「その気持ち、わかる!」と共感したり、想像もしていなかった本音に考えさせられたり。
【インタビュー】関連の記事から、アクセスが集中したBEST5をピックアップ。この中に、今のあなたの心に響く言葉がきっとあるはず。
- 1位 ◆ 悩むのは自分と向き合っている証拠。モデル・佐藤ありさの等身大の今【インタビュー前編】
- 悩んでばかりの日々で心がけたのは、心が追いつかない自分も否定しないこと
- 2位 ◆ 瀧波ユカリが描く、恋・友情・フェミニズム。『わたしたちは無痛恋愛がしたい〜鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』が今の私たちに刺さる理由
- 実はわりと行き当たりばったり(笑)。でも「痛み」を描くことは決めていた
- 3位 ◆ 与える愛は身勝手なのか? 映画『エゴイスト』主演・鈴木亮平にとっての“愛する”ということ
- 著者の高山さんも浩輔も、繊細さと強さを兼ね備えたギャップが魅力的です
- 4位 ◆『まじめな会社員』作者 冬野梅子が考える、“あみ子”という主人公とネガティブなりの人生の進め方
- ダメな人間がダメなまま生きていくところを描きたかった
- 5位 ◆「強くなる」ためではなく、「弱くあってもいい」と思えるために。竹田ダニエルさんと考える“Neoセルフラブ”の始め方
- これからのセルフラブは、“無駄なものを排除していくこと”
1位 ◆ 悩むのは自分と向き合っている証拠。モデル・佐藤ありさの等身大の今【インタビュー前編】
私たちをひきつけてやまない笑顔と華やかな存在感で、モデルとして輝かしいキャリアを築いてきた佐藤ありささん。毎月のようにファッション誌のカバーを飾り、多忙を極めていた最中の2016年7月に結婚を発表。翌年7月に第一子を出産し、その2カ月後にはパートナーが本拠地とするドイツに移住。そんな劇的なライフステージの変化をたどってきた佐藤ありささんの、約3年ぶりのメディアインタビューがyoiで実現しました。
10代の頃からモデル活動に邁進していた日本を離れ、ドイツで迎えた家族との新生活。そして、コロナ禍により思っていたモデル活動がほとんどできなかった3年間。自身の近況について多くは語ってこなかった彼女が明かしてくれたのは、「ありのまま、今の私を知ってほしい」という率直な思いでした。妊娠、出産、海外移住を経て向き合いつづけてきた、自身の体と心の変化。そして、今も変わらず大好きなモデルの仕事への情熱。決して平坦ではなかった道を、体と心の揺らぎのなかで進んできた、佐藤ありささんの笑顔の内に迫ります。
悩んでばかりの日々で心がけたのは、心が追いつかない自分も否定しないこと
ドレス¥101,200・コート¥231,000/HARUNOBUMURATA(ともにTHE WALL SHOWROOM)03-5774-4001 ブーツ/スタイリスト私物
――3年以上ぶりというメディア出演。そして、ファッション誌ではなく、体・心・性をテーマにしたyoiに出演されることになったことについて、率直な気持ちを教えてください。
家族という守るべき存在ができたことやここ数年のコロナ禍の影響もあり、私のなかで体と心の健康は今まで以上に大きいテーマになってきていました。そして、家族と過ごすドイツで経験したロックダウンは、社会とのつながりが断絶されたような不安や孤独感のなかで、“体と心はつながっている”ということを改めて気づかされる経験でもありました。だから、モデル活動ができなかったこの3年間は、日々感じたことや考えたことをメモしたりして、いつか機会ができたら話したいと思っていたんです。そんなタイミングで、yoiから声をかけていただいて運命的なものを感じましたし、自分にとっても新しいジャンルに挑戦できるのがうれしかったです。
――日本でモデルとしてのキャリアを大きく開花させていたさなかにドイツへ移住する決断に至った背景には、どんな思いがあったのでしょうか。
夫と将来のビジョンをとことん話し合ったうえで、私が決断したことでした。モデルという仕事は私にとってこのうえなく楽しくて大好きな仕事でしたし、その思いは当時も今も変わりません。だからこそ結婚した当初は、夫はドイツで、私は日本で、お互いの夢に向かって全力でした。でも、妊娠して、子どもが生まれたことで、やっぱり家族一緒に過ごしたいという思いが私のなかで強くなったんです。夫は私がモデルの仕事をどれだけ大事にしているか知っていたので、別々の場所で暮らすという選択肢も提案してくれましたが、私が一緒にいたくて。
