SNSからブームが広まり、セルフケアの方法として注目を集めている「アートジャーナルセラピー」って、一体どんなもの? その効果や実践方法について解説! 美大出身のエディターが実際に作ってみた経験から、作り方のコツもレポート。
「アートジャーナルセラピー」とは?
アートとジャーナル(記録すること)を組み合わせた単語で、好きなアート技法(ペイント、コラージュ、写真etc...)を使って自分の思いや経験を記録していき、絵日記のような形で表現するもの。
“書く瞑想”といわれる、頭に浮かんだことを紙に書くジャーナリングについてはこちらの記事でご紹介しましたが、それにさらに創造的要素を増やしたのが「アートジャーナル」です。
好きな色で塗ったり、素敵だと感じるデザインをコラージュしたり、自由にドローイングをしたり…自分の内面から湧き出る創造性を自由に表現することで、不安やストレスを減少させたり、自分の好きなものや心が動くものを知ることができます。
「アートジャーナルセラピー」が注目されている理由
画像・動画共有サイトのPinterestが、2023年の注目トレンドとして取り上げたことで話題になった「アートジャーナルセラピー」。TikTokをはじめとする動画投稿SNSでは、「#artjournal」や「#artjournaltherapy」のハッシュタグで投稿された動画が多くの再生数を記録をしています。完成した「アートジャーナル」そのものや、その制作過程を撮影したSNS投稿を見て「自分もやってみたい!」とチャレンジする人が増えています。
SNSからブームが広がった「アートジャーナルセラピー」ですが、制作中はスマホから手を放して自分の世界に没頭できるため、デジタルデトックスの効果が期待できるのも人気の秘密です。
@scrapwithmery journal tour #journaling#journal#sketchbook#artist#art#scrapbooking#scrapbook#diary#journaltour♬ Being Real - Saltyngget
@arttherapy.co Dậy sớm làm vài trang sổ cùng Art cho ngày mới productive bạn nha! Tạo cho mình những thói quen tốt là một cách để yêu thương bản thân đó🌷💕 #viral#journaling#journalwithme#journalideas#morningjournal#morninggratitude#xuhuong#xuhuong2022#fyp♬ nhạc nền - châm
「アートジャーナル」作りに必要なアイテム
ここからは、美大出身のyoiエディター木村が実際に作ってみた感想を交えつつ、作り方を解説します。「アートジャーナル」作りにルールはありませんが、参考にしてみてください。
準備するもの①台紙となるノートやスケッチブック
「アートジャーナル」作りに必要不可欠なのは、台紙となる紙です。1枚の紙でもよいと思いますが、ノートのように綴じられているもののほうが、セラピーを続けていったときに後から見返しやすく、ノート自体が作品のように感じられるのでおすすめです。
シールや写真を貼ったりペンで書き込んだりするため、紙は薄いものよりも、ある程度強度のある厚めのものが好ましいです。また、リング式のもののほうが、制作するときにノートを広げやすい、失敗したページは破けるなどの理由で使いやすいのではと思いました。
私は、広々と使える大きめのスケッチブック(A3程度)と、短時間でも気軽に仕上げられる小さめサイズ(A5程度)のものを購入しました。
準備するもの②コラージュの材料になる写真やチケット、色紙、シールなど
SNSに投稿された「アートジャーナル」の動画は、コラージュ技法を使ったものが大人気。お気に入りの写真を印刷しておいたり、出かけたイベントのチケットなどを取っておくと、アートジャーナル作りに役立ちます。色紙やシール、テープなどもいくつか準備しておくと便利です。自分が心ときめく色や素材のものを集めましょう! 画材店だけでなく、意外と100円ショップにも使えそうなアイテムがたくさんありました。
準備するもの③画材
私はカラフルなものが好きなので、いろんな色のマーカーをそろえました。白やパステル調の色の薄いインクのものがあると、濃い背景色の上にも文字が書けて楽しいですよ!
