コミカルな語り口と鋭い着眼点で、30歳前後女性の「あるある!」を発信し、SNSで大人気のコラムニスト・ジェラシーくるみさん。2022年末に発売したエッセイ集『そろそろいい歳というけれど』も話題を呼んでいます。

そんなくるみさんの新連載がyoiでスタート! 「お昼はしがない会社員、夜はコラムニスト(ご本人Twitter(X)より)」という肩書きの彼女は、いったいどんな人? そして、同世代だからこそわかる、30歳前後ならではのお悩みとは? 新連載を記念して、担当エディターとトークしました!

ジェラシーくるみ

コラムニスト

ジェラシーくるみ

会社員として働く傍ら、Twitter(X)やnote、Webメディアを中心にコラムを執筆中。著書に、『恋愛の方程式って東大入試よりムズい』(主婦の友社)、『そろそろいい歳というけれど』(主婦の友社)がある。

“30歳”って、実感してる?

エディターK:くるみさんがyoiの公式ツイッターに、著書『そろそろいい歳というけれど』のご紹介をDMしてくださったのがきっかけで本連載が実現! 『そろそろいい歳というけれど』の“いい歳”とは30歳の区切り。30歳前後で起こりがちな人生の変化や悩みがちな問題について、痛快な語り口で書かれたエッセイに、現在31歳の私は共感しすぎて一気読みしてしまいました。

ジェラシーくるみ:同世代ですね!

エディターK:『そろそろいい歳というけれど』では30歳という年齢が大きなテーマになっていて、その周辺でのモヤモヤが書かれていますが、くるみさんご自身は30歳という年齢をどうとらえているのでしょうか?

ジェラシーくるみ30歳という年齢の区切りはずっと前から意識はしていたのですが、ようやく実感がついてきたという感じです。「結婚する人が増えていくよ」とか、「友達と話が合わなくなっていくよ」「転職する人が増えるよ」とか、噂には聞いていたけれど、自分の身のまわりでも実際にそれを感じるようになって、30歳という年齢が近づいている実感がわいてきました。

ただ、私はいろんなコミュニティに属していて感じたことなのですが、自分がどんな環境にいるかで、その実感のレベルってだいぶ変わってくるんですよね。例えば、仕事がかなり忙しく、まわりも若い同僚が多いという人はあまり年齢の区切りみたいなものを感じづらいようなのですが、都市圏以外に住んでいて、まわりにはすでに結婚して子育てをしている人が多いという環境だと、30歳という年齢に結婚や出産のプレッシャーがかかってくる。同じ年齢でもこんなにとらえ方が違うんだ、というのは面白いですね。

エディターK数字としての年齢の区切りや体の変化などはもちろんあるけれど、どちらかというとまわりの空気感のような外的な要素が、その壁というか線というかを作っているということですよね。くるみさん自身が、個人的な体験として印象に残っている変化や出来事はありますか?


ジェラシーくるみ:私自身というよりまわりの変化ですが、15歳からの友人が授かり婚をしたり、すごく仲良くしていた同期が留学に行ったりと、身近な人が私の知らないところで色々考え、人生の選択をしていたんだということを知ると、自分の人生についても考えてしまいますよね。

ジェラシーくるみ 30歳 アラサー

私たちは一体何に焦らされているのだろうか

エディターK:まわりの変化に焦らされてしまうの、とてもよくわかります…。人は人、自分は自分のはずなんですけどね。

ジェラシーくるみまわりがどんどん変化していくなかで、“自分は何もない”というのがすごく怖いんですよね。仕事ですごく頑張ってると胸を張って言えるわけでもないし、子育てをしているわけでもない、打ち込める趣味もないし、資格取得のために努力してるわけでもない…。適当にネトフリ観てマンガ読んで、ゲラゲラ笑ってるだけの自分に、「何やってんだろう…」と思ってしまう。特に仕事が停滞しているときなんかは、まわりの人はみんな、“何かを持っている”ように見えてしまってつらかったです。

