"おばさん"だけではない。老若男女問わず、幅広い層から支持を集めるpodcast番組「OVER THE SUN」。全国のリスナーたちの心をガッツリ掴んでいるのが、ジェーン・スーさんと堀井美香さんの歯に衣着せぬ軽快なトーク。ラジオとはまた異なる、自由度高めなpodcastで繰り広げられる二人の掛け合いは、時にゆる〜っと、時にズバッと、そのメリハリが心地よく、言いたいことを言い合える関係性に憧れる女性も多いよう。

今回はそんなお二人に、7月30日(土)の「国際フレンドシップデー」にちなんで、友達とは?について、2回にわたってインタビュー。知り合いが友達に変わる瞬間は? 友達は多いほうが幸せ? 友達といい関係を築く唯一絶対の方法など、机上の空論ではない“ストリート”な友情論について、じっくり伺いました!

「OVER THE SUN」のコンビ、ジェーン・スーさんと堀井美香さん

ジェーン・スー

作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティ

ジェーン・スー

1973年、東京生まれ。著書に、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬社)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)、『ひとまず上出来』(文芸春秋社)、『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)などヒット作多数。そのほか、毎週月曜日〜木曜日、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』では、メインパーソナリティを務める。

堀井美香

フリーアナウンサー

堀井美香

アナウンサーとして、TBSに27年間勤めたあと、2022年3月に退社しフリーランスに。現在は、TBSテレビ「坂上&指原のつぶれない店」、「バナナサンド」などの人気番組や、数々のCMなどでナレーションを担当。自身が開催する朗読会も、チケットが即完するほど人気。ジェーン・スーさんとパーソナリティを務める『OVER THE SUN』は、毎週金曜日17時よりエピソード配信中。

ジェーン・スーと堀井美香が「友達」になるまで

ジェーン・スーさん、堀井美香さんがラジオブースにいるカット

――今や数々のメディアで特集が組まれるなど、大人気の「OVER THE SUN」ですが、リスナーの中にはお二人の関係に憧れる女性がたくさんいますよね。

ジェーン・スー(以下スー):最近、そういうことをよく言っていただくんですが…。

堀井美香(以下堀井):自分たちとしてはそれが不思議と言いますか。

スー:正直、どうしてそんなふうに言ってもらえるのかわからないし、期待されるほど逃げたくなる。今日も堀井さんと話していたんですよ、全員に「ほっといてよー!」って叫んで走りだしたくなるよねって(笑)。

――そんなお気持ちのところ大変恐縮なのですが(笑)、本日はお二人に7月30日の「国際フレンドシップデー」にちなんで、「友達」についての質問をぶつけたいと思います。そもそも、スーさんと堀井さんは、どこで出会って、どのように友達になっていったんでしょうか。

スー:初めて会ったのは約10年前。当時、私が出演していた『ザ・トップ5』というラジオ番組で、3年目のパートナーが堀井さんだったんだよね。初対面の印象は「真面目なアナウンサーの人」。年齢はほぼ同じでも、私とは全然違う人生を歩んできた人なんだろうなって。

堀井:私からスーちゃんに対する印象は「キレッキレな女の人」。

スー:お互いに「畑が違う人だな」って感じはしたよね。

――仕事で出会い、最初は「畑の違う人」だったお二人がなぜこんなにも仲良くなったのか気になります。

堀井
:私は初対面のときから「もしかしたら、この人はただのおばさんかもしれない」と。どこか似ているものを感じてはいたんですけど(笑)。

スー:距離が縮まったのは大きなきっかけや事件があったわけではなく。徐々に徐々に、ですよね。今、堀井さんが「似ているもの」と表現したように、なんとなく、気が合った。なかでも、私たちは二人共、ふざけたりくだらないことをするのが大好き、という共通点がありまして。この年齢になると皆、一緒にふざけたことをしてくれないので、「悪ふざけをする相手にはちょうどいいのが来たぞ」と(笑)。例えば、堀井さんが私の誕生日に 「(ジェーン・スーの)ギャラ上げろ」と書いたのぼりを勝手に作って持ってきたり…。

堀井:少年サッカーのトロフィーが売っていたので、そこに「ジェーン・スー 優勝」と刻んでいただいてプレゼントしたこともあります。それも3mくらいの、いちばん大きい特注のやつに。

スー:3mはさすがになかったでしょうが。それにしても、完全に嫌がらせですよ(笑)。

知り合いなのか、友達なのか、親友なのか。 そもそも「友達」の定義とは?