一度日本を離れてしまえば、今までのようなモデルとしての活動やキャリアの積み方ができなくなる、そう甘くはないと頭ではわかっていたけれど、「今はこうしたい」という自分の決断を信じて、支えてくれていたまわりの人たちにも自分の言葉で説明して納得してもらいました。マネージャーさんも「どこにいても、ありさが幸せになってくれるなら」と言ってくれて。逆に、「これからどうやって生きていくかは自分次第」という覚悟もできました。
2位 ◆ 瀧波ユカリが描く、恋・友情・フェミニズム。『わたしたちは無痛恋愛がしたい〜鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』が今の私たちに刺さる理由
フォロワー4人の鍵垢(投稿の公開をフォロワーのみに限定しているSNSアカウント)でしか本音を言えない主人公・星置みなみ(ほしおきみなみ)を中心に、その友人で恋愛不用論者のフェミニスト・栗山由仁(くりやまゆに)、彼女がいるのにみなみに手を出す「きれいなクズ」=“星屑男子”こと恵比島千歳(えびしまちとせ)、フェミニストのような振る舞いでみなみが“フェミおじさん”と名付けた年上男性・月寒空知(つきさむそらち)といった個性あふれるキャラクターたちとともに、令和のコミュニケーション&フェミニズムをテーマに描かれるマンガ『わたしたちは無痛恋愛がしたい〜鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』。
“星屑男子”に都合よくあしらわれたり、街中で男性にわざとぶつかられたり、「女はこうあるべき」を押し付けられたり。そんなリアルな恋愛エピソードや人間模様があまりにも刺さる! と話題を集める本作。作品の誕生秘話をはじめ、現代を生きる私たちの恋と友情、フェミニズムについて、作者の瀧波ユカリさんにお話を伺いました。
『わたしたちは無痛恋愛がしたい〜鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』
鍵垢でしか本音をつぶやけない主人公・星置みなみは「無痛恋愛」=痛みのない恋愛、を追い求めながら、他に彼女がいる“星屑男子” 恵比島千歳に適当にあしらわれ、街中で知らない男性にぶつかられ、承認欲求や主張がないフリをして、「痛み」を伴いながら生きている。そんな彼女の前に、フェミニストな年上男性=フェミおじさんが現れたことで、徐々にみなみの思考や感情に変化が。令和のコミュニケーション&フェミニズムマンガとして、今最も注目を集める女のサバイブストーリー。(2巻まで発売中。以下続刊)
実はわりと行き当たりばったり(笑)。でも「痛み」を描くことは決めていた
――まず、この作品を描こうと思ったきっかけについて教えてください。
最初は、二人の男性のあいだで揺れる女性の物語を想定していました。どんな個性の男性を出そうか、と考えていくなかで、まず“ダメな男の人”は出したいなと思ったんですね。それがのちの“星屑男子”こと恵比島千歳です。そこから、その反対のタイプってどんな人だろう、と考えて、固めていった結果に生まれたのが“フェミおじさん”こと月寒空知です。でも実はあまり先のことまでは考えていなくて、なんとなく決めて描きはじめたというのが本音です(笑)。
第1話冒頭から、顔のいいクズ“星屑男子” 恵比島千歳のクズっぷりがリアルに描かれる。Ⓒ瀧波ユカリ/講談社
3位 ◆ 与える愛は身勝手なのか? 映画『エゴイスト』主演・鈴木亮平にとっての“愛する”ということ
「僕は、愛がなんなのかよくわかんないです」。そんな慟哭で終わる予告映像が強い印象を残し、本編への期待をかき立てられるのが、2月10日より全国公開される映画『エゴイスト』。原作は数々の名コラムを世に送り出してきた高山真氏の自伝的小説で、性別や血のつながりといったあらゆるボーダーの意味を問い、愛するがゆえに生まれる葛藤を繊細に描いています。
本作の主人公・「斉藤浩輔」は、同性愛者であることを隠して過ごした故郷を去り、東京でファッション誌の編集者をしながら自由な日々を送る30代の男性。やがて中村龍太という青年に出会い、人を愛する喜びを知り、献身的に愛を与えることで自身も満たされていく──。
そんな浩輔を演じるのは、原作を読んだ際に著者の人間性に強くひかれ、一面識もない人とは思えないほどの親近感を抱いたという、鈴木亮平さん。作品への想いや、浩輔を演じるうえで心がけたこと、作品の大きなテーマである“愛”や“エゴ”について、また自身の経験を通して思い至ったことなどについて語ってくれました。
