自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン40

Q40.早漏に効く薬はありますか?

40個目のギモンは、【早漏に効く薬はありますか?】。もっと長い時間セックスを続けたいのに、すぐに射精をしてしまうというお悩み。薬で解決することはできるのでしょうか?

A40.抗うつ薬の一種は早漏に対して効果がありますが、厚生労働省から承認はされていません

小堀先生厚生労働省が承認している、早漏に対する薬は日本国内にはないのが現状です。しかし、世界に目を向けると、米国泌尿器科学会や、国際性機能学会では、早漏を「治療することのできる疾患」として、治療のガイドラインが定められています。

世界の早漏治療ガイドラインに記載のある日本国内で使用できる薬としては、パロキセチンといった選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬があります。

実は、射精をコントロールしているのはペニスではなくて、脳なのです(詳しくはQ22の記事を参照)。脳内で、セロトニンは「射精を我慢させることができる」働きをします。早漏治療薬を飲んで脳内のセロトニンレベルを上昇させることにより、比較的副作用が少なく、射精をコントロールできるようになることがわかっています。具体的に言うと、射精までの時間が服用しないときに比べて3~5倍に延長するのです。パロキセチンは本来うつ病に使う薬ですので、適応外使用として処方が可能であれば、自費診療で薬を使用することができます。

また、世界では早漏専門の治療薬であるダポキセチンという薬があります。服用後1時間で効果が出てくれる、とてもよい薬です。日本国内でも処方しているクリニックはありますが、厚生労働省の承認がないため、副作用救済制度を使用することができないので注意が必要です。

我々のクリニックでもダポキセチンの処方は行っていますが、非常に効果的で、大きな副作用は今まではありません。患者さんにもご好評の薬であり、ご希望がある方はご利用ください。

早漏の薬 セックス

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)