堀井美香さんのソロカット

――大人になると特に、「自分が相手にとってどんな存在なのか」によって、距離感を測りたいと考える人も多いと思います。お二人は今の関係を、どのようにとらえていますか?

堀井:友達でもありますし、仕事仲間でもありますし、家族でもありますし。なんかもう、そろそろ私たち入れ替わるんじゃないかっていう…。

スー:ちょっと待って、入れ替わるのはまだ早くない?(笑)。私は個人的に「親友です」みたいなのって、気恥ずかしくて言えないんです。それぞれの人間関係を比べて特別扱いするようなこともあまり品がよろしくないなと。だからこそ、関係性を改めて定義するのは難しいんですが。私たちの関係は「友達」というより「仲間」のほうがピンとくるかな。仕事でもプライベートでも、友達よりも少し苦み走った部分も共有してきたとは思いますね。

――ほかの友達関係では「相手との関係を見定めて、それに合った立ち振る舞いをする」というようなことはないのでしょうか。

堀井:相手との関係性について定義したり、「この人は友達で、この人は親友で」みたいな線引きは、特に大人になってからはないですね。ただ、すべての人と同じ関係というわけではもちろんない。その中には、自分の身に起きた嫌なことや悩みを相談できたり、涙を流したり、負の部分を見せることができる友達が何人かいる。もしかしたら、それを "親友"と呼ぶのかもしれないです。でも、こっちを立てると、あっちが立たなくなるし。それ以外の人は「じゃあ、私は親友じゃないの?」って、それもまた変な話じゃないですか。

二人の撮影オフショット動画はこちら!

人間関係“潔癖”時代。人と距離を縮めるのが難しくなっている

ジェーン・スーさんのソロカット

スー:この「相手との関係を見定めて、それに合った立ち振る舞いをしたい」の裏にあるのはきっと「失敗したくない」とか「恥をかきたくない」という気持ちだと思うんですよ。他者に立ち入ったり、踏み込んだりすることは、失礼なことでありやってはいけないことであると。特に今、人間関係がすごく潔癖じゃないですか。「正しさ」とか、「失礼じゃないか」というところがすごく重要視されている。そうすると、相手にとっての自分の定義が気になってきますよね。

でも、基本的に、他者に対しては、どうしたって相手の不本意になる範囲に踏み込んでいくことになるんです。一定以上近づこうと思ったらなおさら、それは不可避なわけで。もしかすると、そういうのを、あまり罪悪感を持たずにやれた最後の世代かもしれないよね、我々が。ある種の無礼講も受け入れることができる最後の世代(笑)。

――距離を詰めづらい時代になっていますよね。

スー:難しいよね。距離感によっては「加害」と認識されてしまう可能性もあるから。嫌な思いをしたくなければどうしても「踏み込まない」になっちゃう。それがいちばん傷つけず、傷つかずで済む方法なんですよね。

友達が多いほうが幸せ? 判断基準を「他人」にするのは、マジでやめたほうがいい

――友達が多い/少ない、という概念があると思うのですが、お二人はいかがですか?

堀井
:私は少ないですね。学生時代はたくさんいた気もするんですが、結婚して子供ができた25〜26年前から、パタリと連絡が途絶え、今残っている学生時代の友達は2〜3人。当時はネットやスマホもない時代で、連絡方法といえば家の電話か年賀状くらいでしたから。でも、私はこれで十分に満ち足りているんです。気の合わない人と時間を過ごすより、いざというときの一人二人、そっちのほうが全然大事。スーちゃんは友達が多いイメージあるよね。

スー:少なくはないと思うけど、多いっていう自覚も特にないかな。でも、何かあったときに声を掛けることができる人数を考えると、少なくはないんでしょうね。

――やはり、友達は多いほうがいいのでしょうか…。

スー:そんなの、どっちでもいいんじゃないの?