著者の高山さんも浩輔も、繊細さと強さを兼ね備えたギャップが魅力的です
俳優
1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。2006年俳優デビュー。2007年『椿三十郎』にて映画初出演。その後『HK/変態仮面』(13)などに出演。2014年にはNHK連続テレビ小説「花子とアン」にてヒロインの夫役を演じ、2015年に公開された映画『俺物語!!』では、型破りな高校生の主人公役を演じた。その後も『忍びの国』(17)、『羊と鋼の森』(18)、『ひとよ』(19)などに出演。2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」で主人公の西郷隆盛を演じる。以降テレビドラマ「テセウスの船」(20)、「レンアイ漫画家」(21)、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(21)などに出演。映画『孤狼の血 LEVEL2』(21)では第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ、多くの賞を受賞する。同年、『燃えよ剣』(21)、『土竜の唄FINAL』(21)が公開。2022年10月クールのテレビドラマ「エルピスー希望、あるいは災いー」に出演、2023年4月、映画『TOKYO MER~走る緊急救命室~』が公開予定。
――映画化のオファーを受けてすぐに、原作の『エゴイスト』など高山真氏の著書を何冊も読んだそうですね。自身の役についてどう感じましたか?
主人公の斉藤浩輔は自分に似ていると感じたし、著者の高山真さんについても共通点がいくつかありました。同じ大学で外国語を学んでいたこと、自分を客観的にとらえる考え方、東京に出てきて「よし、都会に負けず戦うぞ!」と気を引き締めるところも共感できて。高山さんについて知り、浩輔を演じるなかで、どちらも感受性豊かな繊細さと、自分らしく生きる強さを持ち合わせている、そのギャップが魅力的だと思いました。
浩輔は、作品の中では身に降りかかる出来事のためにもろくて繊細な一面が目立ちますが、本来は、揺るぎない自分の意志を持って人生を切り拓いてきた人物だと思う。だから、浩輔の内面的な弱さが表に出てしまうシーンでも、打ちひしがれるだけでなく、きちんと前を向ける芯の強さを持つ人物に見せないと、高山さんに失礼だと思いながら演じていました。
ブランド物の衣服は、浩輔が自身を奮い立たせるための戦闘服のようなもの。
4位 ◆『まじめな会社員』作者 冬野梅子が考える、“あみ子”という主人公とネガティブなりの人生の進め方
コツコツとまじめに暮らしながらもクリエイティブな世界に憧れる契約社員・あみ子のままならない日々を描いたマンガ『まじめな会社員』。卑屈で痛々しいのにどこか自分と重ねてしまうあみ子の「理想の自分」と「現実」の乖離、そして過剰ともいえる自意識をリアルに描ききった本作に今、ハマる人が続出!
「まるで私を見ているみたい」「こういう知り合い、いる!」「この気持ち、わかりすぎる」
細やかで解像度の高い心理描写に、SNSではさまざまな感想が飛び交いました。
まじめに生きているつもりなのになんだかうまくいかなくて、自分を好きになることも、やりたいことを見つけることも、どうして自分には難しいんだろう…? そんな気持ちになってしまう夜に欲しかったのは、ハッピーなメッセージよりも、こんな物語だったのかも。
人生を前に進めるために必要なのは、必ずしもポジティブな発想だけじゃない。「私を置いていかない、ダメな主人公が描きたかった」と語る作者・冬野梅子さんが考える、ネガティブだからこそ見つけた人生論。
まじめな会社員(全4巻)各¥715/講談社
主人公の「菊池あみ子」は東京に住む30歳の契約社員。マッチングアプリでデートを重ねるも彼氏は5年できておらず、仕事も楽しいとは言い難い。周りからの目を気にしながらもコツコツとまじめに働くあみ子だが、心の底では「やりたいことをやりたい」「アナーキーに生きたい」とクリエイティブな職業や界隈に憧れている。しかし、いわゆる“ワナビー”などこか痛々しいあみ子の努力は空回りし、自分の理想に自分が追いつかない。憧れの世界に少し近づいては遠ざかり、“向こう側”にいる人をうらやましがる、そんなままならない日々が続いていき…?
