて適宜ご案内できます。

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 画像デザイン/永見花奈 企画・構成/木村美紀(yoi)