エディターK“何かを成し遂げなきゃいけない”という謎のプレッシャー、ありますよね。あれはなんなんでしょうね。

ジェラシーくるみ:その状況も3年目くらいまでは真剣に悩んでいたのですが、4年目からは悩むことすらしなくなっちゃんたんですよね(笑)。仕事も捌けるようになってきて、人間関係も安定はしていて。でもそれって、“成長してない”なって…。

エディターK:う〜む。私たちは一体何に焦らされているんですかね(笑)? この焦りを、ポジティブに変換するにはどうしたらいいのか…。

ジェラシーくるみ:焦りを跳ね返すということでしょうか?

エディターK:跳ね返すというより、焦りの正体を知るというのが大事なのかなと最近思っていて。自分の悩みが何から来ているのかということを、言語化することで俯瞰して見ることができる。くるみさんのエッセイは同世代の女性読者が多いですが、自分が悩んでいることについて解像度高く言語化されているから、共感できるし、「私だけじゃなかったんだ」と思える。だから支持されているし、どうにもならないモヤモヤに対して、“言葉の力”でできることのひとつなんじゃないかなと思っています。

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今を生きる“女性”だからこそ感じるモヤモヤ

エディターK:くるみさんは、会社員をしながら副業でエッセイを書かれているんですよね。どのようなきっかけで、エッセイを書き始めたのでしょうか?

ジェラシーくるみ:文章を書いてみたいという思いは学生の頃からあって、中高時代は試しに小説を書いてみたりしていました。物語ではなくエッセイというジャンルがあると気づき、書きはじめたのは大学生の頃。新書でも論文でもなく、自分の考えを述べる文章が面白いなと思い、挑戦してみようかなと思ったんです。

エディターK:元から、自分の考えを言語化することはよくしていたのでしょうか?

ジェラシーくるみ:そうですね。悩んだときは、まずは書き出してみるとか。誰にも見せず、自分の頭の中を整理するためにやっていました。感情に任せて書くというよりも、分析して言語化するような感じです。

エディターK:現在のエッセイも、問題に対して俯瞰して分析しているテイストなのが面白いですよね。くるみさんが特に書きたいと思う、30年近い人生を通して興味を持ってきたテーマなどはありますか?

ジェラシーくるみ:私は一人っ子で両親が共働きだったこともあり、すごくおばあちゃんっ子だったんですよね。中学の後半から勉強を頑張りはじめたのですが、祖母に「女の子はそんなに勉強頑張らなくていいのよ」とか「女の子だから浪人はちょっと…」と言われることがありました。東京大学に進学したのですが、受験勉強で疲れている私を見て「女の子なんだし無理して東大なんか目指さなくてもいいのよ」と慰められたこともありました。それに対しての違和感はありましたね。その反面、受験に受かったときはとても喜んでくれましたし、中学の職業体験なんかのときは「丸の内でバリバリ働くOLさんかっこいいわよね」と祖母が言っていたこともあって。ああ、親以上の上の世代の人たちは、「三歩下がって歩く良妻」と「男性と同じように社会で活躍する女性」の間で強いゆらぎがあるんだなーと思いましたね。

また、私は中学が女子校でほかはすべて共学だったので、思春期に女性に囲まれて過ごした時期と男性に囲まれて過ごした時期の両方がありました。そのなかで、女性といるときと男性といるときとでは自分自身の振る舞いが変わることに気づきましたし、男性同士のコミュニケーションの取り方に驚いたりしました。

そんな経験から、“女性”“男性”に分けられてしまう枠組みでは、身近なことからライフプランまで、こんなに違いがあるのだなと感じました。それで、不公平だなと思ったこともありますし、自分がもし男性だったら別の道もあったんじゃないかと思ったり、良くも悪くも挑戦できたことが違っただろうな、と考えたりします。そういった枠組みのなかでの、女性だからこそ感じるモヤモヤは興味のあるテーマですね。

もしかして、“自分らしさ”っていっぱいあってもいい!?

