長田杏奈さんの動画連載「ゆるぱわめんとコスメ」をスペシャルバージョンでお届け! 今回は、インスタグラムのストーリーで皆さんから募集したお悩みに一問一答形式で回答します。前編では親子関係からフェミニズム、後編ではおすすめコスメ&スキンケアまで、幅広いトピックに長田さんならではの言葉でアンサー。お悩みにまつわるコンテンツやアイテムも合わせてご紹介します!
Q. 親との関係がしんどい…。上手な距離の取り方が知りたいです
A. お互いを「自分にとって都合のいい人間」に変えるのは難しい。問題をすぐに解決しようと思い込みすぎず、そのしんどさを共有できる書籍を、まず読んでみてはどうでしょうか。
「私は母子家庭で育ったんです。性格もキャラも全然違う、とっても元気でせっかちな母親と私の、二人だけの生活。その母が『早くこれやれあれやれ』って、私を仕切ってくるんですね。『今やろうと思ってたのに、やれって言われるとすごくやりたくなくなる!』みたいなことを子どもの頃から繰り返してきました(笑)。だから私もこの方の気持ち、すごくわかるんです。社会に出て独立して、今はまた一緒に住んでいますが、自分を母親にとって都合のいい人間に変えるのは難しいし、文化も価値観も違う母親を変えるのも難しい。お互いを変えようって思うことはまずあきらめています。今は自分も少しやわらかくなって、ラクになった部分はありますが、同じような葛藤を抱える方に、おすすめの本を紹介します!」
『あの時も「こうあるべき」がしんどかった〜ジェンダー・家族・恋愛〜』
パレットーク(著)ケイカ(イラスト)/シンコーミュージック
「『パレットーク』という、LGBTQ +やフェミニズムについてSNSで発信している団体が出している本で、とっても読みやすいマンガ形式。私の小学生の娘も読めるくらいです。親との関係の“しんどさ”をどう解決するか、っていうところまで描いてあるわけではないけど、『こういうしんどさあるよね〜』ということが言語化されたりイラスト化されていることで、ちょっと胸のつかえがラクになる気がする。
例えば『結婚しない理由なんていらない』という項目があります。お正月、実家に帰ると『結婚しないの?』とか『孫の顔が見たい』とか『二人目はどうなの?』みたいな会話が、なんの悪気もなくカジュアルに出てくる、そういう話がマンガで描いてあるんです。『一緒に住んで5年もたつのにまだ結婚しないのか! お相手の親御さんにも申し訳ないと思わんのか、お前は』ってこの人はお父さんに言われるんです。
でも実は、そういうお父さんも大黒柱でいなきゃいけないなっていう男らしさの呪いのなかで生きてきて、その価値観を子どもに引き継がせて、自分も苦しかったことがあったはずなんだっていうところまで描いてある。すぐにわかり合うことは難しいけれど、そういう父を変えられないし、自分も父の思い通りにいくわけにはいかないってことを理解してもらうしかないんだよ、みたいなまとめになってて。こういう摩擦みたいなものと折り合いをつけて生きていくこともあるよね、という共感できる物語がいくつも綴られているんです。今回はこの本を紹介しましたが、田房永子さんが、今で言う『毒親』から逃れる実録コラム漫画を描いていて、オンラインで読めたりもするので、そちらもぜひ参考にしてみてください!」
▶︎田房永子さんの『それでも親子でいなきゃいけないの?』はこちら
Q.フェミニズムの勉強を始めるのにおすすめの本は?
A. 『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』
イ・ミンギョン(著)すんみ・小山内園子(訳)/タバブックス
「私も専門家ではないし、すごく勉強したわけではないんですが、いちばん最初に読むのはどれがいいかなって考えたときに、思い浮かんだ二冊を紹介しますね。一冊目は『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』です。フェミニズムって、どんなに勉強しても、会社とか学校とかで何か言われたときに、じゃあどう返せばいいのか、知識と行動の回路をつなげるのが難しい気がしませんか?そういうときのシュミレーションを身近な例を出しながら実践的に解説してくれている本です」
「私がこの本で特にいいなと思ったのは、『あなたには答える義務がない』って言ってくれているところ。『それって逆に男性差別じゃない?』とか『なんでそれが女性嫌悪なわけ?』とか言われたときに、いちいち答えなくていい、説明してみて通じないなと思ったらあきらめて退散してもいいっていう、そのシンプルなことに気がつくだけでラクな気持ちになれる気がします。可愛いイラスト入りですごく読みやすい一冊で、最初に読む本にはいいんじゃないかなって思います」
A. 『エトセトラ VOL.3 私の 私による 私のための身体』
長田杏奈(責任編集)/エトセトラブックス
「もう一冊は、フェミニストの出版社エトセトラブックスから出ている『私の 私による 私のための身体』という私が責任編集したフェミニズムマガジンです。美容に興味がある人にも共感してもらえるような、ムダ毛の話とか、自分の身体が人に評価されてしまうという声や、身体について言われたことで傷ついたことをアンケートで取ってみたりとか。私の好きな女性プロレスラーのインタビューが載っていたりとか…。いろんな角度から「自分の身体」に向き合った一冊です。こちらもぜひ手に取ってみてください!」
撮影/Marina Maekawa 企画・編集/種谷美波(yoi)