21歳だった大学時代にモデルデビュー、41歳になる木下ココさんは、現在はモデルのほか、ダンサー、ダンススクールの講師として精力的に活動中。年齢を感じさせないしなやかで引き締まったボディの秘密や、理想とする年齢の重ね方、これからの人生について聞きました。

木下ココ ダンサー

木下ココ

モデル

木下ココ

1982年12月24日生まれ。東京都出身。2004年、大学生だった21歳でモデルデビュー。『PINKY』専属モデルほか、『美人百花』、『sweet』など、数々のファッション誌や広告などに出演。持ち前の凛とした雰囲気と、長年続けているダンスで鍛えたスタイルが支持されている。ダンサーとしても活動中。

20代はメンタルも体調もボロボロ。そんな私を救ったのは…

木下ココ 全身

21歳でモデルデビューをしてから仕事がすごく忙しくて、3年間で1日も休みがないほどでした。心も体も疲れて擦り減ってしまっているのに、若かったから遊びにも行きたいし……忙しい毎日のなかで自分を見失ってしまって。

貧血にも悩まされていたし、今思うとメンタルもやられていたかもしれません。当時は増血剤を飲んだりもしていて、ちょっとした坂道でも息切れして動けなくなることもあったけど、つらい姿は見せちゃいけないと、強がっていたように思います。

自分の好きなこと、楽しいと感じることさえわからなくなってしまって、それがいよいよ隠しきれなくなったとき、自宅療養するために仕事の量も減らしてもらい、リカバリー目的もあってダンスのレッスンを受けたんです。そのとき自然と“あ、楽しいな”と思えて。体を動かすことで“自分の時間”というのを感じたし、自分自身の“幸せ”が置き去りになっていたことに気がついて、そこから少しずつ自分を取り戻すことができました。

木下ココ ダンサー 2

母がダンサーなので18歳くらいまでは母に習って半ば義務的にダンスをしていて、自分の意思で始めたのは25歳。それまでは太ったり痩せたりが激しくて、大事な撮影の前は絶食して撮影後に爆食いするみたいな生活をしていましたが、ダンスを始めたことでメンタルも安定し、そういったことは一切なくなりました。

体重はもしかしたら以前のほうが軽かったかもしれないけれど、筋肉量は今のほうがあるので、フォルムとしては今のほうが痩せているように見えるかもしれません。何より心地よくいられます。

心地よい日々を送るためにもまずは健康が大事だとは思うけど、続けられることと続けられないことはきちんと精査する必要があると思っています。食生活に関しても、オーガニックなものだけを食べて、毎日自炊もして…というのは、私にはできない。だけど運動は楽しんでできるから、そこでバランスを取っています。なににおいても“幸せの瞬間”を逃さないために、自分の“好き”をわかっていることがまず大切なのかなと。

木下ココ インタビュー

40代を迎えて、人生がより豊かに感じられて日々うれしい

41歳になって疲れやすくなったり、リカバリーが遅くなったと思うことが増えて、これは確実に加齢だなと思うこともしばしば…。少し無理したりすると2〜3日響いてしまうこともあって、自然と家で過ごす時間が増えました。最近は自宅で犬と一緒に過ごす時間が何より楽しいです。

40代を迎えた自分の年齢に関しては、正直に言うと、“ピンとこない”という感じ。自分のことは客観的に見られないけれど、まわりの人を見ていて思うのは、今の40代って意外とおじさん、おばさんっていう年齢ではないのかな?なんて(笑)。図々しくもそう感じたりするんです。

木下ココ

私自身は40代を迎えても楽しみたいという気持ちがすごく強いタイプ。小さいことでも幸せを感じられる分、逆に小さなことがずっと引っかかってこじらせてしまうような繊細な面もあったから、歳を重ねるごとに前向きに生きられるようになってきた自分の成長は、ちゃんと評価してあげたいなって思うんです。

若い頃は余裕がなかったからまわりをあまり見ていなかったと思うけど、40代になってまわりの人ありきだな、と思うことも増えました。人間関係において幸せな気持ちになることが多くて、歳を重ねるごとに自分の人生が、まわりの人からもらう幸せで豊かになっている感じがします。

結婚はひとつのピース。するもしないも自分のチョイス

木下ココと愛犬

私は独身なので、たまにまわりから、“結婚してるの?なんて聞いちゃってごめんね”。とか言われることがあるんですけど、ごめんじゃなくて、私が独身でいたいだけ。それなのに、相手に気を遣わせちゃったかなって、ちょっと複雑な気持ちになってしまうことも。

結婚は私の中ではとても大きなことだから、勢いや妥協で相手を選びたくないし、もし結婚するならずっと仲良しな夫婦でいたいんです。結婚したくないと思っているわけではなくて、これまで結婚したいなと思うシチュエーションがなかっただけ。

私が生きたい人生は、“好きな人と好きなことをして、好きな場所で好きなように暮らす”ということ。結婚は自分をかたどるひとつのピースにすぎなくて、するもしないも自分のチョイスだと思っています。

とはいえ、ひとりぼっちで生きていくことには恐怖心もあります。だから、結婚という枠に収まらなくても、自分のことをよく知ってくれているパートナーがそばにいるということも大切なことなんじゃないかな。元気がないとき、一人では無理だなと思ったときは、自分ひとりで抱え込んで解決しようと思わずにパートナーやまわりの人に頼る。その代わり、誰かが頼ってきたときは精一杯助けてあげられる自分でいたいと思っています。

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写真/松岡一哲 スタイリング/柴原コトミ ヘアメイク/北原果 取材・文/通山奈津子 構成/渋谷香菜子