堀井:ふふふふ(笑)

スー:なぜならそれは、他人に決めてもらうことじゃないから。いや本当、「他人に決めてもらうの、マジでやめた方がいい!」って感じですよ。

というのも、私自身、過去を振り返ると、他人軸で価値を測っていたところがあって。20代の頃は「いつも楽しそう」に見られたかったんです。「あの子、楽しい現場にいつもいるよね」って。それが30代になると、結婚していようがしていまいが「幸せそう」に見られたかった。そして、40代の今は「疲れてなさそう」に見られたいので、疲労につながることはしないようになりました(笑)。ゆえに、今がいちばん無理のない友達づき合いができていると思いますね。

たいして親しくもない人のホームパーティにまで行っていた20代、幸せそうに見られたくて無理をしていた30代、それがサーッと消えていく40代…。友達とのづき合い方や過ごし方は、年代ごとに違ったりもしますから。だからこそ「自分が今、居心地がいい状態」を見つけることが、人間関係においてもいちばん大事なんですよ。

自分の前に相手の幸せをいちばんに願うこと。結局それでしかない

ジェーン・スーさん、堀井美香さんが談笑するカット

堀井:いろんな場所に行くといろんな人がいるから。その中に自分と合う人が見つかれば、長くおつき合いすればいい。友達って焦ってつくるものではないし、自然と距離が縮まっていくものだと思うんですよね。

スー:私ね、友達も恋愛も同じだと思っていて。「距離を縮めるのが難しい時代だ」と言いましたけど、それでも、本当の意味で相手の幸せをいちばんに願えば、失敗することは少ないんですよ。相手が、伸び伸び、生き生きと過ごすことを望めば、おのずと関係性ができてくるんですよ。

ーーただ、頭では「相手の幸せを望むことが大切」とわかっていても、なかなか実行するのは難しい気がして。例えば、「友達から悩みを打ち明けられて相談に乗ったのに、全然聞く耳を持ってくれない!」など、つい自分本位に考えてしまったり…。

スー:道ならぬ恋をしているとか、めちゃくちゃ悪い条件の会社なのに勤めつづけているとか…。まわりの皆から「もうやめなよ」って言われているのにやめない、そういう友達がいたときに大切なのは「なんでなんだ」と責め立てることじゃないんですよね。そうではなく、相手が本当に傷ついたときに隣にいてあげること。それが友達なんじゃないのって私は思うんだけどな。

でも、若いうちはそこまで考えられなくても仕方ないよ。実際、私も20代の頃は自分のことしか考えてなかった。人は皆、37〜38歳までは人間じゃないと思っているから(笑)、気持ちの面でようやく大人になれるのって、30代後半くらいだと思いますよ。

友達関係を良好に保つには「自分の人生を充実させること」

堀井:スーちゃんが言ったように、20代と30代後半では友達とのつき合い方も違いますしね。例えば、それこそ若い頃は友達とベッタリというようなこともありましたけど、今はある程度、距離感のある友達のほうがつき合いやすいんです。「いつも一緒」ではなくて、離れているけどお互いに頑張っていて、たまに会うような友達がすごく心地よい。

スー:中年のおばさんの友達関係が良好に見えるのは、単純に接点が少ないから、っていうのもあるよね。だから、うまくいっているの。うちらだって、ベッタリと四六時中一緒にいたら、絶対に取っ組み合いのケンカをしていると思うよ(笑)。

堀井:10代や20代って、ずっと一緒にいることが大切な気がしていたし、そうじゃなきゃ友情が続かないような不安もあったけど。今はもう、半年会わなくても、連絡を取らなくても、全然平気。

スー:大人になるとそれができるようになる。経験もあるけど、単純にそれぞれが自分の人生に忙しいっていうのも大きいよね。友達のことだけ考えている暇なんてないから。「今、堀井さん誰といるのかな」「私のこと、本当はどう思っているだろう」とか、考えている暇なんてマジでないから!(笑)。

堀井:大丈夫、20代の皆さんもいずれは立派なおばさんになります。いつか今の悩みがちっぽけに思える日がちゃんとやってきますから♡

「OVER THE SUN」のジェーン・スーさん、堀井美香さんのツーショット

●TBSラジオ「OVER THE SUN」
ジェーン・スーさんと堀井美香さんによる、Podcast 番組。毎週金曜日の夕方5時に新作配信。
公式インスタグラム 公式Twitter 

撮影/上澤友香 取材・文/石井美輪 企画・編集/種谷美波(yoi)

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