エディターK:旧来のジェンダー観へのモヤモヤを感じることはありますよね。でも、最近はかつての価値観とはだいぶ変わってきていて、「女性だから」「30歳だから」という理由で人生の選択肢が狭められることも減ってきましたよね。それと同時に、選択肢が多様化しているからこその悩みが増えてきているのではないか…と個人的に思います。

ジェラシーくるみ:それはそうだと思いますね。これが正解! というものがないから、自分で考えなきゃいけない。私はよく人生をカードゲームに例えるのですが(笑)、自分らしいカードデッキってどんなデッキだろう? と。仕事のカードに、子どものカード、パートナーのカード、趣味のカード、資格のカード…。全部仕事のカードでそろえて強くなるのか、バランスよく組むのか。

たぶん、私たちってすごく「自分らしさ」とか「あなたにしかできないこと」を大切にしなさいと言われてきた世代なんですよね。だから、手もとにあるカードが私らしいものなのかがすごく気になってしまう。

エディターK:たしかに「自分らしさ」ってめちゃめちゃ言われてきた世代かも! でも、それと同時に、旧来の価値観的な「女性らしさ」みたいなものにもまだ若干焦らされている世代でもある。ちょうど狭間なんですよね。キツくないですか? 私たちの世代(笑)。

ジェラシーくるみ:キツいです(笑)。私たちより下の、20代前半くらいの世代はどう思っているんだろう、と気になったことがあって、聞いてみたんですよね。そうしたら、下の世代はあまり感じていなかったんですよ。“自分らしさの呪縛”みたいなものは。なんというか、その時々で“らしさ”が変わるというか…。

エディターK:その時々で“らしさ”が変わるとは…!?

ジェラシーくるみ“自分らしさ”を着脱可能なものととらえているというか。たとえば、私たちよりさらに上の世代だと、女性が会社で出世するためには、若い頃からずっと仕事に向き合って、努力し続けないと会社で生き残れない…みたいな価値観がちょっとあると思うのですが、下の世代的には、「昇進したい」と思うのも「資格を取りたい」と思うのも、「“そのときの気分”ですよね」って言ってたんです。

「昇進したい」と思っているときは仕事に対してのモチベーションが上がっているときだけど、それが下がることもある。でも、その代わり別のものへのモチベが上がっているから、その“モチベの波”に乗ればいい。気分の波は数年単位で変わるもの。それに乗って生きていっても、死ぬわけじゃないし、キャリアだってなんとかなる。そういうふうに、ラクにとらえているんだなと。

エディターK:なるほど〜! なんか、「決めなきゃいけない」みたいな真面目さが自分のなかにあったことに気づきました(笑)。多様化した選択肢のなかから、“自分らしい”ものを「選ばなきゃいけない」と思い込んでいたけれど、そうじゃないんですね。自分自身が多様化してもいい…アハ体験です!

ジェラシーくるみ:こんな私もあんな私もあっていいのかもしれないですね。それに私の場合は、どんなカードを持っていたとしても、結局は別のカードが欲しくなったりしてしまいそうで、人生における最終的な“満足ポイント”とか“後悔ポイント”って、自分が自分である限りあまり変わらないんじゃないかな〜、とも思っています。

でも、せっかく巡り合ったはずのカードなのに、行動できなくて手に入らなかったり、手もとから失ったりするのはもったいないので、そこは頑張っていきたいなとは思いますね。

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ジェラシーくるみさんの新連載がスタート!

エディターK:悩み多き世代ですが、カードゲームに例えると、なんだか面白く感じますね(笑)。

ジェラシーくるみ:解決策が見つからなくても、自分の現状にスポッとハマるコミカルなたとえ話や言い回しが見つかると、「どうせ未来に正解なんてないんだから」と、気がラクになりますよね。そういうことも、“言葉の力”なのかなと。

エディターK:そうですね! 本連載では、こんな私たち世代のモヤモヤについて、あーだこーだと楽しくお伝えしていけたらなと思います!

取材・文・企画・編集/木村美紀(yoi) イラスト/せかち