「アートジャーナル」の作り方アイデア
「アートジャーナル」には題材や技法の縛りは一切ありませんが、私が実際に制作してみたものを例に「こんなアイデアで作ってみるのも楽しいかも?」というものをいくつかご紹介します。
「アートジャーナル」のアイデア①楽しかったイベントをコラージュとイラストで表現
「何を題材に作ったらいいかわからない!」というときは、まずは楽しかったイベントのチケットやパンフレットを取っておいて、コラージュしてみるのがおすすめです。イベントのイメージに合わせて組み合わせる色紙やペンを選んで、イベントの世界観を表現してみましょう!
『スター・ウォーズ』の日の「アートジャーナル」
こちらは、ゴールデンウィークに行った『スター・ウォーズ』のイベントを記録したもの。黒にラメが入った紙をスケッチブックに貼り、その上に当日撮った写真や、チケットやリーフレットの切り抜きをコラージュしてみました。
落語鑑賞の「アートジャーナル」
こちらは、同じ月に行った2つの落語鑑賞を記録。筆ペンを使い、和テイストに仕上げてみました。
「アートジャーナル」のアイデア②テーマ別に旅行記をつける
素敵なものとたくさん出会う旅は、まさに「アートジャーナル」の題材にぴったり! 日ごと、エリアごとで分けて旅行記をつけるのもいいですが、テーマでまとめて記録すると、ビジュアルにまとまりが出て面白くなります。
ヨーロッパの交通チケットをまとめた「アートジャーナル」
先日ヨーロッパ旅行した際に乗った交通機関のチケットをまとめてみました。海外旅行に行くと、現地の交通のルールを調べるのに苦労したり、日本との違いが面白かったりしますよね。そんな思い出がギュッと詰まった1ページになりました。
猫だらけの「アートジャーナル」
ギリシャで出会った猫たちを集結させた「アートジャーナル」。作りながら、かなり癒されました(笑)。
「アートジャーナル」のアイデア③日常の小さいことをスケジュール帳に記録する
イベントや旅行などの特別なことでなく、日常の小さなことをちまちま記録するのも楽しいです。色々な画材を使ってスケッチブックで表現するのは楽しいですが、制作のハードルが高く、なかなか続かないという一面も。ペン1本で描けて、毎日続けられるサイズの「アートジャーナル」はいかがでしょうか?
スケジュール帳を使用した「ミニアートジャーナル」
あまり使い道がないな…と感じていた、会社から毎年配られるミニ手帳を「アートジャーナル」用に活用してみました。会社のデスクに置いておいて、作業が煮詰まってきたときなどに描き込むと、いい気分転換になります!
「アートジャーナルセラピー」を体験した感想
仕事でもプライベートでもPCやスマホを使ってばかりで、アナログ作業で何かを作るという時間が全然なかったことに改めて気づきました。普段はちょっとでも退屈を感じると、ついついスマホでショート動画を観たりSNSをスクロールしてしまいますが、「アートジャーナル」を作っている最中は作業に没頭していて、あっという間に数時間が経過!
食事中や映画などを観ている最中も、仕事のことや悩んでいることが頭にチラつくことが多かったのですが、制作中は「次はどの写真を貼ろう?」「この色の組み合わせはどうかな?」といったことで頭がいっぱいで、自分が抱えているモヤモヤから自然と離れることができました。制作後には、なんだか気持ちがスッキリとしていて、“ニュートラルな自分”に戻れたような気がします。
子どもの頃に好きだったお絵描きや、思春期にハマったプリントシール帳作りにも似ていて、童心に返ったような感じも。
「絵を描いたり何かを作ったりするのが好き」「素敵なものを集めるのが好き」…現在でも過去でも、そんな一面を持っている方には、ぜひおすすめしたいセルフケアです!
撮影・文・企画・構成/木村美紀(yoi)