ダメな人間がダメなまま生きていくところを描きたかった
話題と共感を呼んだあみ子というキャラクター。その誕生の背景には、冬野先生がこれまでの物語に対して感じていた思いがあった。
――自意識が強く、理想が高い…けれど空回りしてしまうあみ子にヤキモキしながらも共感する読者が多い作品ですが、主人公・あみ子はどうやって生まれたキャラクターなのでしょうか。
マンガ、ドラマ、本の主人公はひたむきで一生懸命な「いい子」が多いですよね。私はそういう物語にあまり乗れないんです。ダメだとされている主人公でも、勝手にどんどん成長していって、見ている私は置いていかれちゃうじゃないですか。最初は「このダメさわかる!」と共感していたのに…と寂しくて(笑)。ラストで別人のように立派になった主人公を見て「世の中にはこんなにいい子ばかりなのか」「こうならないと幸せになれないのか」と感じると卑屈になってしまう。
だから私は、そうならない「ずっと成長せず、読者よりも後ろを走り続ける主人公」を描いてみたいと思ったんです。なので、よこしまな部分や甘い決断、次につながらないリアルな失敗のようなものをしっかり描くようにしています。あみ子にある選択肢の中で、「浅いな」「甘いな」と感じるものをあえて選ばせていますね。
5位 ◆「強くなる」ためではなく、「弱くあってもいい」と思えるために。竹田ダニエルさんと考える“Neoセルフラブ”の始め方
カリフォルニアに暮らし、さまざまなメディアを通して「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに発信するZ世代のライター、竹田ダニエルさん。2022年11月に出版した初のエッセイ本『世界と私の A to Z』は、SNSをはじめとするさまざまなメディアやプラットフォームで大きな反響を呼びました。
当書の第1章で扱ったトピックは、「セルフラブ」について。竹田さんは、Z世代的な価値観におけるセルフラブとは、これまでの “もっと上に行くための自分磨き”=「セルフヘルプ」と、大きく異なるといいます。そこで、Z世代的な価値観におけるセルフラブ=“Neoセルフラブ”とはどのようなものなのか、どうすればそれを始めることができるのか、竹田ダニエルさんに伺いました。
これからのセルフラブは、“無駄なものを排除していくこと”
――「Z世代」とは、一般的に1990年代半ば〜2010年頃までに生まれた人々を指しますが、竹田さんはこの「Z世代」という言葉を、特定の期間に生まれた “年代層“であるだけではなく“価値観”でもあるとおっしゃっています。また、デジタルネイティブで環境問題やジェンダー、人種差別に対する関心が高く、変革意識を高く持つ“Z世代的価値観”を共有する人々のなかで、「『セルフケア・セルフラブ』にも革命が起きている」と著書に書かれていました。この、Z世代的な価値観における「新しいセルフラブ」とはどのようなものなのでしょうか。
竹田さん:Z世代的な価値観における「新しいセルフラブ」は、皆に当てはまる画一的なものではなく、それぞれが「自分にとって何を最も優先すべきなのか」と向き合ったうえで、“無駄なものを排除していく行為”かなと思います。無駄なものというのは、自分にとって「悪」であるもの。険悪な人間関係を断つとか、気持ちに反して無理していたことをやめるとか。
これまでは、セルフラブというと消費行動を通して自分の機嫌を取ったり、スキルアップに励んで自己肯定感を上げるなど、金銭を払って何かを「プラス」していく傾向がありました。でもそれで一時的に気が紛れたとしても、根本的な問題は解決していないんです。逆に、まずは自分にとってよくないものを遠ざけていくことが自分を大切にすること=セルフラブである、という考えが、Z世代的な価値観のなかではより重要視されるようになってきていると思います。